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公式ホームページ 昨年の記録 小児神経学会は名前の通り、小児の脳神経の疾患に関する学会です。ロイコジストロフィーはもちろん、他の先天性代謝異常でも神経症状が出る疾患は多いので、われわれとも縁の深い学会の一つです。もちろん、脳や神経に関する疾患全般の学会ですから、直接関係ない分野も多いのですが、代謝異常症を専門にしている最先端の研究者が参加しているわけですから、今後の治療法の研究などについても期待したい学会です。 昨年の第41回は東京で開催され、MLD HomePageを通じて知り合った関東近辺の仲間が直接顔を合わせ、その後も頻繁に連絡を取り合ういいきっかけになりました。小児神経学会は患者のセルフヘルプグループ、つまり親の会の活動にも理解があり、前回に続いて今回も展示スペースを無料で提供してくれています。基本的に学会発表は専門家対象ですが、今回のプログラムを見るとワークショップのVIIIが「代謝性神経疾患の骨髄移植治療」となっており、詳細な内容は抄録がないため不明ですがおそらくALD、GM1ガングリシドーシスなどについての発表があるのではないでしょうか。なお、プログラムは上記の公式ホームページに掲載されています。いままでいろいろ見てきたけど、ここまで手の込んだ学会ホームページははじめて見た。公開シンポジウムは「学童期の療育をどう支援していくか」がテーマです。
すでに学会事務局には会として参加申し込みをすましています。展示会場はシンポジウムの開かれる大阪国際会議場で、日時は6月10日の12:00〜18:00で、展示ブースとして1.8m×90cmの机が用意されています。何を展示するかは考えてませんが、いままでの例でいくと患者の会の案内(チラシを配る)、関連ホームページの紹介などが中心になると思います。今回は学術集会とシンポジウムが別の場所になり(隣接しているみたいですが)、昨年みたいにプログラムの合間を縫って専門医の先生方がブースの方に立ち寄って交流する、というのは難しいかも。でも、このページ読んでおられる方も多いのではないかと思うので、こう書いておけば来てくれるかも。 小児神経学会以外にもいままでいくつかの学会に患者の会として参加しており、遠方より参加していただいた方もいますが、今回は初の東京以外の場所での「ロイコジストロフィー患者の会/MLD HomePage」としての参加です。なかなか東京まで足を延ばすのは難しい中京、関西地区のみなさん、絶好のチャンスですぞ。今回は大阪地区代表ぽぽさんが世話人になってくれると思います(たぶん)。「会として参加」といっても、いままでの報告を読んでいただけばわかるように、別にその場で何をするということはあまり重要ではなく、日頃顔を合わせる機会がない同じような病気と闘う患者や家族、そういった疾患の患者を抱えているお医者さんが交流することがメインになります。だから、日頃、掲示板などに書き込みはしないが、実は読んでいるといった方、患者の家族ではないが、そういう患者を担当していたりする看護婦さん、保健婦さん、教育関係者のみなさんも気軽にお立ち寄り下さい。いままでもそういう関係を通じて同じ病気の患者同士が知り合えたことが何回もあります。シンポジウムは入場無料だし、「公開」なのでブースへは自由に(勝手に)行けると思います。 ところで、この展示ブースとは別に、せっかく大阪に集まるんだから、みんなでどこかに集まって食事したり話したりする(つまり、MLD HomePageのオフラインミーティングもやってしまう)というのはどうかな。 総会終了まで、このページでフォローしていきますが、とりあえずここまで。 (2000/05/20) 結局、私は9日の16:00ごろ会場に到着しました。小児神経学会の年会費は15,000円なんですが、会員でなくても13,000円で学会の聴講はできるということで、その場で手続きをして、抄録を2,000円で買いました。 ここで、「学会とはどういう雰囲気のものなのか」というのは、これを読んでいる人の大多数と思われる患者の家族の場合、まったく想像のつかないものだと思うので、ちょっとそこを説明します。なお、以下の話は、医者ではない私の考えですので、認識として正しくない点もあると思いますので、そのあたりは割り引いて読んでいただけるようお願いします。 この手の学会というのは、基本的に全国の(海外からの参加者も当然いますが)研究者(基本的には医者)が日頃行っている研究の発表会です。つまり、
といった報告を行うわけです。また、研究対象はその発表者がフォローしている患者に対する治療法とは限らず、
