
とりあえずビール 2000
First of all, beer! 2000
川中不動
- 2000年正月、大分に帰省した折に国見から山越えで豊後高田に出るときに車から「川中不動」をちらりと拝見した。 名前どおり、川の流れの中に立っている岩に不動明王を刻んでいる。 時間がなく素通りしたが、車を止めれば良かったと後で後悔した。 奈良から柳生まで歩いた折に拝見した能登川の渓流にある朝日観音像を思い出した。 地元にいながら初めて見たわけで、この近くの富貴寺、長安寺、天念寺、なども含め、いずれゆっくり訪ねてみたい。
ユリカモメ
- 1月15日(土)、杉本苑子さんの「更科日記を旅しよう」(講談社文庫570円)を読んだ。 原典は高校のころ古文の参考書で読んだだけで、部分的にしか記憶にないが、「日記」の中に「竹芝寺の伝説」があり、「竹芝寺」とは今の三田四丁目の「済海寺」といわれている旨紹介されている。 文中、何の変哲もない寺だとあったので、そこを訪れる気持ちは起きなかったものの、浜松町を歩いてみるかと思い、旧芝離宮と日の出あたりを歩き、ついでにユリカモメに乗ってお台場も歩いた。 浜松町には職場があり、休日出勤の顔見知りに出会った。 悪いけど今日は暇だ。もちろんいつも暇なわけではない。
- 貿易センタービルの地下食堂街で昼食、帰りに御徒町のアメ横で一番安い海苔(10帖1,000円也)と、ピーナツバターの入ったコッペパン(1個100円)を3個買う。 大学センター入試試験があり、学生ラグビーで慶應が優勝したりしているが、こちらは海苔とコッペパン。
日本国宝展
- 4月7日(金)夜、桜が満開の上野で東京国立博物館で開催されている日本国宝展を見学した。
同館は金曜日は夜8時まで開館しているので、サラリーマンには便利だ。それでも桜の季節とあって館内は少し混雑していた。
特に「鳥獣戯画」は1メートル進むのにもずいぶんかかった。 「吉祥天像」は97年10月の薬師寺特別開扉以来、ポスターにもあった円城寺の大日如来坐像にも久しぶりの再開となった。 8時前に平成館から出たら花見の宴会は佳境に入っていた。
六郷満山物語
- 5月31日(水)、友人から薦められていた、大分合同新聞社発行の写真集「国東半島紀行 六郷満山物語」をやっと入手した。
八重洲ブックセンター、新宿紀伊国屋の店頭になく、発行元に電話して、銀座の東京支局に届けていただいた。
紅葉の富貴寺本堂を表紙にした中谷さんの写真集は眺めて飽きない。 抑制された文章が心地よく、写真は当然のことながら雄弁である。
思わず息を呑む風景もあり、国東に育ちながら見落としていた景色の多いことをあらためて感じた。 国東の古寺を網羅した写真集として過剰も不足もない内容であり、中谷さんの半島の古寺を知悉した確かな眼を感じた。
半ドン
- 7月3日(月)、会社創立125周年記念の日、半ドン(古いかな?)で同僚2人と会社の近くの魚料理屋で昼食とビール。
今日も暑い。 空いた電車で帰宅、掃除(なぜ掃除なのかは聞かないでほしい)の後再びビール。
世間と配偶者に後ろめたさを少し感じないでいられた昼のビールの1日だった。
茅ヶ崎
- 7月16日(日)、神奈川在住の高校時代の同級生4人が茅ヶ崎に集まり、ささやかな同窓会を行った。
内一人は女性のため、卒業何年後と書くのは控えるが、「ついこの前」の卒業でないことだけは言ってもよい。
大分の高校時代から仲の良かったメンバーが同じ神奈川にすんでいることの偶然を喜んだ。
M君、呼びかけありがとうございました。
身代わり猿
- 旅行に出てその地の民芸品などを欲しいと思うことがある。 例えば、民芸品ではないが奈良の「身代わり猿」。
屋根の軒下にぶら下がり、格子窓を背景に風情がある。 これの複製を求めて持ち帰ろうかと思ったが、思いとどまった。
奈良町などの古い家並みの風景から切り離したものが、自宅の中ではたして違和感なく見えるだろうかと感じたからだ。
