2006.2
地域での暮らしを支える“権利擁護システム"

インタビュー「地域の生活を支えるための権利擁護システム構築の必要性」
 権利擁護とは、社会全体の中でハンディキャップのある人達の、特に財産権、人格権をどのように擁護するかということです。いわゆるノーマライゼーションであり、この考えは国連の人権宣言をもとにしている。
 知的障害や精神障害、あるいは高齢者の財産権の侵害、身体的、人格的虐待、消費者被害など。知的障害では、消費者金融から少額のお金を借り入れ、借金したそばから無計画に使ってしまい、気がつくと借入金が高額になっていることがある。そのため、毎月使う金額を決めて、その額だけを地域権利擁護事業の生活支援員が銀行から引き出して本人に渡すなどで対応している。
 地域権利〜は、法的な根拠が在宅者であるため、施設入所する際に、家屋を売りたいとか財産処分など生活支援員の業務の範ちゅうを超える。しかし、成年後見人制度へ生活支援員が結びつけるのは、申し立ての費用や適当な後見人の選任などが問題となって、成年〜まで結びつかない事が多い。新しい制度では、市区町村の申し立て権が認められたが、法的な権利擁護や財産的権利擁護を徹底することが十分ではない。
 新しい制度では、法人後見が出来て、後見人として適当ではない候補者が何人もいても問題で、家族紛争が起きそうな場合や財産管理に専門家が必要な場合は、中立的な立場、あるいは専門的な後見人として法人がなる制度である。
 任意後見は、本人に意思能力が無くなってしまう場合に備えて、あらかじめ後見人を定め、公正証書で財産管理などを委任する制度である。この制度を活用すれば、有料老人ホームなどで保証人が必要な場合でも大丈夫だし、死後の財産管理や死後の手続きもしてくれる。確かにお金がかかるが、何かのトラブルがあった場合は、より大きな損害を被ることになる。本人の権利よりも相続人の権利を守るでは困るのである。

田山輝明「成年後見制度と地域福祉権利擁護事業の現状と課題」
 成年後見制度〜補助・保佐・後見の3制度が導入された〜別の「月刊福祉」参照。
 2003.3月……福祉サービス利用者の権利擁護の進展
 2001.7月……福祉サービス利用者の権利擁護の現状と課題
 1999.12月…地域福祉権利擁護事業スタート!
 1998.6月……高齢者・障害者の権利擁護システムの構築
 
任意後見制度

成年後見制度があまり普及していない背景
 あとは、高齢者虐待、消費者被害、施設オンブスマン、DV、児童、地域福祉とレポートが続く。虐待はやや論文寄り。消費者被害は分かり易い内容となっている。
2006.11.17

ホームインデックス