といった発表もあります。ともかく、そういう研究結果をもちよることによって、自分が直接研究している分野以外の情報を交換し、そうする中でみんなが納得した「仮説」が「定説」になっていくわけです。もちろん、その過程で発表に対して「うちのところでは反対の結果が出ているが、それをどう説明するのか」といった反論や討議なども行われています。 今回の小児神経学会だと、「講演」というのは一人の発表者が45分とかの時間を使って研究発表を行い、「ワークショップ」では特定のテーマに関連した発表を一人15分くらいの持ち時間で発表して、どちらもその後に質問タイムがある、という形になってます。発表はスライドを使った、テクニックとしても非常に高度な、密度の濃いプレゼンテーションで、その内容の一部だけが抄録に納められています。 あたりまえのことですが、専門家が専門家に最新の研究結果を報告するわけですから、医者としての基本的な知識はもちろん、その専門分野の知識や現状がわかってないと(その部分はいちいち説明しないので)なんのことかさっぱり、ということになると思います。専門家にしても関心のある分野はそれぞれ違うわけで、たとえば「代謝異常患者に対する骨髄移植」という発表があれば、代謝異常に関心があるが骨髄移植には興味がない研究者も聴講に来れば、代謝異常症についてはそれほど関心がなくて専門はむしろ白血病という研究者も来るわけです。 このように、ある特定のかなり絞られた研究課題に対して、それに部分的に関心のある研究者が聴講に来るわけで、われわれ一般人がえてして想像するように、ナントカ病の専門の先生が集まって「ナントカ病を治すにはどうしたらいいか」という相談をしているわけではありません。いいかえれば、研究発表としてとりあげるべきテーマがなければ、その疾患についての発表はないので、実際に今回の小児神経学会ではMLDに直接関連するような発表は一つもありませんでした。 もっとも、特定の疾患について研究していれば、興味があるテーマも重なってきます。今回の学会なら「代謝性疾患の骨髄移植治療」という形で一つのテーマに発表がまとめられていますから、結果的にそこには特定の、つまり骨髄移植が有効と思われる疾患、たとえばALDやムコ多糖症の研究者が集まるわけです。だから、いくら発表内容が「骨髄移植」に関するものだけだといっても、その他の治療法との比較の上での評価はどうかといった討議が行われたり、現在の患者の状況を前提にした上でのそれらの疾患の将来的、全体的な治療法の確立という方向性の上で骨髄移植をどう考えたらいいのか、といった討議も行われる(こともある)ります。そのため、結果的には、そのワークショップがたとえば「ALDという特定の疾患の治療に関する研究の場」としても機能しているわけです。 会場に到着したときには、特別講演の“Neurological bases for behavioral development in early infancy” Norbert Herschkowits(スイス・ベルン大学)が既に始まっていて、最後の方だけ聴講しましたが、これは脳神経の物理的な成長と、環境、行動の間には双方向的な関係があり、成長のそのときそのときの段階で環境から適切な刺激があり、それに対して発達段階に応じた行動をとることで、逆に脳神経の成長が促され、次の段階に進んでいくという話でした。次の講演もそうだったのですが、脳神経の研究が技術的な革新(バイオ技術やコンピュータ技術など)によって近年飛躍的に進んだ結果、脳と精神の関係が、いままで考えられていたように固定的で、ある時期の間だけのなものではないことがわかってきました。また、胎児期など早い段階でハードができあがった上でソフトウェアが段階的に動き始めるといった一方公的なものではない、ということが次々と明らかにされつつあり、従来のそういった実証的な手段がない段階で定説として考えられていた考え方が見直されつつあるのです。 続いて行われた特別講演「神経幹細胞の同定:脳発達における意義と中枢神経系再生への挑戦」岡野栄之(大阪大学)はその意味で非常に興味深い発表でした。従来、生後の人間の脳は(一部の例外を除けば)神経の再生・新生はおこらないとされてきたわけで、それがロイコジストロフィーの治療を考える中でも最終的なハードルになってきました。なぜなら、なんらかの方法によって発症を抑える、つまり脳白質の脱髄の進行を停止させることはできても、それまでの過程でいったん破壊された脳神経をもとの(健常な)状態に戻すことはできないと考えられてきたからです。これは酵素補充療法・骨髄移植・遺伝子治療など、まだ研究段階にある治療法が仮に実用化されたとしても解決できない問題があることを意味しています。また、だからこそ神経症状の出る代謝異常症については早期発見が非常に重要な課題となるわけです。 ただ、骨髄移植については、脳神経の状態が改善するといった報告もされており、それがどのような理由で起こるのか、どのような疾患のどのような条件なら起こりうるのかといったことに最先端の注目が集まりつつある状況ではないかと思います。