Nikon F4のスクリーンをF3に入れる

ニコンF4のスクリーンをF3に入れる

Last update 17/11/2004
Since 07/11/2002

 今回はNikon F4のファインダースクリーンをNikon F3に入れるというリポート。

このリポートは改造を薦めるものではありません。 またこのリポートに従って工作されても当方はなんら責任を負いません。

 これは前回のFM3AのスクリーンをF-501に入れるに比べれば全然簡単で、 ニコンのサービスセンターでも両者のファインダースクリーン持込で工賃有料でやってくれるらしい(ニコンに確認していないので責任持てず)。

Nikon F4用K型ファインダースクリーンとNikon F3用B型ファインダースクリーン  Nikon F3のファインダースクリーンは明るいレンズではピントの切れもよく、なによりもボケが素直でプレビューしたときの像が実際に近いという特色がある。 ただ、広角系レンズやF値の大きい暗いレンズではややざらつきが目立つという欠点もあった。 そこで明るくてざらつきが少ないと評判のNikon F4用のスクリーンに交換してみることにした。

 まず、F3とF4ではスクリーンそのものの大きさは同じだが、枠が違うのでそのままではF3にF4用のスクリーンは入らない。 厳密にいうと入るのだが、F4用の枠の方が厚みがあるのでそのまま入れるとファインダー(プリズム)がきちんとはまらない。 枠が厚い分だけファインダー(DE-2やDE-3など)が浮いてしまうのである。

Nikon F3用ファインダースクリーン  そこでスクリーン枠はF3用のものを使い、中身だけF4用のファインダースクリーンに交換する。手順は簡単だ。 両方のファインダースクリーンの4箇所にあるネジを外すと押さえ爪が取れる。 あとはそうっと枠からスクリーン本体を抜き取るだけ。 両者を入れ替えて元通り押さえ爪を4本のネジで留めて完了。

*F4のスクリーンには前後があるようだ。スクリーンの押さえ爪がかかる段のついたところに"・・・"という印がついている。 この印がレンズ側=スクリーン枠の取り外し用爪のない側に来るように取り付ける。 というのはF4のスクリーンを逆につけたF3を、ニコンにオーバーホールに出したところ、向きを直して納品されたからだ(この点については告知も伝票に記載もなく、別料金も取られなかった−ありがとう、ニコン)。 新品のF4スクリーンも同じ向きに枠に装着されている。理由は不明。この点について触れられているサイトが見当たらないので追記した。
(2003年3月5日追記)

 ボディのピント基準面にはスクリーンの底面(ピント面)が直接接していて、枠そのものはボディのピント基準面に接してないので枠とスクリーンの取り付けに精度は要求されない。 従って交換してもピント精度には全く問題はない。

 また、Nikon F3はボディ内測光なのでスクリーンの明るさは内蔵露出計に影響しないので露出補正は不要である。

 交換してみた結果、ニコンF4用のスクリーンはざらつきもなく明るくて見やすい。明るいがピントの山もよくわかる(*2)。 交換するきっかけとなったのはAi Nikkor 20mmF2.8SがF3用のスクリーンだとざらついて特に周辺部でピントがわかりにくかったためである。 このレンズ以外ではF3用で満足である。他方F4用だと20mmでもざらつかず周辺でもピント合わせしやすい。 明るいレンズではF3用の方が見やすいような感じだが、F4用もしっかりピントの山はわかる。 ただ、F4用のスクリーンのマット面は一種の細かいマイクロプリズムのようなものなので、規則正しい連続模様などではモアレ(干渉縞)がでて見づらいことがある。 テレビの画面やパソコンのディスプレイなどを見てみるとよくわかる。一長一短ではある。

 ちなみに交換したF4用ファインダースクリーンはK型である。スプリットはF-301やFM3Aと同じくマット特性をもっているので暗いレンズでも翳らない。 以前にも書いたがこれは余計なお世話と思う。 F4用のB型E型などは中央にAF用の[ ]があるので気になる人はカタログ等でよく確かめて[ ]のないものを選ぶとよいだろう。