気に入ったもので、もともと棚などに置くのが似合うように作られたものでも、家に置くことに抵抗がないかは無意識に気にしている。
そうでないものはかなり躊躇する。 花や草を摘んできて器にさすことに抵抗感が少ないのは、花道という、「草花の命を扱う作法」があるからだと思うが、そうだとすれば「身代わり猿」のような「生活の中で生きているものを扱う作法」をまだ心得ていないということか。
骨董を見るのは好きなのに、手元に置くことに怯み、気に入ったものでも買ったことがないのもこれに通じるようだ。「骨董はいじるものである」(小林秀雄「骨董」)から、人がいじったものを身の回りに置く勇気がない。「何を気の小さいことを」と笑われても仕方がないが、良いものほど元の所有者の思いが染み付いていると感じるのだ。小林秀雄や白洲正子の強さがうらやましい。まだ修業が足りない、ということだろう。
旅にありて
- 9月16日(土)は終日激しい雷雨だったため、めずらしく外出せず、このホームページの新しいタイトルを考えた。 ややキザだが、「旅にありて」とした。
98年6月に開設したときに「東林間スケッチ」と名づけたが、タイトルどおりのスケッチは数ページだけで、ほとんどを好きな古寺の写真や下手なスケッチで占めているため、内容に合わせてタイトルを変えた。
新しいタイトルは、万葉集巻十二の、 「騎旅(たび)に思(おもひ)を発(おこ)す」歌 53首の中の、「旅にありて恋ふれば苦しいつしかも都に行きて君が目を見む」から借りた。
興福寺文化講座
- 興福寺さんから10月以降の「奈良興福寺文化講座」のご案内をいただいた。テーマは上期から継続して『慶派ー奈良仏師の仕事』。場所は有楽町・日生劇場(帝国ホテル隣)7階・国際ホール
- 19日の第1講は文化庁美術工芸課の伊東史朗さんで、テーマは「運慶の人と作品(上 前半生)」。円成寺大日如来像、京都六波羅蜜寺の地蔵菩薩像、静岡の願成就院不動三尊・毘沙門天像、神奈川の浄楽寺不動・毘沙門天、高野山金剛峰寺の不動堂八大童子像をご紹介いただきながら、運慶の父のこと、快慶との作風の違いにも触れて若き日の運慶とその作品を自説も交えて分かりやすく解説いただいた。また、興福寺の執事さんから秋の北円堂特別開扉を10月28日〔土)から行うとのご連絡があった。
ローマ人の物語
- 塩野七生さんの「ローマ人の物語\ 賢帝の世紀」が発行された。1992年から2006年まで1年に1巻のペースで執筆される予定で、完結まであと6年。ユリウス・カエサルはW、Xの2巻にわたって描かれ、さすがに男の中の男だと思いながら読んだ。アウグストゥスからネロ以降の混迷の時代を経て、今回は賢帝トライアヌスの登場である。1年に1巻なので、各巻がそれぞれ自分にとってどういう年だったかを思い起こすこともできる。
宝物風入
- 11月4日(土)、鎌倉の円覚寺の「宝物風入」を拝観した。3年前は建長寺だったので今回は円覚寺、というつもりだったが、見たかったのは舎利殿である。関東に長く住んでいるのに機会がなく、やっと拝観できた。桧皮葺で、禅寺としては思ったよりも線が細く、小ぶりな建物という感じがしたが、かつて鶴岡八幡宮の、今の近代美術館あたりにあった「太平寺」という尼寺が廃寺となったときに貰いうけた建物とのことで、納得した。若い坊さんの説明で、第二層の垂木が扇を開いたような形をしていることを知った。以前、奈良でスケッチしていたときに同じものがあったような気がしたが、思い出せない。舎利殿の背後にはそれと気づかないほどの開山堂があり、右手は道場である。先月も同じ円覚寺でスケッチなどをして遊び、この秋は鎌倉づいている。
国東・富貴寺
- 11月20日(月)休暇をとった帰省からの帰途、国東の富貴寺を初めて訪れた。あいにくの風雨で、紅葉も始まったばかりだったが、大堂にしばらく見とれた。わずかな時間を割いて立寄ってよかった。故郷にありながら、これまで訪ねなかったことが不思議だった。

トップページへ
To the top page