そこで、この講演のテーマになっている「神経幹細胞」、すなわち、分裂を繰り返すことによってさまざまな種類の神経細胞に分化することができる神経細胞の「タネ」とも言うべき細胞の意味と治療への応用がロイコジストロフィー患者にとって非常に興味深いものとなります。 実際にその研究を行うには、神経幹細胞を他の細胞から区別したり、実験用に増殖したりするための技術が当然ながら必要になってきます。岡野先生の発表は、このあたりに関する独自開発の最新技術と、それを用いて実際に神経幹細胞が脳の中でどのようにふるまい、機能しているかを再検証した結果、なにがわかってきたかということについてのものでした。 その成果を簡単に説明すると次のようなものになります。
岡野先生の発表は非常に広範囲かつ密度が濃いもので、ここで素人が簡単にまとめられるようなものではないのですが、私は個人的に非常に感銘を受け、また将来の治療法の確立についても明るい希望がもてました。なお、岡野先生は「神経幹細胞の基礎的な性質と治療への応用(仮訳)」というテーマで国際ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム推進機構(HFSPO、本部フランス/ストラスブール)の研究グラントを獲得してます。 特別講演の後は「ポスター・セッション」というのをのぞいてきました。ロイコジストロフィーについてはペリツェウス・メルツバッハ病(PMD)について3件の発表があっただけで、そのブースの発表者の先生に患者の会の紹介文を渡して、研究対象になったPMDの患者さんがいる病院と連絡がとれたら、そのような患者の会があり、PMDの患者の家族も参加していることを患者さんに伝えてくれるよう頼みました。 10日午前中には、今回の学会中、ロイコジストロフィー患者にもっとも関連の深いと思われるワークショップが開かれました。まず、その演題と発表者をご紹介します。 司会
1)このワークショップを企画するにあたって 2)日本における先天性代謝異常症に対する造血細胞移植治療の現状 3)本邦におけるadrenoleukodystrophyの骨髄移植の現状 4)副腎白質ジストロフィー症に対する骨髄移植の経験 5)発症3ヶ月後に骨髄移植を施行した副腎白質ジストロフィー男児症例 6)本邦におけるムコ多糖症II型(Hunter症候群)の骨髄移植治療の現状 7)先天性ムコ多糖症3症例の骨髄移植:MRI所見から見た脳に対する治療効果 8)先天性代謝異常症3例に対する骨髄移植 9)リソソーム病3例に対する骨髄移植 10)Hunter症候群IIA、IIB、Morquio症候群、ALDに対する骨髄移植の経験 代謝性疾患に対する骨髄移植は聞くところによると1981年にMPS-Iに対してはじめて行われ、その後20年間にわたって世界で400例以上、日本では62例が報告されているということです。骨髄移植は高いリスクを承知の上で、また、期待できる効果や、その効果の病理的な説明の裏付けが十分でない状況の中で、他の治療法がなく、かといって放置すれば生命の危険性が高い疾患に対しての唯一の選択肢として行われ始めた治療法であると思います。しかしながら、20年の歳月と、その結果の蓄積によって、それが新たな段階に入りつつあるというのが現状ではないかと理解しています。 今回のワークショップにおいても、「こういう患者に骨髄移植を行ったらこうなった」といった症例報告や、あるいは先端的な技術の提唱よりもむしろ、それらの過去のさまざまなトライの結果を総合的に見直し、どんな疾患の、どんな病型の、どんな状態の患者に行うべきなのかという基準についての検討や、今後さらに経験を積み重ねていく際にそれをもっと確実なものにするためには医学界全体としてどのような取り組みを行うべきなのかという観点に立った発表が中心でした。 そのような取り組みで特に注目されるのは、最初の3発表でした。乾先生の発表はそのような全体的な状況を概観するもので、今泉先生は血液、つまり骨髄移植の専門家として代謝性疾患全体を対象にした過去の骨髄移植の成果を総合的に評価するもの、そして鈴木先生の発表はALDを対象に、この10年間の骨髄移植の結果をより詳細に分析したものでした。なお、鈴木先生の発表は「厚生省副腎白質ジストロフィーの治療法開発のための臨床的基礎研究班」の研究成果をベースに、海外の統計なども加えたものです。このうち、今泉先生と鈴木先生の発表内容は医学雑誌などで公刊される予定なので、手に入りしだい改めてレポートしたいと思います。 今泉先生の発表の内容には、技術的な検討だけでなく、骨髄移植を受けた患者の家族が結果についてどのように評価しているのかといったデータや、移植後のフォロー、具体的には骨髄移植を受ける病院と、その後通院する病院の間の情報交換がどこまで行われているかといったデータも含まれており、患者の家族としては非常に気になる内容が多かったのが印象的でした。