スクリーンはピント面と*フレネルレンズ面がアクリル製で(*3)コンデンサーレンズ部分がガラス製。アクリルの部分は非常に傷がつきやすいので取扱には注意が必要。

 *2 Nikon F4用スクリーンのマット面は「明るい割りには」ピントの山も分かりやすいのだが、それは対象のコントラストが高い場合の話で、対象のコントラストが低い場合や薄暗い場合にはおおよその山は分かっても「ここだ!」という完全なピントの山が分かりにくいと思う。 また、ピントリングを回していったときのボケ具合の変化も、F3用スクリーンの方がピントがズレるとすぐにボケはじめるように思う(だから完全なピークがわかるのだと思う)。

 そういう意味で、F値の大きい暗いレンズを常用する人はF4用スクリーンの方が像が見易いためピントが合わせ易いと思うが、F1.4やF2などの明るいレンズを使う場合にはF3用のスクリーンのマット面の方がピントの山が分かりやすい。

 ただしこれらはF3ボディにF4用スクリーンを装着した場合の話で、F4にF4用スクリーンを装着した場合はもう少し見易い感じがする。 これはF4はオートフォーカスのためにミラーの一部がハーフミラーになっていて、F3よりもファインダーへ行く光の量が少ないので、明るいスクリーンとバランスが取れているからかもしれない。 マットの特性以外にも、F3ボディにF4用スクリーンと単焦点大口径レンズの組み合わせでは、明るすぎてピントの山が分かりにくいというのもあるのかもしれない。 ( → って書いてて前々段落と矛盾してるなぁ。F4スクリーンは明るいところではよく見えるんだから、やっぱり明るすぎるというよりはF4用スクリーンのマット特性がF3用よりも拡散性が低くてピントの山が見にくいということなんだろう。 ファインダーを通してみた像はF4用の方が美しくてほれぼれするんだけど…括弧内2004年11月17日加筆)

 このあたりは、個人の好みや使い方によって評価が分かれるのだろう。私は結局F3用スクリーンに戻した(爆)

 明るくてピントの山が分かりやすいといえばFM3A用やF6用スクリーンで採用された「クリアマットスクリーンII改」だろう。これはざらつきもないし本当のピントの山もわかる。 F6用のスクリーンがいままでのF一桁機のような枠に入ってコンデンサレンズ付きのものだったらF3に流用できたのになぁ。(2004年11月16日追記)

 *3 以前「フレネルレンズ部分がガラス製」と表記していましたが、正しくは「コンデンサーレンズ部分がガラス製」でした。(2003年9月29日追記・訂正)
 *4 ニコンF4は1996年にF5が発売されてまもなく製造中止になり、F3は2001年春頃に最後の生産が行われたので、いずれもいつアクセサリーが製造中止になってもおかしくない状況にある(ただし、DE-3,MD-4については製造中止後6年間は供給するとニコンがアナウンスした−アサヒカメラ2000年11月号196頁参照)。 ニコンF4用のスクリーンは2004年7月1日付のカタログでは、P型、K型が記載されなくなっているし、ニコンF3用のスクリーンもK型がなくなっている。 一時的に品薄になっても再生産するつもりがあるうちはカタログから落とさないだろうから、F3・F4用のスクリーンについては在庫限りの可能性がある。 完全に製造中止なのかはわからないが、必要な人はあるうちに手に入れておくべきだろう。スクリーンの傷はボディに装着してファインダーを通して見ないと分かりにくいので、中古のスクリーンを買うときは要注意だと思う。(2004年11月16日追記)
※なお、ニコンF3用のスクリーンは初期のものは枠が金属製。後に枠はプラスチック製になった。 ニコンF4用スクリーンは最初から枠はプラスチック製。
 ニコンF3用のファインダースクリーンにはパッケージや枠に●印がついている。 極初期のニコンF3用スクリーンには●印がついていないものがあり、●印がついているものの方が明るいという。 ただ、●印なしのニコンF3用スクリーンの現物は私は見たことがない。

【注意】
このリポートは改造を薦めるものではありません。 またこのリポートに従って工作されても当方はなんら責任を負いません。

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