いや、なんてことないんスよ…
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 2  オオサカはネタもコッテコテやでぇ

さて前ページは60点ほどの写真がありましたがこれでも初日の午前中です。午後は今回ワタクシ個人としては一番期待しているネタに向かうことにします。


最寄り駅はJR桜島線桜島駅です。でも灰は降ってませんな。当たり前か。そこからバスに乗っていきます。


この辺りは臨海部の工場地帯でもあります。


なので空が広い。真夏の大阪の日射しが容赦なく照りつけますが、それも心地よい感じ。さてバスの時間も来ましたし、いよいよ向かうことにしましょう。


バスは橋を越えていきます。さていよいよ見えてきました? 前来たときとは少し違うような気も…


むむぅ… 何か違う建物のようです。


なんだこりゃ? 後でこちらも行ってみんといかんようですな。


あぁ、あった、あった。こっちが目指す建物、大阪市環境局舞洲工場です。いやぁ、久し振り。前回来たのはまだ完成していない2000年でした。


前回同様、我々を廃墟とかに引きずり込んだ永岡大先生へのオマージュとして。


ようやく辿り着きましたよ、舞洲工場へ。5年越しでやっと中が見られるという事実に武者震いが襲ってきます。(嘘)


当時も壮大な無駄だと感じた駐車場も当然のように残っています。


そして念願の中へ。中も意匠は非常に手が込んであります。廊下の手摺りが手曲げな清掃工場がココ以外どこにありましょうか、イヤ無い。(反語)


入口入って、中から入口を見た様子。どこかのイタリアンレストラン風情でやがります。


ここまで凝らなくてもイイって。兎に角設計したフリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサー氏(名前長っ!)の意向を最大限に再現しようとしてます。その熱量は果たしてどこから来るのか。


そしてこれが全景。模型ですが。建物のいたる所が緑化されて、可能な限り自然と同化するような配慮がしてあります。


そしてこちらは兄弟ともいえるオーストリアはウィーンのゴミ処理場の模型です。こちらは元々あった処理場を改築した際にフンデルトヴァッサー氏が外装デザインを請け負ったものです。
彼のデザインコンセプトの主たる柱となるのが「人間(建築)と自然の共生」です。人間も自然の一部である以上、建築も環境の一部であると考え、可能な限り自然にダメージを与えないように彼は様々な建築物をデザインしました。ウィーンと同様に大阪市も環境について考えるためのトリガーとすべく彼のそのコンセプトを取り上げ、ゴミ処理場のデザインに採用したのだと思います。詳しくは後述しますが、だからこそ彼のデザインが採用されるべきなのは環境への負荷を減らすように廃熱を利用した発電をする焼却場であり、汚泥から建築資材を作るスラッジセンターであるのです。


そしてこちらが工場の中身の全景。蒸気タービンによる発電施設を備えています。蒸気タービンの特性上、工場が大きくならざるを得なくなってしまいますが、まぁ元々何もない土地ですから多少の大型化は許容範囲かと。


こちらはフンデルトヴァッサー氏が作った工場のコンセプト。これをみるとフンデルトヴァッサー氏は建築家というより芸術家ですな。


適当に置かれてましたが、こちらは当初彼が煙突部分はこういう意匠にしたかったそうな。煙突の外側に部屋を作り、そこをレストランにするとの計画を持っていたそうです。しかし流石にこれはコスト的に断念。もし実現できたとしてもこの近辺じゃ誰も客来なくてあっという間に潰れてしまいそうですがね。


そして中の雰囲気はこんな感じ。普通のゴミ焼却場です。流石にここまでフンデルトヴァッサー風味ではございません。チト残念。


そして今回何下に一番感心したのはコイツ。つってもコイツそのものではなくてこの工場自体の仕組みですわ。この工場はゴミを焼却した熱でもってタービンを廻し、発電をばしております。そしてその電気を売ることでこの工場の運営費用を賄っており、さらに黒字が年間10億円ほど出ているとのこと。しかも大阪市は可燃ゴミは100%焼却しており、埋め立てには一切廻してません。東京都が焼却率が62%程というのを考えるとその焼却率の高さは凄いです。まぁ東京湾より大阪湾は狭いですからね。
一部ではここの総工費の高さ(609億円)にケチを付けてる人も居られますが、これまでコストセンターでしかなかったゴミ焼却場をプロフィットセンターに変えたことは高く評価してもイイと思うんですけどね。大体、普通に焼却場作っても数百億かかる上にその後のランニングコストも掛かるわけですから。


そしてこちらが運ばれてきたゴミを投入する投入口です。なんでもこの工場はまだ焼却のポテンシャルが残ってるそうで、将来的にゴミが増えても大丈夫な上に、黒字幅の増大も見込まれます。
で、なんか物言いが大阪市の味方になってしまってますが、別にそうじゃなくて、行政のやることは全部悪だと決めつける見方をする人が嫌いなだけです。ゴミは燃やすな、リサイクルするなり堆肥化するなりしろとか抜かす輩がいたりしますが、じゃぁリサイクルした場合のコストは誰が負担するのかと。できた堆肥はだれが使うのかと。今の日本においてはリサイクルはかなり非経済的と言わざるを得ません。余計にエネルギーやお金を使う羽目になったりします。なのにリサイクルを強要するのは自己満足でしかないです。また堆肥についても、じゃぁお前らがその堆肥を使って農業でもするのかと。もうアホかと。そんなことしやしないで自分たちばかり都会の便益を享受しながら、「自然が…」とか抜かす輩はホントに反吐が出るほど嫌いです。