また、いままでこのような過去の移植例についての報告は、特定の疾患を中心にしたものがほとんどだったのに対して、今回の発表はすべての代謝性疾患を対象にしており、結果的に日本におけるMLDに対する骨髄移植例が5例、GM1ガングリオシドーシスが1例、ゴーシェ病が4例である(※実際には調査期間後に行われた骨髄移植もあるのでたとえばGM1ガングリオシドーシスは現在3例だと思われる)など、全体像が明らかになったのも、大きな成果でした。また、非血縁による骨髄移植や臍帯血移植が血縁者のHLA型完全一致の場合に比べてリスクが大きいこと、それに対処するにはどのような処置が必要だと考えられるかといった示唆もありました。 こういった全体像、統計的なデータが出た上でのワークショップとなったので、各発表の質疑では具体的な判断や、個別の例におけるさまざまな問題点の洗い出しが行われました。たとえば次のような点です。
以上、最初に書いたとおり、従来は一つ一つの症例で、その医療機関が過去の類似の症例に対する報告を頼りに判断して試行錯誤的に行ってきた側面が強い先天性代謝異常症に対する骨髄移植が、そういった過去の蓄積全体を前提にした判断によって行われる時代に入りつつあるということです。しかしながら、その動きはようやく端緒についただけであり、たとえば、それに不可欠な過去の症例の客観的な評価ひとつとっても、検査データの不統一や、移植後のフォローの不備といった問題を抱えて難しいのが実状のようです。つまり、今の時点は、それらを元にしてガイドラインを作る段階というよりも、ガイドラインをつくるために情報を蓄積するには今後どのようなことに医学界全体で取り組んでいかなければならないかを洗い出す作業がようやく始まったという段階だということです。 骨髄移植がこのような段階に入ったことは患者の家族として多いに歓迎したいところであり、またそのためにご尽力いただいた研究者のみなさんの努力に深く感謝するところです。同時に、このような取り組みには患者の家族側の協力や要望が不可欠になると改めて感じました。 さて、10日の午後からはシンポジウムとそこに併設された展示ブースでの活動があったわけなのですが、シンポジウムについては私は参加してないので、どなたか参加された方の報告をお待ちします。こういった場所に展示ブースを出すには次のような意味があると思います。
まず、1.ですが、これは実はそれほど効果はないです。シンポジウム参加者の間で実際にロイコジストロフィーと接触がある人はごく一部ですから。今回、親の会ハンドブック2000に掲載したロイコジストロフィー患者の会の紹介文と同じ物や、ロイコジストロフィー患者の家族に参加を直接呼びかけるチラシなどを50部用意し、全部なくなりました(あと20部ほど作っておく必要があった)。しかし、いままでの経験からいって、そのほとんどは、「知らなかったから資料もらっておくか」という程度の人だったと想像します。まぁ、それはそれで意味があるわけですが。 学会そのものには、ワークショップが開かれることでもわかるように先天性代謝異常症に関心のある専門家はそれなりの数が参加しているわけですが、患者の会の展示ブース(シンポジウム)に足を延ばす研究者はそのうちのごく一部です。これは設営場所の問題もあるし、研究者の意識の問題もあると思います。たとえば、学会内のポスターセッションに患者の会が参加するとか、展示ブースをすべての学会参加者の目に付く場所にするといったことになれば状況は大きく変わると思いますが、現状ではそうなってません。学会の一部として開催される公開シンポジウムの一部として患者側が参加を認められるようになった、ということ自体が、関係者の努力による第一歩であり、医学界サイドと患者サイドのより密接な協力は今後の課題というところでしょう。 展示内容についてたくみんさんから「パネル展示中心かと思った」という指摘がありましたが、これは私の連絡不足でした。今回は会場の関係で、パネルは8000円の有料だったので申し込まなかったのでした。また、テーブルが大きかった関係で、かなりでかい文字で書いたパネルじゃないと読めなかったと思います。もともと、展示の目的が「ロイコジストロフィーなんて全然知らない人に認知してもらう」というより、「ある程度知っている、関係している人とコネクションをもつ」ことを主眼に考えてしまうので、資料配付や面談を中心に考えてしまうのですが、前者は前者で重要であるわけなので、「一般の人にアピールする展示作り」も今後の課題だと思います。 2.は数は少ないけどあります。たとえば今回はALDの患者がいる病院の医師と、その患者の訪問学級を担当している方が、それぞれ別にロレンツォオイルの利用について質問してきました。