碑文の森
Aパターン
ア:ああ、だから、こんなに落ち着くんですね、自然がそのままの姿で残っていて
ニ:おや、あなたはこういう森がお好みでしたか。それは以外ですね。あなたはもっと光にあふれた場所が似合うと思うのですが。
ア:そうでしょうか?
ニ:この森に似合うのは哀れな隠遁者、あなたのような少女が時を過ごすには少々刺激がなさすぎるのでは。
ニ:おや、もうこんな時間ですか。時間を忘れてしまう前に陽だまり邸に帰るとしましょう。
Bパターン
ア:ああ、だから、こんなに道が荒れているんですね。まるで獣道みたい。
ニ:そうですね、昔はもう少し人通りがあったのですが。
ア:そうなんですか?
ニ:昔、この森には賢者と呼ばれる男が住んでいましてね。モンタントの人々は何か困ったことがある度に彼の元を訪れていたそうです。
まあ、昔と言ってもあなたが生まれるよりずっと前のお話ですがね。
ア:森に住む賢者さま。もしかして杖を持った魔法使いのおじいさんだったりして。
ニ:確かにこの森で暮らすなら杖は必需品かもしれませんね。私のステッキでは少々短すぎるようですが。
ニ:おや、もうこんな時間ですか。時間を忘れてしまう前に陽だまり邸に帰るとしましょう。
炎の砦
ニ:一面の小麦、力強い風景ですね。こうした強さがアルカディアを支えているのでしょうね。私達も見習わねばなりませんね。
Aパターン
ア:アルカディアを支えているのはこれだけの小麦畑を作り上げる人々の強い熱意や情熱が世界を支えているんですね。
ニ:ええ、強い願いや意志が荒れ果てた大地を農地に変え多くの恵みをもたらすのです。
ほんの少しずつですが、世界を変えていくことができる、というわけですね。
ア:そうですね。
ニ:それが人の強さだなのだとしたら、世界を理想郷の導くという女王陛下は一体どれほどの強さをその身に宿しているのでしょうか。
ア:……
ニ:今度は収穫を終えた頃に訪ねてみてもおもしろいかもしれませんね。
きっと今日感じた想いとは別の何かに気付くことができるはずですよ。
Bパターン
ア:人々にこれほどの恵みを与えてくれる雄大な自然が世界を支えてくれているんですね。
ニ:こうして目を閉じると力強い麦穂の間を馬に乗って駈ける自分の姿が浮かびます。
夕陽を浴びた燃え盛るような赤の中に溶けて消えてしまいそうなほど小さな私の姿。
ふふ、私のような卑小な人間には自然というくくりは大きすぎるようです。
ア:……。
灯台の岬
ア:岬の端に立ってみると、海がとても広く感じますね。まるで吸い込まれてしまいそう。
ニ:怖い……ですか?
Aパターン
ア:怖くなんてありません、ただ。
ニ:ただ……?
ア:海って広いなぁと。
ニ:ふふっ、そうですね。ですが、私達が守るべき世界はもっと広い。
ア:え……?
ニ:これほど大きな灯台でさえ、海のほんの一部分しかテラスことはできません。
ですが、世界の女王となるものはひとりで世界の全てを照らさなければならない。責任重大ですね、アンジェリーク。
ア:えっ?わたしは……。
Bパターン
ア:実は少しだけ。
ニ:ではこちらへいらっしゃい。
ア:え……!?
ニ:どうです、これでもう怖くないでしょう。
ア:あ……は、はい……。
ニ:アンジェリーク、灯台というのは天使の像と同じようなものかしれませんね。
ア:どういうことですか?
ニ:そこにあるというだけで人々は導かれている喜びを感じ安心して日々を過ごすことができる。
本当に見守られているかどうかは重要ではなく、見守られていると信じられるだけで、ね。
ア:ニクスさん
ニ:ああ、安心してください。私があなたを見守っているのは本当ですから。心から信じてくれていいんですよ。
静寂の湿原
ニ:ああ、気を付けてください。この辺りの橋は濡れてすべりやすいですから。
ア:ありがとうございます。少し寒いですけど静かでいいところですね。
ニ:確かにこの湿原には何か心安らかにさせる風情がありますね。
ファリアンの喧騒に倦んだ人々が束の間の安らぎを求めて訪れる理由がよくわかりますよ。
ア:ニクスさんも安らぎを求めてここに来たいと思いますか?
