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北村(ブッチョン)
Bukchon

37 34 57.99,126 58 59.73(嘉会洞31番地)
37 34 59.02,126 59 11.02(嘉会洞11番地)

 下のマップビューポイント4番からの眺め。瓦の連なりが正に北村の象徴です。

 宮殿、寺院に続き、最後は住宅です。民博での展示はもっと古い時代の住宅が対象で、それらは後日河回村で見ることになりますが、ソウルで見た住宅といえば北村でしょう。景福宮、昌徳宮の二つの宮殿に挟まれた場所が北村と呼ばれている所です。宮殿がすぐ近くにある位ですから、南斜面の落ち着いたいい場所です。ここが開発されたのは1930年代だそうで、既に日韓併合が成された後の時代になります。都市発展による人口集中が郊外開発を呼び、ここでは民間事業者による建て売り住宅が一気に建設され、それが今に伝わっているとのこと。それも単なる建て売りではなく、伝統的家屋「ハノク」をベースにしながら、量産が可能なようにした「改良ハノク」とも言うべきものだそうです。

 その後さらなる人口集中期である戦後の一大成長期には、ソウルは漢江左岸の江南(カンナム)開発が大々的に成されたことから、多分この地への再開発圧力がそう高くなかったのでしょう。結果として開発当初の建物が結構まとまって残されてきました。

 そうした過程の中で、江南の開発によって、高校もそちらに移転した跡地に企業のオフィス(現代建設)や裁判所などの結構スケールアウトした建物が増え、また建物の高さ制限を緩和したことから、徐々に個別建て替えが進み出したことへの危機感から、今世紀に入って伝統的町並みを活かしたまちづくりを行っていこうとする運動が高まっているようです。ソウル市が住民と一体となって取り組んでいる活動を見守っていくことにしましょう。
 
 というのが、ソウル市北村文化センターのホームページを元にした歴史ですが、なるほど戦前の建売住宅かというのが発見でした。当時としての最先端の都市型住宅を作ろうという方針の下、いろいろ苦労したのでしょう。それまでの伝統的家屋を下敷きにしながら、より効率が上がるような改良を加え、でも見た目は大事にして、建売住宅を一気に建設したのか。その当時まだ車があまり発達していなかったから、街路をかなり抑えて狭くし販売効率を上げたことが、現代においての路地の面白さになっているということになっています。
 
 そして、結果として現代ではちょっとした先端スポットになりつつあります。ギャラリー、カフェ、ブティックがあちこちに入り込んできて、若者が集まる町になりつつあります。日本でも雑誌「クレア」のムック本「トクする韓国」の表紙で、竹内結子がたたずむ場所になっているし、一周遅れのトップランナーでもないですが、古いということが新しさを生んでいるいい例だと思いました。本当、カメラを持った若者が一杯散策している街です。
 
 北村文化センターに行くと、そうした歴史の説明があり(英語)、またなかなかいい地図をもらうことが出来ます(これは日本語版あり)。残っているハノクが図示され、更にはビューポイントの印も打ってある。そしてもっとびっくりしたのは、そのビューポイントが現地の道路上に落としてあるのです。ここからの景色は素晴らしいよ。まあ親切な。現地に行けばいい景色が見られるのに。でも何かそれを探して路地から路地に歩き回ったりして。下も見なければいけなくなってしまいました。
 
 そしてハノクエリアを抜けると、ゲートにガードマンがいるような超高級住宅地か突然現れたりもしました。昔の街からおしゃれな街へ、そして更なる高級住宅地へと変貌を図りつつあります。


北村の西側ハイライト、嘉会洞31番地付近のマップ。ビューポイントが扇形で示されています。
マップ左上に「三清洞すいとん」が見えています。そこは大地の下、その右から一気に山になります。
また、紫12番 李俊九家の右や上にあるのが超高級住宅地です。
 

北村文化センターの保存建物。ここは囲みではなく日本家屋のような南に向かって解放されており、だから縁側という感じがします。建物のディテールの造りが繊細でした。 左の建物の南東ウイング。このような南への張り出しは昌徳宮でもあったように、こちらではよく見られます。3面採光の気持ちのいい部屋。
ビューポイント4番から別のアングル。この地形の起伏がここの大きな特徴です。屋根の反りの大きいのがよく分かります。 ビューポイント5番です。ここが旅行パンフレットなどで使われる一番有名な所かもしれません。一帯はかなり綺麗に修復しています。そしてこの勾配。住んでいる人は大変でしょうね。
東のハイライト、嘉会洞11番地付近です。冬ソナのロケで作った家屋跡からの眺め。大きな建物は大東情報産業高校。そして下には容積を使った個別建て替えの大きな建物が現れてきています。この破壊から地域をどう守っていくかが正に課題ですね。
ビューポイント7番。市街からこんなに登ってきました。
路地での一枚。屋根のリズムが工夫されています。
ディテールを少々。左と見比べると、それぞれ微妙に変化させているのが分かります。

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