9月5日(遠軽→金華) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
全駅間歩き1日目(36.4km) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
この年の夏も引き続き、石北本線を歩くことにしました。 前回も鉄道を乗り継いで北海道へ向かいましたが、 今回は、前日の朝から新幹線や特急を乗り継いで、 石北本線の上川駅まで向かいました。 朝7時前に東京を出発し、八戸・函館・札幌と3回乗り換え、 上川に着く頃には、夜の20時になろうとしていました。 札幌から乗り換えた特急「オホーツク」に乗れば、 そのまま今回のスタート駅・遠軽にも行くことができます。 しかし、前回の全駅間歩き最大の難所(=北見峠越え)は、 明るい時間に越えたかったので、敢えて手前の上川で泊まることにしました。 遠軽へ向かう普通列車は、翌日の朝6時16分に出発します。 地元の店という感じの強いラーメン店で上川ラーメン(旭川同様、醤油味のラーメン)を食べた後は、 明日に備えて早々に就寝しました。 |
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翌朝起きてみると雨が降っていました。 上川駅のホームには4両編成の列車が停車している…と思いきや、 前2両が遠軽方面、後ろ2両が旭川方面となっていました。違う車両に乗ってしまうと大変なことになります。 朝6時16分、網走行きの普通列車は上川駅を出発しました。 まだ青春18切符のシーズンですが、上川に宿泊しないとこの列車には乗れないためか、 乗客は、自分の他に、もう一人旅行者っぽい人がいただけでした。 上川駅を出た列車はすぐに峠越えにさしかかりました。 天幕(駅跡)・中越(信号所)と通過し、次第に高度をあげていきました。 列車のエンジン音は常にうなりつづけていましたが、速度は次第に下がり、 上越信号所を通過する頃には、歩くような速度になっていました。 峠を越えると、今までののろのろっぷりが嘘のように軽快に飛ばすようになり、 上川駅から50分弱で上白滝駅に着きました。 その後、白滝と丸瀬布で数人の高校生を乗せた後、列車は遠軽駅に到着しました。 |
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前回のゴール駅、そして今回のスタート駅である遠軽駅に着きました。 遠軽は雨こそ降っていませんが、なんとも微妙な空模様です。 この先の天気が少々心配ですが、今回の全駅間歩きを始めたいと思います。 |
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遠軽駅を出てしばらくは、遠軽市街を歩きます。 遠軽は「町」とはいえ、石北本線沿線では比較的大きい都市です。 まだ朝早い時間とあってか空いている店舗は少なかったのですが、 国道に沿って様々な店が軒を連ねていました。 駅から20分ほど歩くと、周囲は郊外らしさを帯びるようになります。 国道242号線は南へ向かって一直線に伸びています。 |
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国道を南に進み、石北本線をオーバークロスする地点まで来ました。 ちょうど列車が来そうな時間だったので、少し待ってみることにしました。 5分ほど待っていると、列車は後ろから軽快に走り去っていきました。 実は、この走り去った列車は、今日の朝、上川から乗ってきた列車と同じ列車です。 遠軽で50分近く停車するため、こんな逆転現象みたいなことが起こります。 この列車に乗れば、12時前には網走に着いてしまう…なんて言っちゃいけません。 |
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国道242号を南に下り、国道333号と合流します。 ここから南東に進めば、まもなく旧・生田原町に入ります。 早速歩道なしの道を歩くことになるかと少し冷や冷やでしたが、 安国までの道には、しっかりとした歩道がついていて歩きやすかったです。 最初の駅間とあって、9km弱の道のりも長さを感じることはありませんでした。 しかしながら、雲行きはドンドン悪くなります。 再び石北本線をオーバークロスし、安国集落に入る頃には雨粒が顔に当たるようになりました。 上川を出たときは雨だったので、その雨雲が追いついてきたのかも知れません。 集落の中を進むと、右手に安国駅が見えてきました。 |
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安国駅の駅舎は、ログハウス調の新しい駅舎です。 見た目だけでなく、内装部分も木で作られているため、駅舎の中にいても木の香りが漂ってきます。 生田原地域では、木製おもちゃの製造がさかんに行われています。 列車に乗った乗客にもPRするためか、ホーム側の駅舎壁面には、木製のおもちゃが展示されています。 安国駅に着く頃には、傘が必要なくらいの雨脚となっていました。 雨脚は駅舎に逃げ込んだ後も強くなる一方で、しまいにはドーッと雨が激しく屋根を打ち付けるようになりました。 15分ほど待機していると雨脚は弱くなり、傘無しで歩けそうな具合になりました。 途中で雨に降られると困るので、レインスーツのズボンを履き、ザックカバーをつけて出発することにしました。 |
