1999.12
地域福祉権利擁護事業スタート!

地域福祉権利擁護・成年後見人制度については別項の月間福祉、あるいは拙稿を参照のこと。

骨子として

必須の援助は、福祉サービスの利用援助である。具体的には、福祉サービスの利用に関する相談・助言および事業者や行政機関との連絡調整により、本人の意志決定を助けることが主軸である。ただし、公費負担のない民間の福祉サービスと入所施設などの契約は社会福祉協議会が代理しないと言うことを別に定めている。
特に施設入所にについての代理は、それが必要な場合は、意志能力が相当低下しており、自らが契約できないことが想定されていることから、実際には措置制度も含めた行政との緊密な調整が地域では必要であるため、この制度の援助の方法とはしていない。要するに重度でない痴呆老人で居宅を中心とした人を対象とした制度である。在宅福祉サービスに限定。さらに能力低下により対等な契約が困難になった場合は成年後見人制度への移行などを視野に含める。
また、都道府県社会福祉協議会(地域福祉権利擁護センター)が中心として行っており、これは公益性の観点からも妥当な判断である。また基幹的社会福祉協議会(市区町村)が生活支援員と専門員を配置して実施している。契約締結の際には専門員が判断するがこれが困難な場合は、本人の了解を得、基幹的社会福祉協議会などが設置する契約締結審査会に審査を依頼する。

座談会
福祉サービスの利用手続きの援助や代行、日常的な金銭管理をする
例えばホームヘルパーを依頼すれば介護や家事援助を受けることは出来る。しかし、そもそもホームヘルパーを頼むことは手伝ってくれない。頼んだ後でヘルパーの仕事がキチンとされているのかのチェックや利用料を払うことも手伝ってくれない。こうしたことを地域福祉権利擁護がになうことになる。自己決定という点に照らせば、こうしたことも自分で行うのが原則である。しかし、本人が自分だけで出来ないのであれば、分かり易く説明したり、書類を見たりする際に内容の理解を助けたり、自己決定を援助するのも役割である。しかし、あまりに自己決定能力が低いとかそうした人はガイドラインからはずれることが多い。こうした人たち(代理権的なやり方を必要とする人)は、成年後見人制度への利用で進めていく。
成年後見人制度の法定後見人では補助、保佐、後見があるが、地域事業は補助、保佐が判断能力の面でオーバーラップする。さらに、補助にもよらない対象者も地域事業では含まれている。後見人制度では不動産の売却などが出来るが、地域事業では出来ないという職務範囲がある。仕事上の違いでは、補助は代理権という形での援助、保佐は取り消しという方法で本人を保護する事が基本。地域事業では、情報提供や利用契約をすると言った支援であり、代理権は例外的な位置付けとなっている。しかし、預金の出し入れなどは代理権的な意味合いがある物の、本人の指示を受けながら代理活動をするというのが基本スタンスになる。
地域事業の真価は、権利主体者である福祉サービスを必要とする人が、多元の供給主体による多様な福祉サービスの利用によって同じ土俵で福祉の町作りに望むことを可能とすることにある。それは権利擁護の目的が、同じ住民の一人として社会に参画する責任を果たす権利の発揮というセルフアドボカシーに向けた養護にあるという認識の重要性にある。

平田厚「イギリス・コミュニティ・ケア改革のおける民事的支援と地域福祉権利擁護事業」
福祉的支援(介護保険)とは、身上監護を中心としたものであるが、民事的支援は身上監護に関する意志決定の支援(地域福祉権利事業)及び財産管理に関する意志決定の支援(成年後見人制度)の双方を含んでいる
コミュニティ・ケア改革は1950年代のサッチャー政権下で行われる。グリフィス報告(1988)白書で人々のためのケアの公表、1990年の国民保険サービスおよびコミュニティ・ケア法の立法化で明確化される。その内実は、地方自治体への福祉サービスの一元化、サービス供給主体の多元化、ケアマネの導入、苦情解決の処理などである。
2005.12.14

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