熱くなりすぎました…
ここいらで一度外にでることにします。



バラバラでありながら全体的に何となく統一感のようなものもあり、全体としてすごい存在感を持っています。
って前の頁の軍艦アパートと同じ反応なのが自分でも痛いですな。しかしこの膨大な数の窓は殆どがダミーです。確か生きてる窓ってこの写真の範囲だと2つぐらいしかなかったような。


相変わらずの手作業マンセー。


その徹底っぷりはこんなところまで手を加えています。なんてたってゴミの量を量るゲートの屋根にまで屋上緑化が。呆れるというかなんというか…


そして外壁に使われているタイルはイタリアからの直輸入とのこと。いやぁ流石にそれはやりすぎじゃないですか?


そうこうしているうちに外側の見学も終わり、再び中に入ります。


そしてこちらがコントロールセンタ。よく見てもらうとわかりますが、各種モニターを埋め込んだパネルですらウネウネです。ホント何から何まで徹底してて頭が下がる思いです。


ああ、朝早かったからねぇ…
って、折角我々だけのために説明してくれているのに何という体たらく。


まぁこんなグダグダ風味のデモだけに流石にしょうがないッスかね。


てな感じで見学は終了です。あとはもう少し周辺を見て回りましょう。
で、気になったのがこちら、煙突です。



事前知識なくぱっと見せられてこれを煙突だと即答できる人がどれだけいるのか考え込んでしまいそうなほど奇妙な造形です。


先っぽが丸く、下の方に茂みがあり、血管のように縦に走る装飾。何か不埒なものを想像しがちですが、気のせいですかそうですか。


そして最下部はこんな感じ。煙突ですから中に部屋もありませんし、当然窓なんか不必要なんですが、当たり前のようにダミーの窓が付けられています。もしかしたらこれは煙突なんかじゃないのかも…


ここのタイルも妙に高げですな。



いやあ楽しかったッス。普段の建築系の見学は外から見ることが殆どなんですが、中にまで入って、その上に説明まで受けられるというのは何とも言えない満足感でございます。流石公共施設。


そして先ほどから気になっていたもう一つのフンデルトヴァッサーに逝きましょう。


こちらはスラッジセンターです。スラッジとは一言で言うと汚泥です。ここは下水汚泥を固め、焼いてブロックを作り、公共事業の建設資材に転用しています。


焼却場は様々な色遣いで非常にカラフルでありましたが、こちらはやや落ち着いた感じです。


とはいえ普通の施設なんかに比べると全然色調豊かです。ここでもイタリア製タイルを贅沢に奢っております。


今回こちらはその存在すら知らなかったので見学の予約とか全然してません。なので入れるのはこちらのロビーまでです。ロビーにしても壁が平らではなくこのようにうねってます。流石。



そしてこちらが先ほどの焼却場の説明員の方からも「あそこは一度入った方がいいよ」といわれていたトイレです。オサレ過ぎ。なんだったら住んでしまってもいいぐらいです。(いやそれは無理)


この建物、外側も小川が周りを取り囲んでいたりとかなり力の入った作りとなっています。まぁ、完璧にやるのはいいんですが、ここまでやるとそりゃあ批判も出るわなと。ただ折角この辺の事業は黒字化させてるんだから大阪市はもう少し巧くアピールすべきですわ。


とまぁ大満足のフンデルトヴァッサー 二つでした。こんなの見るとUSJなんてビタイチ興味湧きません。駅まで来てますがあっさりスルーです。


と知的好奇心が満たされた後は今度は食欲です。今宵は鶴橋にやってきました。


段々大阪にも慣れてきているせいか、鶴橋も昔ほどの威圧感を感じなくなりました。昔はもっと怪しげで、我々みたいな余所者は立ち入ることも憚れるようでした。


で、今回お邪魔したのは こちら「ぱっぷはうす」。鶴橋の中心的エリアからは外れますが、やけに評判の良いこのお店、つっこんでみることにしました。



う〜む、確かに旨いです。値段は至極普通ですので、スゲー高い焼き肉屋でのような旨さではないのですが、同クラスの焼き肉屋と比較すると間違いなく上位ランクでございます。ということで普通に完食。ゲフー。


そして店の前には怪しげな店が… 逝ってみたい…


後ろ髪引かれながらもホテルに戻るわけですが、途中鶴橋駅のガード下には立ち食いの寿司屋もありました。鮨のファストフードとしても出自を一番適切に体現している店と言えますな。



そして今夜は梅田駅直結のホテルにお泊まりです。男三人こんな夜景を楽しんでどうするつもりでしょうか。立地的には駅が近くて移動が楽なんですがねぇ。

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頁01 高射砲〜軍艦アパート〜安治川トンネル

頁02 幻想的な舞洲清掃工場〜鶴橋

頁03 小ネタ満載から太陽の塔(o{ o)

頁04 京都−琵琶湖疎水と湯豆腐

頁05 かなり無理したトロッコ列車

 

 

 

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