Nikon FM3AのスクリーンをF-501に入れる

ニコンFM3AのスクリーンをF-501に入れる

Last update21/10/2002

 今回はNikon FM3AのスクリーンをNikon F-501に入れるというリポート。 このリポートは改造を薦めるものではありません。またこのリポートに従って工作されても当方はなんら責任を負いません。

 Nikon F-501はAF機としてはピントの切れもいいほうで、明るい(大口径)レンズを使う分にはファインダーも悪くない。 しかし、標準装備のクリアマットスクリーンは2世代か3世代前のファインダースクリーンで、マット面のざらつきがやや気になる。 また、暗いレンズや広角系レンズの場合ピントの山がわかりにくいという問題もあった。

【ニコンF-801用のスクリーンをニコンF-501に入れる】
【ニコンFM3A用のスクリーンをニコンF-501に入れる】
【まとめ】

【ニコンF-801用のスクリーンをニコンF-501に入れる】

Nikon F-801用J型ファインダースクリーン  そこで、まず最初に試したのがNikon F-801用のJスクリーン(中央がマイクロプリズムで周辺マット)だった。 このスクリーンはマット面がクリアマットスクリーンIIという仕様で、明るくてざらつきの少ない良いスクリーンだった。
 ニコンF-801用とニコンF-501用のスクリーンはサイズが同じで、ピンセットでつまむ突起の位置が違うだけだったので、 F-501のスクリーン押さえ金具に当たる部分の突起を少しヤスリで削るだけで作業は完了。 ちなみにスクリーンの材質はアクリル樹脂と思われる。 スクリーンの交換方法はカメラボディの取扱説明書・スクリーンの取扱説明書に従って慎重に行う必要がある。 ミラーやスクリーンは非常に傷がつきやすい。
 ニコンF-801用のスクリーンは上級機のスクリーンだけあって非常に見やすいのだが、ひとつだけ気に入らない点があった。 それは薄暗いコントラストの低い被写体ではピントの山がわかりづらいということだった。 また、被写体が明るくても50mmF1.4などではあと一息のところの山がわかりづらいのである。 この点ではNikon F-501用のクリアマットスクリーンの方が勝っていた。 ただ50mmF1.4をF1.4やF2で撮ることはそうそうないのでかなり長い間このスクリーンで使っていた (大口径レンズ開放付近が必要な場合F-501用のスクリーンに交換すれば済むし)。

Nikon F-801用J型ファインダースクリーン  肝心の露出補正についてであるが、実際に長期間使った感じでは、F-801用スクリーンをF-501に使ってもほとんど測光値は変わらないという結論に達した。 中央重点の度合いが若干低くなる傾向があるが、それさえ気をつければ補正は不要だった。 ファインダーで覗いた感じでは1段以上明るく感じるのだが、ファインダーの両脇から則光する方式ではセンサーに行く光の量はあまり変わらないのであろう。 F-501は多分割測光は搭載していないので、スクリーンを測光するタイプでありながら結構融通が利くのがいい。

 ピント精度について心配される方もおられるだろうが、これらの機種はピント面はスクリーン上面(ペンタプリズム側)で、押さえ金具できちんと上側のピント基準面に押さえつけられている限りピント精度は大丈夫だ(*)。 また、オートフォーカスはミラーボックス下部のAFセンサーで検知するのでファインダースクリーンはAF精度に関係ない。

※F-801用のJスクリーンは最近在庫切れになったようだ(F-801用BスクリーンF-501用Bスクリーンはまだ新品で手に入る)。

 またF-801Sの方には最初からJスクリーンは用意されなかった。これはF-801Sはスポット測光が追加されたためである。 ファインダースクリーンの明るさを測る方式の内蔵露出計では、スクリーンが変わったりスクリーンの部分によって明るさが変わると測光値が変わってしまう。 マイクロプリズムはマット面に比べて明るいので、スポット測光だと、全面マットのスクリーン(B型)と中央がマイクロプリズムのスクリーン(J型)とで測光値が違ってしまうからである。 F-801S以降のAF中級機にはマイクロプリズムの交換スクリーンは用意されず、全面マット(B型)とマットに方眼が入った(E型)ものしか用意されなくなった。 F-501やF-801にはB型(マット)、J型(マイクロプリズム)、E型(方眼マット)が用意されていた。