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安国の集落を抜ける頃には雨はやみました。 短い時間ながら、かなり雨が降ったようで、道路には所々に水たまりができていました。 国道に沿って南に進みますが、民家もまばらな農村地帯が続きます。 安国駅から40分ほど歩くと、畑の先に次の駅が見えてきましたが、駅前らしさは全くありません。 雨こそやんでいますが、空には依然として厚い雲が覆っています。 ![]() 駅前には民家らしい民家もなければ、駅舎すらありません。 駅のホームが唯一の駅施設です。 駅のホームの背景には、当然畑が広がっています。 北海道らしい「畑の中の小さな駅」がここにありました。 まだ2つ目の駅間なので、大した疲れはありません。 しかしながら、ベンチすら無いホームでは、休憩するのも一苦労です。 またも雨がぱらつきだす中、ホームに腰を下ろして休憩します。 |
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駅の周辺がこんな感じなので、この駅に止まる列車は限られています。 停車する列車は、遠軽方面が1日1本、北見方面が1日3本しかありません。 実に普通列車の約3分の2がこの駅を通過してしまいます。 これでは、日常生活では遠軽に行くことしかできません。 やがて駅前の踏切が鳴り始めました。 遠軽方面から来た特急「オホーツク」は、あっという間に小さな駅を通過していきました。 |
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生野駅から次の駅を目指して、引き続き南へ進みます。 周囲は相変わらず民家もまばらな畑作地帯が続きます。 次第に、道の両側から小高い丘が迫ってきます。 もはや国道にも歩道はありません。 歩道がないとはいえ、国道そのものの交通量もあまり多くないため、 歩道の無い道を歩くのもそれほどストレスにはなりません。 ![]() 生田原市街の入口には、 いかにも子供が好みそうなお城が建っていました。 これは木製おもちゃの博物館、「ちゃちゃワールド」です。 館内には、世界約40カ国の木製おもちゃが展示されているそうです。 ちゃちゃワールドを過ぎると、生田原市街です。 道の両側に歩道がつき、道に沿って民家が建ち並ぶようになります。 主要道路に沿って商業施設が建ち並んでいた遠軽市街とは異なり、 市街の中心近くまで来ても、平屋か2階建ての民家が続きます。 時計に目をやると、すでに12時を過ぎていました。 休日の昼間ということもあり、市街は非常に落ち着いていました。 |
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生田原駅に着きました。 生田原駅の「駅舎」も、何かの物語に出てきそうなデザインをしています。 この「駅舎」には、オホーツク文学館と旧生田原町図書館が同居しています。 とはいえ、「駅」が一番下に記載されているところを見ると、 「オホーツク文学館」の建物に生田原駅が居候しているといった方がいいのかもしれません。 旧・生田原町では、文学による町おこしをしており、 市街を流れる川に沿って歌句碑ロードを整備しているそうです。 そう考えると、町の中心にある文学館は、やはり町のシンボル的存在なんだと思います。 生田原駅の待合室で昼食休憩を取ることにしました。 実はこのとき、生田原駅から先のルートはまだ決めていませんでした。 次の駅は金華駅ですが、石北本線に沿って常紋峠に向かうルートをとるか、 国道に沿って進み、金華峠を経由するルートをとるか、まだ決めていなかったのです。 しかし、空模様は今にも雨が降りそうな曇り空です。 途中で雨に降られたらたまらない上、悪天候の時は熊と遭遇する危険も高まるので、 今回は、安全策をとって国道経由で金華駅まで進むことにしました。 …常紋峠も興味があるので、今度歩く機会があれば歩いてみたいです。 |
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生田原駅から10分ほど歩くと、国道は大きく右にカーブして、生田原川を渡ります。 ここから石北本線とは少しずつ離れていくことになります。 生田原川を渡って少し進むと、生田原小学校の横を通過しました。 雪の多い地方にはよくあることですが、校門の可動柵がなく、それだけでも開放感が感じられました。 校舎は2階建てながら、校門から見ると市民会館と見間違うような堂々とした造りでした。 その生田原小学校からさらに少し進むと、左手にスイーツショップが見えてきました。 はじめは、通りがかりの観光客目当ての新設店舗かなと思ったのですが、 それにしては店の前に随分車が止まっていたので、どんな所か行ってみることにしました。 ここは、「ノルディックファーム」の生田原本店です。 実は、このお店のことは全く知らなかったのですが、後で調べてみると、北海道でも有名なスイーツショップでした。 今では、北見や新千歳空港にも出店しているようです。 宇登呂で泊まったホテルでは、ここのアイスクリームが通販されていましたし、 女満別空港では、ここの生チーズケーキが販売されていました。 チーズケーキをお土産に買って帰ったところ、家族からも職場からもとても好評でした。 本店に立ち寄ったときには、時間もあまりなかったので、 歩き食いできる(ぉぃ)ソフトクリームを買いました。 牧場直送ならではの濃厚な味で、とても美味しかったです。 |
