DIARY

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    1月26日 2007
    
高いIQと人生の幸福は関連する?
    1920年頃、Termanらは、
高いIQを持つ子供は後年に健康的でより長寿となるだろうと想定し、
「知能指数(IQ:intelligence quotient)」を提唱し、
「Stanford Binet Test」として発展させた。
Termanは、
高IQを有する11歳の子供たち135人と面接し、
良く調和の取れた、適応能力のある、幸福に満ちた、健康な子供たちである
と公表した。
この研究が、その後も続けられ、
性生活、政治意識、所得、宗教的信念、身体的・精神的健康、
生活や結婚の満足度にその範囲を広げ、80年続いたのである。
そして、
その分析結果は、
「高いIQは、必ずしも長寿を意味せず、
 being conscientious(実直であること)が、生命予後の改善効果を示す」
というものであった。
その後、
自尊心や快活さのような他の性質についての分析により、
中年時に結婚生活を維持していることが
健康的に老年を過ごすことを予測する因子であると解析した。
そして、
50歳の幸せな結婚生活は、
80歳のときに幸せに老化するための指標であり、
メンタル的に活動性を維持すること、友達を多く持つことが、
もう一つの幸福な因子という報告であった。
メイヨークリニックの研究者たちは、
「ポジティブで楽観的な態度は、悲観的な態度と比較し、
 より幸福で、高齢でも幸福である」と結論付けている。
ようするに、
子供の時にIQ知能指数)が高いという事実と、
歳を取ったときに知的で幸福な人生を送れるということとは
関連性がないということである。

まぁ、当たり前といえば当たり前の話だけど・・・。
よかった!!!

そういえば、
「女性が夫の手を握ると即座にストレスを解消できる」
という研究結果が、
医学誌「Psychological Science」12月号に掲載された。
対象は
結婚生活の満足度をみるテストで高スコアを取得した既婚女性16人。
MRI(磁気共鳴画像診断)による脳スキャンを行いながら、
誰の手も握らない、
夫の手を握る、
知らない男性の手を握る
というそれぞれの条件の下で、
被験者にごく軽い電気ショックを与えるというストレスを課した。
ストレスを受けると、脳の活動が激しくなる。 
この結果、
手を握っている状態のときは、
夫および知らない男性のいずれの場合でも、
身体的な反応を司る脳の部位が沈静化することがわかった。
しかし、最も高い効果がみられたのは夫の手で、
夫の手を握っているときだけは、感情を制御する脳部位も沈静化した。 
また、結婚生活が幸せであるほどこの効果が大きいこともわかった。
結婚生活の満足度が特に高く、「スーパーカップル」とした夫婦では、
女性が夫の手を握ることにより得られる効果がほかの女性よりも大きく、
さらには痛みを感じる脳部位にも沈静化がみられた。
「スーパーカップル」なら、
手を握ることは一種の鎮痛薬的効用もあるということである。。


「手を握る」というのはストレスを感じたときの小児の習性であるが、
これが大人にも有効だというわけである。





    1月22日 2007
    
肥満が先か?腸内細菌が先か?
    英科学誌「Nature」12月21日号に掲載された研究。
体内の一部の細菌は善玉であり、
消化系では食物の分解をはじめ、いくつかの役割を担っている。
米ワシントン大学(セントルイス)医学部の研究グループは、
腸内細菌の構成が痩せた人と肥満の人とで異なるのかどうか、
肥満者12人の糞(ふん)便中の細菌を1年にわたり研究した。
その結果、
肥満者は痩せた人に比べ、
バクテロイデテス(Bacteroidetes)類の細菌が少なく、
ファーミキューテス(Firmicutes)類が多いことがわかった。
また、
これと同じ細菌構成(ファーミキューテス類が多い)をもつマウスは、
食物からカロリーを効率よく取り出すことができ、
これが体重増加を招くことも明らかにされた。
しかし、
肥満者がダイエットを続けることによって、
細菌構成は痩せている人に近いものになっていった。

しかし、
以上のことから、
単純に何処かのあやしい番組のような結論を引き出すのは
まだ、時期尚早だと思う。

    肥満になりやすいのは、
腸内のバクテロイデテス類細菌が少なくファーミキューテス類が多いためなのか?
さらに、
バクテロイデテス類が少なくファーミキューテス類が多いという特徴が、
肥満状態の定義づけあるいは肥満のリスク増大の指標となるのか?
腸内細菌を安全かつ有益な方法で意図的に操作して、
エネルギーバランスを制御することは可能なのか?
以上のような疑問は、今後の研究結果を待つしかない。

   それまで、黙してヨーグルトなどの乳酸菌を食べるしかないということである。
そういえば、「植物性の乳酸菌がおいしい。」と誰か言っていたっけ。
一度、味見をしてみよう!






