春の夜長に電脳遊技!  〜 ゲーム の部屋 〜



SDガンダムウォーズ【PiPPN】

 Macintosh初の本格的SDガンダムGシリーズがこの『SDガンダムウォーズ』です。とはいえ、内容はSDガンダムGシリーズよりも、むしろ、『ガンダムジェネレーション』に近いノリになっています。システムは四角ヘクス制の非リアルタイムシミュレーションです。ヘクスが四角な点以外は一見典型的大戦略系シミュレーションに見えます。

 ただし、システムとしての中身は大戦略とはかなり違ってます。移動、戦闘については、(若干違う点もあるにせよ)大戦略そのまんまなのですが、このゲーム、生産という要素が全くないのです。従って、シナリオ開始時に用意されたわずかな戦力と、敵の基地を占領することによってごく希に得られる僅かな捕獲MSによって戦い抜いていかねばならないという「非情」に厳しいシステムになっています。戦闘で破壊されたMSは「修理」することで復活させることが出来ますが、「修理」すると、数に限りがある(シナリオマップ上で僅かに補充される)専用の修理ユニットを消費してしまいます。当然プレイヤーとしては無損害でのクリアを目指すことになるわけですが、これがなかなか一筋縄ではいきません。

 というのは、このゲームにはキャンペーン版大戦略同様、視界の要素があるのです。つまり、索敵が重要になってくるのですが、このゲームの索敵用のユニットときたら、キャンペーン版大戦略の同種のユニットに比べて性能がイマイチ、いや、イマサンくらい劣るのです。ミノフスキー粒子おそるべしというか……敵が視界外にいる時でも近くにいると警告はしてくれるのですが、敵がどこにいるかまでは教えてくれないので、全く役に立ちません。おまけに、索敵機は戦力としては完全に無力というお約束はこのゲームでもきっちり守られており、索敵機を突出させようものなら、敵を発見することすら出来ずにあっという間に袋叩きにあって撃墜されてしまうという……いったい、なんのための索敵機だぁっ!

 ってなわけで、敵の奇襲攻撃の回避が非情なまでに困難なこのゲームでは、ロード&セーブを繰り返さない限り、無損害での勝利はかなり難しくなってます。コアファイターなんて、そりゃあもう、あっけなく撃墜されてしまうし……まぁ、マップのプレイ中でもセーブは自由に出来るので、逆に言えばロード&セーブを繰り返せば無損害のパーフェクトプレイも結構簡単に出来る(勿論乱数の出目が操作できるからではなく敵の大体の位置がつかめていれば、という話)と思いますが……美しくないなぁ、それは。

 ……そうそう、このゲームの索敵用のユニット、と書きましたが、このゲームのユニットは今までのSDガンダムGシリーズのユニットとはちょっと違ってます。今までのSDガンダムGシリーズではMS1体で1つのユニットでしたが、『SDガンダムウォーズ』では3機のMSで一小隊、即ち、一つのユニットを構成します。とはいっても、小隊を構成するMSは同種のMSではなくても構わないので、ガンダムとガンタンクの遠近両用混成ユニットを作ることもできます。このあたりは大戦略「とよく似てます。同一MSを集めた専業ユニットに徹するか、万能構成のユニットにするかは好みの分かれるところでしょう。

 ちなみに、このゲームには初代からVガンダムまでのMSと戦艦、合計120種類が存在するそうですが、大別すると、このゲームにはガンダム、ガンキャノン、ガンタンク、ジム、コアファイター、そして、戦艦の6種類しかないという非常に分かりやすいシステムになっています。(連邦軍の場合)

 じゃあ、120種類って一体何なんだ、という話になるんですが、実はこのゲームには、『SDガンダムジェネレーション』で採用されていた「クラスチェンジ」システムの強化発展版ともいうべき「換装」システムが採用されているのです。

 『SDガンダムジェネレーション』では、最弱のMSが、経験を積みつつ無数の分岐したクラスチェンジをしながら最強のユニットになっていく、という方式で、ボールの最終進化形態がパーフェクトジオングにもなりうるという、一種とんでもないシステムだったのですが、『SDガンダムウォーズ』の「換装」システムは、これとはちょっと異なります。

 このゲームでは、先に説明した6種類(連邦軍の場合)に大別された機体それぞれが独立した進化系列を持っていて、経験を積むことで他の機体に換装が出来る、というシステムになっています。「クラスチェンジ」システムによく似ていますが、コアファイターが進化してパーフェクトジオングになるとか、ジムが進化してZガンダムになる、といったことは、このゲームでは絶対にありません。また、戦艦の中には潜水艦も用意されており、水中用MSと合わせ、水中専用の部隊を組むことも可能なのですが、進化したMSは、ペナルティなしで元のMSに戻ったりする、例えば、アクアジムから、ノーマルのジムに戻ることも出来るので、専用の部隊を維持しておく必要はなくなっています。後半、宇宙戦がメインになって無念の部隊解散をする必要はないわけです。

 まあ、換装ってパイロット以外のパーツを全て交換しましたって意味ですか?という疑問はありますが、『SDガンダムジェネレーション』よりはしっくりくるシステムになっていると思います。このあたりはアイデアの勝利かも知れません。『スーパーロボット大戦』型のパイロットと機体が完全に独立したシステムとは別の楽しみがあり、個々のMSにも結構愛着がわいてきます。それだけに撃墜されたときのダメージは、計り知れないものがありますが……。

 というわけで、操作性は比較的いい(Macintosh版大戦略VDXよりもはるかにいい!)し、ガンダムファンならかなりお薦めです。操作系や画面デザインもPiPPIN用ということもあってか、かなり家庭用ゲーム機を意識した作りになっており、好感が持てます。(『GUNDAM TACTICS』の時は、どうしてもぱっと見た感じ取っつきにくそうでしたから、損してたように思います)マニュアルに「ドラッグ」についての解説がある等、初心者を意識した作りは他のゲームも見習って欲しいところです。

 難をいえば、対戦プレイができない(このシステムで『SDガンダムジェネレーション』のような燃えるプレイがやってみたい!)とか、CD−ROMがないとプレイできない(……どうせPowerBook5300じゃ内蔵できないよ……)とか、各機体の耐久力の残存値がぱっと見ではわからないとか、若干の欠点はあるものの、ガンダムの世界観で大戦略がやってみたい方にはぜひお薦めといえるでしょう。

 しかし、このゲーム……なんというか、何故にSDなんでしょう。(爆) 特にオープニングムービーを見ると……ある意味、必見のオープニングムービーです。(爆笑)


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