2 聖水にてノブ解脱

 18:45ごろ、山形屋(「ヤマカタヤ」と読む。鹿児島最大のデパート。鹿児島県民はこのデパートが全国展開だと信じているので、上京すると山形屋が無くってびっくりするらしい)で、おちあう。


 19:00すぎ、竹ノ脇両親お薦めの焼き鳥屋「丸万」へ。何といっても、鹿児島は地鶏の生産量日本一ですからね。食べるしかないでしょぉ!

 この店には、メニューがない。
 飲み物は、芋焼酎(土地柄だなぁ。こっちの人は、何が無くとも芋焼酎なのだ!)とビール。
 食べ物は地鶏を焼いたもの(その他ごはんものもあるらしいが、私たちはそれしか食べなかったので分からない。第一、メニューがないから注文の仕方が分からなかった!)しかない。

 入ると飲み物を聞かれた後に、「どうします?バラシにしますか?」と、聞かれる。
「…?バラシ…?」
 バラシというのは、地鶏を焼いて、一口大に切ったもののことらしい。とりあえずは、バラしたものかバラしてないものかという2つの選択肢しかない。ううむ。シンプルだ。

 バラシを頼む。焦げかかった鶏がででーんと出てきた。

 焼き鳥とは、串に刺さったおなじみのアレだという先入観があるので、出てきたものにちょっとびっくり。
 鶏の大羽(チキンウイング)を調味料をつけて香ばしく焼き上げたものが、鹿児島でいう「焼き鳥」なのだそう。

 めちゃくちゃ歯ごたえがある。ブロイラーとは明らかに違う、濃くて力強い味。
 ブロイラーは、最初にじゅわっと味がしみ出てそれで終わり。表すなら「ジューシー」。
 一方鹿児島の地鶏は、噛めば噛むほど味が出てくる。自分の歯で「ぎゅっぎゅっ」て噛むことによって、旨味が主張してくるの。おいしすぎる…。

 1人2皿平らげて、店を後にする。私以外の3人は結構飲んでいて、いい感じに酔っぱらっている。へろへろしながら、竹ノ脇母のお店へ。


 21:15、竹ノ脇母の店着。竹ノ脇父も既にお店に来ていて、私たちのことを待っていた。

 …そこから大宴会。

 竹ノ脇母はものすごく料理の上手な人で、私たちのために鹿児島の家庭料理を色々作っておいてくださった。
 豚の軟骨を煮付けたものや、きんぴらゴボウ、高菜の炒め物などなど。
 それをつまみながら(私だけめちゃ食いしていた。おいしすぎるるるぅぅぅ(涙)っ!!)「島美人」という焼酎をひたすら飲む飲む!

 男は男同士(ノブ、竹ノ脇父、竹ノ脇、ノブの知人)で話していて、女は女同士(私、竹ノ脇母、お店の女の子)で盛り上がった。

 竹ノ脇母は、性格がウチの母親と、ものすごく似ている。さっっぱりさばさばしていて、思っていることをスパっと口にする人。
 すっかり意気投合して飲み倒した。

 …で、気づくと眠りの国と現世を行ったり来たりしている人はいるし、残りの3人も目がかなりうっとりしていて、ろれつが怪しくなっている。

 いい時間になっていた(2:30!!5時間も飲んでいたことになる)ので、帰ることになった。

 酔っぱらいをタクシーに押し込んで(←文字通り。彼は、その後無事に帰れたのだろうか?)、私たちは歩いてホテルへ。
 竹ノ脇一家の姿が見えなくなった瞬間に、ノブの歩調が乱れ始める。…おいおい、担いで帰れないんだからしっかりしてくれよぉぉ…。

 ホテルに着いたのが、2:40。
 …やばい、玄関が閉まっている…。
 真っ青になる。どうすりゃいいんだ、これから?頭の中がフルスピードで回転する。

 104番へダイヤル。
 ホテルの電話番号を教えてもらって、フロントに電話する。3分間コール音が虚しくこだまする。まるで嫌がらせだよな、と思いつつもそのまま鳴らし続ける。
 ノブがキれて玄関のドア(ガラス製である)を思いっきり殴りつける。通りがかりの若い子の視線が痛い。

 5分後「めんどくさいなぁぁ」という感じを思いっきり漂わせながら受話器を挙げる音。
 …助かったぁ…。謝りまくって中に入れてもらう。門限は2:00だった…。

 部屋に帰ってベッドへダイブ。深い眠りが訪れる、…はずだった。

 実際は、ノブが規則正しく1時間おきに吐き、私がいちいちその後始末をしなければならなかった。 やれやれ。


 10月11日(月)AM10:00。細切れの睡眠からの帰還。

 ノブ、8:00位から、吐くペースが落ち始めた。
 ノブにそろそろ水分を補給してやらんと、脱水症状を起こすだろう。ホテルには冷蔵庫というものがなかったので、簡単に身支度を整えてから一人で買い出しに出掛けることにした。

 外は、昨日と同じような上天気で、暑い。

 本来ならAM7:00に起きて、桜島見物などをするはずだったんだよなぁ…なんて思いながら、コンビニを探す。
 …なかなか見つからないので、自動販売機で500ミリのペットの水、お茶、アクエリアスを買う。


 部屋に戻る気がなかなかおきなかったので(あんなに頻繁に吐かれたんじゃ、いっしょに居ていい加減うんざりする)、しばらくブラブラすることにした。洋服屋さんがたくさんあるので、時間をつぶすのには事欠かない。

 PM0:00を回ったところで、ノブのことが気になって引き返す。
 ドアを開けると、ノブはベッドに突っ伏してぐったりしたまま事切れていた。
 やばいなぁ…と思いながら、アクエリアスを差し出すと、のろのろと起きあがって美味しそうにごくごく飲んだ。
 一安心。

 それから14:00までの間に2回吐いて、少し眠って15:00にようやく吐き止まり。

 用意して、PM4:10ごろホテルを出る。車に飛び乗って、鴨池港へ向かう。そこから垂水フェリーに乗って垂水市(鹿屋の隣りの市)へ…。

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