    1月17日 2007
    
こんな事が、今さらニュースになるなんて!
   2歳未満の小児に
鎮咳薬や感冒薬を投与するのは危険な場合があり、
死に至る可能性すらある
という米疾病管理センター(CDC)が実施した新規調査が発表された。

CDCの『Morbidity and Mortality Weekly Report』1月12日号の報告書>
 米国では2005年に乳児3名(全員生後6カ月以下)が、
咳止めおよび感冒の薬の投与を受けた後に死亡した。
3名に共通していたのは、
鼻づまりの薬の血中濃度が高かったことであった。
さらに、
2004-2005年に2歳以下の小児1,519名が、
咳および感冒の薬に関連した副作用のため、
救急外来を受診している。

死亡した乳児は生後1-6カ月であった。
いずれも、
鼻づまりの薬であるシュードエフェドリンが血液検体中に高濃度で含まれていた。
「それらは普通の用量を投与した2歳以上の小児において認められる濃度の
 9-14倍であった」

具体的に、どういう事かというと、
これらの薬剤の多くは、複数の成分を含んでいるのである。
当然、2種類の薬剤に同じ成分が含まれていることもある。
それに気付かないで、
鎮咳薬と感冒薬を小児に与えると、
1つの成分の量が2倍になる可能性があるということである。
さらに、小児や老人は薬の代謝が一般成人とは違って、
薬が高濃度になる可能性がある。
それに加えて、薬の代謝には個人差もある。
さらに、薬を使ったからといって、
必ずしも、
症状が満足のいくレベルまで緩和されるわけではない。
効きが悪いからといって、常用量を超えて投与することもある。
これらのことが重なると、最悪の事態が起こることは十分にある。
常用量を使っていても、あり得るのだから・・・。

    こんな事は、もう10年以上前から分かり切っていたことである。
こんな事でさえ、
今頃になってやっと、
しかも先進国アメリカで
言われはじめたのが、道のりの長さを思い知らされてしまう。

医学界の人間は、
製薬企業の圧力があって言えなかったのだろうか?
それとも、啓蒙することをサボっていたのだろうか?
いずれにしろ、怠慢としか言いようがない。

僕のような町の開業医が、いくらがんばって言っても、
聞いてくださるヒトは、僕の周りの人でしかないし、
HPを見て、納得してくださるヒトもそんなに多くはないから、
この報告が、メジャーになることを祈るばかりである。

   そういえば、この数日、インフルエンザ様疾患が増えてきた。
きっとインフルエンザだろう。
(例年のごとく、あまり検査は薦めないので、確認はしていないが)
要注意である。








    1月 5日 2007
    
笑う門には福来たる。
    あけましておめでとうございます。
ヒトは、笑い声を聞くと、
微笑や笑いをコントロールする脳領域が活性化する様である。

   研究者らは、
良好な聴力を有する20名の健康な人々(平均年齢:32歳)に
ヘッドホンを通して笑い声を聞かせた。
そして、笑い声を聞いている間、
被験者は機能的磁気共鳴画像(fMRI)を用いた脳スキャンを受けた。
脳スキャンによって、
微笑んだり笑ったりするときに使う顔面筋をコントロールする脳領域の活性を調べた。
この笑いの刺激によって、その領域の脳が活性化していることが示された。
つまり、
笑い声が脳を刺激し、笑ったり微笑んだりする準備をさせたということである。

   やはり、「笑う門には福来たる。」 ということだと思う。
しかし、
おかしくもないのに無理に笑っている芸能番組の芸能人達を
見るにつけて不快に思うのは、
僕がひねくれているからだろうか?
おそらく彼らは、本能的に、
この理屈が分かっていて、そうしているのだろうけど・・・。

    いずれにしても、この一年、
できるだけ笑って過ごしたいものである。

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