石田神社(岩田)

岩田帯  (いわたおび)



安産を願って妊婦がお腹に巻く布を「岩田帯」といいますが、そのいわれが八幡市南東部の岩田に伝わっています。

その昔、岩田の地域は綿の産地でした。
ある年、どこの農家も綿の刈り取りに精を出していた秋晴れの昼下がり、京の都から大勢のお供を連れたお姫様の一行が、岩田を通りかかりました。そのお姫様が急に産気づき、周りのお供があわてふためいていると、それに気が付いた村人たちが、近くの野小屋に収穫したばかりの綿を敷き詰めて寝かせ、無事、元気な赤ちゃんが生まれました。
その頃のお産は、悪くすると命を落とすこともある大変なことでしたが、村人の機転と岩田の綿が、安産に導いたのです。

その後、岩田地区では縁起を担ぎ、綿を紡いで布を織ると、毎年正月には、厄除けを祈願して村にあるお宮さんに奉納し、賽銭箱の上に吊した鈴に結わえました。また、身ごもった女性が5か月目になると、その鈴につけた布をもらい、安産になるようにと、しっかりお腹に巻いたそうです。これが「岩田帯」の起源だということです。

江戸時代の八幡には綿を栽培する農家が多くあって、繰綿延売買所もあったといいますから、まんざら根も葉もないお話ではないようです。


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