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ノルディックファームを後にすると、まもなく市街地は途切れ、一面の畑作地帯へと変わりました。 放牧も行われているようで、遠くの丘では牛が放牧されていました。 国道に沿って散在する民家でも木のおもちゃを製造しているようで、 ある民家の軒先では、自家製作したと思われるおもちゃが道行く人々に向けて展示されていました。
ずっと曇り空が続いていたのですが、 生田原駅から1時間半ほど進んだところで、 ついに小雨が降り出しました。 はじめは無視できるくらいの小雨だったのですが、 徐々に雨が強くなってきたので、 国道脇にあったログハウス調の 水管理施設の軒下に避難しました。 軒下に避難すると、 まもなく夕立のような雨が降ってきました。 安国駅の時といい、今回といい、 我ながら、なんというナイスタイミング。 15分ほど休憩を兼ねた雨宿りをしていると、 雨脚が徐々に弱くなってきました。 雲間からは晴れ間も見えてきました。 雨がやんだところで、先を目指すことにしました。 峠が近づくにつれ、道の両側の丘が道路近くまで迫ってきました。 峠まであと2〜3kmというところから、道路も坂を登っているのが分かるようになりました。 金華峠は、峠の頂点でも標高360メートルで、 車で走ると、どこに峠があるのか分からないくらいの坂らしいのですが、 15kg弱の重い荷物背負って歩いていると、そんな坂でも一歩一歩が重たく感じてしまいます。 |
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金華峠につきました。 峠の頂点が遠軽町と北見市(留辺蘂)との境です。 正直なところ、ここから北見市といってもまだピンときません。 峠の頂点から歩いた方向を振り返ると、カーブの先に下り坂が続いていました。 わりと(車にとって)緩やかな坂が続いたとはいえ、やっぱり峠を登ってきたんだなと感じました。 峠の頂点に着いたときは、上り坂を登ってきたために体中がヒートアップしていましたが、 少し休憩すると急速に身体が冷やされ、出発する頃には上着が欲しいくらいになりました。 |
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金華峠から先はひたすら下り坂が続きます。 道の両側はただただ林が続きます。人家の気配は全く感じられません。 足の痛みを感じるようになったのですが、あと1時間も歩けば今日のゴールなので、 痛みを無視して歩き続けることにしました。1日目にして豆ができてしまうとは、修行が足りん。 途中、国道を鹿の親子が横切っていきました。 国道から十分離れた場所から親シカと思われる鹿が、カメラを構える私をじっと見つめていました。 鹿は、私がその場を離れるまで私から目を離しませんでした。 しばらく歩くと、常紋峠方面からの砂利道と合流し、 まもなく金華の集落入りました。金華の集落は数軒の民家からなる小集落でした。 足に豆ができる状態で砂利道歩いていたら、さぞかし大変だっただろうなぁ…。 |
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金華駅に着きました。 駅に着いたとき、ちょうど遠軽方面行きの列車が出発していきました。 1日目の全駅間歩きはここで終了です。 さて、今日の宿屋はこの金華駅です。 ここから生田原まで列車で戻ってホテルに泊まることも検討したのですが、 せっかくなので、山奥の無人駅の雰囲気を心行くまで味わいたいという思いが勝りました(笑)。 金華駅には、駅寝にはもってこいの長いすも設置されています。 駅舎内に巣くう蛾さえ追い出してしまえば(実はかなり重要!)、快適そのものです。 ほうきとちりとりを駆使して目につく蛾をすべて追い出し、 ザックから駅寝に必要な荷物類を取り出しているうちに陽はどっぷりと暮れました。 携帯で音楽聞きながら夕食を食べていると、時間はあっという間に過ぎていきます。 20時半過ぎに北見行きの最終列車が出てしまえば、もうこの日この駅に止まる列車はありません。 金華駅に着いてから、終列車が出るまでこの駅で乗降した人はいませんでした。 最後の列車が通過した22時過ぎ、少し早めですが寝袋に入って寝ることにしました。 駅寝でまともに寝られた試しがあまりないのですが、 今回は2〜3時間くらいは眠れたと思います。駅舎の明かりが消せるならもっと寝られたと思うのですが。 明日は、北見市の中心・北見駅を目指します。 |
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