実際にはどちらの歳にもALDの患者の家族がブースにいなかったんで、不十分な情報提供しかできませんでしたが。その他、うちの病院にも対象患者がいるので患者の会について伝えておくという先生も少数ながらいらっしゃいました。 3.は非常に大きな成果があると思います。今回、慈恵会医科大の大橋先生と岐阜大の鈴木先生はブースに30分近く引き留められていろいろ質問されてました。私も、MLDの酵素補充療法、薬物療法の可能性などについてかなり具体的なことを教えてもらいました。主治医以外の代謝異常の専門医に相談する機会は日常的にめったにないので、この機会は見逃せません。個人的な相談だけでなく、ロイコジストロフィーに対する医学界全体の取り組みの状況や最新情報を知るためにも貴重なチャンスです。 4.の関係者同士の親睦ももちろん重要です。インターネットでやりとりしてても、顔を合わすチャンスは特定の人との間しかないですから。今回も、いままで電話で話したことはあるものの直接会ったことがなかったご家族と知り合うことができました。シンポジウムの休憩時間以外はブースは基本的に暇なので(とはいっても誰もいない状態にはできないので)、私はずっとぽぽさんとゴーシェ病患者の会とロイコジストロフィー患者の会の状況について情報交換してました。ホームページは見ているが書き込みはしていない、といった人から声がかかることもよくあるのですが、今回はなかったですね。 5.は意外な盲点だと思いますが、けっこう勉強になります。今回、我が家は水頭症疑惑を抱えての参加ですから、水頭症の患者の会の方に治療法の現状や可能性、シャントを使って髄液の排出だけでなく、薬剤の注入をするといったことをしている水頭症患者がいるか、といったことを尋ねて大変参考になりました。人工呼吸器をつけていれば隣はバクバクの会ですから、そこの参加者と相談するといったこともできるわけです。もちろん、病気のことだけでなく、会の運営についての情報交換などもあります。今回はもやもや病の会のかたと、患者の会の活動とインターネット利用の効用と問題点についてかなり話し込みました。こういったノウハウは実際に同じ立場でやっている人の話を直接聞かないとわからない点が多いので参考になります。 ロイコジストロフィー患者の会のブースは最終的に東京から3家族、大阪から2家族の参加で、それプラスぽぽさん、その全員がシンポジウム終了後、宴会になだれこみました。 今回は大阪地区代表ドナっ子ファミリーの大活躍で、オフ会らしいオフ会になりました。というか、オフ会やったの今回がはじめてなんですが。会場は学会会場近くの大きな中華料理屋で、お座敷借り切りだったので患者を含む子どもが参加しても気が楽だったし、患者の家族同士だからできるプライベートな話も気兼ねなくできたのでリラックスできました。今後のモデルにしたいと思います。ちなみに食事は非常においしかったです。だいたい、こういう席では私はしゃべりづめで、何を食べたかあとで覚えていないことが多いのですが、食事もばっちり楽しみました。 宴席の話題の半分以上は全然関係ない話、大阪と東京の文化の違いとか野球の話とか、そういうたわいもないものでした。その合間に病院のこと、医者のこと、親戚のことといった、ちょっと患者の家族同士でなければできない、また、その場合は共通する経験があるので多いに盛り上がる話題が入ってくるわけです。よく考えたら、ロイコジストロフィー患者の会をどうしようといった話はほとんどしてませんでした。うーん、もう少しそのあたり具体的な話をしてもよかったような気もするけど、初対面の人も多いし、顔を合わせればそれなりの話があり、また、その中でいままで知らなかった相手の事情や直面している問題などもわかり、患者の会としてなにかするとしても、そういったことを積み重ねた上での話なんで、まぁ、そんなものでしょう。 7:00からはじめて10:00過ぎまでやってました。その後、東京組3人がぽぽさんの案内でさらに夜の大阪探訪をやるということになり(特に1人の女性の強い希望によって)、子ども連れの2家族と別れて梅田近くの商店街のお好み焼き屋に行き、12:00まで飲んでました(飲んだ量はちょっとだけど)。翌日はこの4人+ドナっ子ママの5人で、アメリカ村、エビス橋、千日前など大阪ミナミ観光を楽しみ、ウドン、冷やし飴、氷わらび、たこ焼き、551の豚まんなどを食べたり土産にしたりして昼過ぎに帰途につきました。帰りの新幹線の中ではまじめにロイコジストロフィー患者の会の活動方針についてまじめに討議しました。 というわけで、小児神経学会 in 大阪の参加、個人的には収穫も多く、また楽しいイベントでした。 (2000,6,13)
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