雪の日の卒業式
Her way home from the school graduation

司馬遼太郎さんが昭和38年8月の「小説現代」に書いた「高野山の森」という小文がある。氏が24歳の頃「いっそ高野山大学にでも出家遁世してやろうか」と考えて、山に登ったときのことを回想したものだ。森とは奥の院の森のことだが、夕闇の中で明智光秀や蜂須賀小六などの墓を見て(この連中も、懸命に生きてきたのだ)と思う。「なにか、野蛮めいた力が、私のなかに湧いてくるような気がした。墓石の群れの中で三角の握り飯を食いながら、いつまでも立ちつくしていたのを、私はいま思いだしている。」
この女性は大学の卒業式の帰りだろうか。(霊宝館付近 98年3月15日)