(*)このような場合でも、極端にスクリーンの厚さやスクリーンの屈折率が異なると、理論上ピント位置がずれる可能性がある。ただしここで挙げたスクリーンは厚さも材質も同じであるように思われ、ピント精度に全く問題はなかった。 全く別の会社のものを流用される方は留意されたし。しかし、別会社のスクリーンを流用している事例もよく見かけるので、多少厚さや材質が異なっても実用上問題が出るほどずれないのだろう。

【ニコンFM3A用のスクリーンをニコンF-501に入れる】

Nikon FM3A用K型ファインダースクリーン、F-501の枠に載っているところ  かなり長期間F-801用を使っていたのだが、2001年にNikon FM3Aというカメラが発売され、そのスクリーンが、明るいのにピントの切れがいいという相反する性質を克服しているようだった。 実際にカメラ店で50mmF1.4を装着したFM3Aのファインダーを覗いて自分でも「これはいける」と確信した。
 そこでFM3A用のK3スクリーン(中央がスプリットイメージでその周りにマイクロプリズム、周辺部はマット)を注文した。

ただ、FM系のファインダースクリーンと中級AF機のファインダースクリーンは大きさ形が違うので、F-801のときのように突起を削るだけでは入らない。 FM系の方がやや横長なのである(厚さは同じようだ)。そこで長辺をF-501用と同じになるまでヤスリで削り、突起もF-501の押さえ金具に当たらないように削った。
 スクリーンを削る場合、スクリーンに傷をつけないように注意する必要がある。 私はファインダースクリーンをレンズクリーニングペーパーで包みゴム板で挟んだ上で、万力に装着して削った。 また、削ったところにバリが残っているとピント精度に影響するのできれいにバリ取りをする。

Nikon FM3A用B型ファインダースクリーン  装着した結果、FM3A用のスクリーンは非常に見やすい。暗いレンズでもざらつかないだけでなく、明るいレンズでもピントの山がわかるし、超広角レンズでもピントがわかる。 50mmF1.4開放でもピントを外さない。 この「クリアマットスクリーンII改」というマット面はなかなかの技術である。 ただ、別のところで書いたがスプリットイメージにマット特性をもたせる必要はなかったと思う。 暗いレンズではスプリットが翳らないとしても像がほとんどズレないからあまり意味がない。

 露出補正に関してはF-801用と同じで補正不要。F-501用に比べて若干中央重点度が低くなる点も同じ。 このあたりが中央重点測光のおおらかで応用の利くところだ。

※なお、FM3A用のK3,B3,E3スクリーンはNikon FE,FE2,FM2,NewFM2には無改造で交換可能。 FE2,NewFM2は露出補正不要。FEは+1/2段または+1/3段、FM2(Newではない方)は+1/3段の補正が必要。 Nikon FAは無改造で交換可能だが、多分割測光(マルチパターン測光)が使えなくなる(使うと露出値がランダムにずれる)のでお奨めしない。 Nikon FMは元々スクリーンが交換不可。

【まとめ】

 これでNikon F-501はMFカメラとして使いやすくなった。 F-501はAF性能は現在では話にならないぐらいだが、MF機として使う分には全然不足はない。 ファインダー倍率も0.85倍とニコンAF機の中で最高の倍率でもある。 FM3Aのスクリーンを入れることによって益々活躍している。 「そこまでしてF-501使うか?」というツッコミはやめてね(笑)。
 なお、F-501と姉妹機のF-301の方はファインダースクリーンが交換式でないので、簡単にFM3Aのスクリーンに交換するわけにはいかない。

【注意】
このリポートは改造を薦めるものではありません。 またこのリポートに従って工作されても当方はなんら責任を負いません。

                           (2002年10月17日 記、2002年10月21日画像追加)

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