思うことは、ただ一つ。
誰も傷付く事無く、あの時のように、全てが終ればいいと思う。
3年前のあの時のように……。
誰も、傷付く事無く…………。
全てが、終れば、それだけでいい……。
GATE 25
「そんなに広くはありませんが、どうぞ」
そう言ってドアを開く光子郎に進められて、全員が中へと入った。
「やっと戻ってきた!!心配してたんだよ……えっ?えっ?ヤ、ヤマト?!」
中に入った瞬間、ガブモンが心配そうに駆け寄ってくる。
しかし、金髪の紙を持つその人物を確認した瞬間、その言葉が驚きの叫びになった。
そんなガブモンの姿に、太一が複雑な表情を見せる。
嬉しい筈なのに、ヤマトは、自分の名前を呼ばれて、困惑した表情を見せているから……。
「……こいつが、お前の言っていた俺に会わせたい奴か?」
そして質問された言葉に、小さく頷いて返す。
「ヤマトは、やっぱりオレの事、覚えてないんだ……」
「す、すまない」
そんな自分達の会話に、悲しそうな瞳で、現実を寂しそうに受け止めるように呟かれたその言葉に、ヤマトが慌てて謝罪する。
覚えてないのは、自分が悪い訳ではないのに、それを謝罪するヤマトに、一瞬ガブモンが驚いたような表情を見せたが、次の瞬間には、複雑な表情で笑顔を見せた。
「ううん、ヤマトが、悪いんじゃない。それに、今、こうしてヤマトに会えただけで嬉しいんだ」
吹っ切るようにニッコリと笑顔を見せるその姿に、ヤマトも何とか笑顔を返す。
「なんにしても、こんな所で話をするより、移動した方がいいでしょう。武之内先輩は、どうしてますか?」
話が一段落付いたのを確認して、光子郎が声を掛けた。
「武之内って、ソラの事だね?だったら、今は落ち着いて、向こうに居るよ」
光子郎の質問に、ガブモンが答えを返す。
それに、頷いて返して、光子郎は全員を部屋の中へと導いた。
「では、狭いですが、上がってください。武之内先輩も、中にいらっしゃるようなので」
言われた言葉に太一が頷く。
しかし、ヤマトはその言葉に、複雑な表情を見せた。
出来れば、会いたくないと思ってしまう気持ちを、止められない。
全員が、玄関から内の中へと入っていくのをそのままの状態で見詰めてしまう。
「石田先輩、どうかなさったんですか?もう、皆さん部屋に入られてますけど…」
そんなヤマトに気が付いて、光子郎が声を掛ける。
その頃には、太一達の姿は、既に玄関にはない。
「今、行く……」
自分の心を悟られないよう、諦めたように小さく息を吐き出すと、続いて部屋へと入った。
「……武之内先輩にお会いしたくないんですね。告白を、断ったんですか?」
しかし、光子郎の傍を通り過ぎようとした瞬間、ポツリと尋ねられたその言葉に、その足を止め、隣に立つ人物を驚いた視線で見詰めてしまう。
「……有名な話ですよ。驚く事ではありません。告白を断ったお相手が、貴方にとって『仲間』であるその気持ち、残念ながら僕には分かりません。ただ、約束してくださいませんか。彼を、苦しめる事だけはなさらないと……」
見詰める先の瞳が、真剣に見詰め返してくる。
そして、そのまっすぐに見詰めてくる瞳のまま伝えられた言葉に、ヤマトは一瞬返す言葉に迷ってしまう。
光子郎の言うように、武之内空と、自分は、間違いなく何かで繋がっていると言う事は、これではっきりとしているのだ。
しかも、それは、初めて自分が気になると思った存在を中心に……。
「……お前に、言われるまでもないはずだ……」
意を決して返した言葉は、たったそれだけの言葉。
もう、あの悲しみを含んだ表情を、見たくないと、そう思っているから……。
「ヤマト、光子郎!んな処で、何やってるんだよ!!」
真剣に見詰め合う二人のその雰囲気を遮ったのは、明るい声で自分達の名前を呼ぶ少年が、ひょっこりとリビングから顔を覗かせた為。
その瞬間、今まで張り詰めていた空気が一瞬で軽くなった。
「すみません。今、行きます」
その声に答えたのは、光子郎。返事を返して、笑みを見せるその姿は、何時もの姿と全く変わらない。
「その言葉、しっかりと覚えていてくださいね」
しかし、自分の横を通り抜ける瞬間に、小さな声で囁かれたそれは、否定する事を許さない響きを持っていた。
「………忘れない、さ………」
自分を残して歩いていく後姿に、ポツリと返す。
例え相手に聞えなくっても全く関係ない余言うように、それは、まるで自分自身に言い聞かせるような呟き。

はい、『GATE 25』になります。
今回は、『GATE』を書いてて初めて、本編に太一さん以外から話を進めさせて頂きました。
本当に、驚き。
この内容だと『裏・GATE』には、もっていけないという事で、こう言うことになってしまいました。
今までの趣旨に反した『GATE』ですが、お許しください。
それにしもて、話が全く進んでないですね。
レオモンさんのお話は、一体なんだ!早く書け、自分!
そんな訳で今回も短いのには何時もの理由です。
『裏・GATE』UP予定です!!
勿論、今回も、『ヤマトさん視点』と『光子郎さん視点』で、頑張りますね!
何時、UPになるかは、謎ですけど……。<苦笑>
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