ニ:さあ、どうでしょうね。私の求める安らぎがここにあるのなら毎日でも通いますが、どうやらここにあるのは自然の水と緑だけのようです。
ア:ニクスさんの求める安らぎ……きゃっ!
ニ:ほら考え事をしているから足元がお留守になっていますよ。
せめてこの短い橋を渡りきるまでは私の手だけを支えに歩んでいただけますか?
ア:はい……。
白銀の入江
ア:きゃっ。
ニ:アンジェリーク、あまり道の端を歩いていると却って危ないですよ。さあ、よろしければ私のそばへどうぞ。
ア:ありがとうございます。それにしてもオートモービルをよく見かけますね。
ニ:ファリアンの商人の間ではこの入江にヨットを置くのがステータスになっているようです。
オートモービルの所有者もおおかた同じ類の人物でしょう。……。私には理解しがたい趣味ですが。
ア:ニクスさん……。
ニ:ですが、まあそれはこの白銀の入江のせいではありませんね。
押し寄せる海に負けることなくこれだけ美しい海岸を整備した人々の努力は賞賛に値します。
機械の力を借りることで自然との融合を果たすとは誠に興味深い発想です。
ア:自然との融合
ニ:ふふっ……。小難しい話はここまでにしましょう。せっかく来たのですから海岸に下りてみては。
どうですか?エルヴィンも喜ぶと思いますよ。
エ:ニャ……?
ア:でも、ニクスさんは……?
ニ:ああ、私のことは気にしないでください。ここにいて水と戯れるあなたの姿を見守っていますから。
風舞の峰
ニ:さあ、こちらですよ、アンジェリーク。
ア:ここは……。
ニ:風舞の峰と言えば山に降った雪が舞う風花が有名ですが、決してそれだけではありません。
この壮大な雪山を背に従え可憐な美しさを保つこの花畑こそが山麓の気高さを支えているのです。
ア:気高さを支えている……。あっ……風が……!
ニ:そして風に舞う白雪が花畑の美しさをさらに彩る。まるで私達のようだと思いませんか?
ア:えっ、どういうことですか?
ニ:そのままの意味ですよ。我々はあなたという花を守る山です。あなたがいるからこそ、我々は強く立つことができる。
そしてもし……まあ、こんな場所まで来てたわいもない言葉遊びをするのも無粋というものですね。
さあ、今は心ゆくまで楽しみましょう。風舞の峰が織り成す素晴らしい美の競演を。
雷鳴の峠
ア:静かなところですね。
ニ:ええ、まったくです。雷鳴の峠などと仰々しい名で呼ばれているとはいえ天候が良い日はただの峠。
人通りが少ない分、むしろ静かだと言えるでしょうね。
ア:そういえばあまり人とすれ違いませんね。
ニ:東に向うのなら、この峠を越えるよりも山を迂回した方が楽ですからね。この峠を歩く人が減るのは当然のことですよ。
ア:それなら、そうしてこの峠道ができたんでしょうか。
ニ:この峠道ができた理由……ですか?これは面白い問いかけですね。あなたはどう思いますか?
Aパターン
ア:それはもちろん峠の向こうに行きたかったからです。
ニ:……。では「向こうに行きたかった」のはなぜでしょうね。
ア:えっと、それは……。
ニ:ふふっ、それではこの質問の答えは宿題にしましょう。せっかくあなたとこの地を訪れることができたのです。
今は峠から見下ろせる森や平原の美しさを楽しむことに集中したいですね。
Bパターン
ア:ここに山があったから……でしょうか。山の向こうに知らない場所があると思ったらやっぱり見てみたくなりますから。
ニ:ふふっ、確かに単純ではありますが、きっとそれが一番正解に近い答えなのでしょう。
隠れたものを見たい、未知なものの正体を知りたいと願うのは人の性ですからね。
そう、私があなたとともに過ごす時間を渇望してやまないようにね。
曙光の湖畔
ニ:……。
ア:ニクスさん……?
ニ:ああ……。いい風ですね。暗くどんよりとした気持ちが少しずつ削りとられていくようです。
この風を生んだのが眼前に広がるこの水溜りだというのなら少しは賞賛せねばなりませんね。
ア:えっ?
ニ:あなたの楽しみに水を差すつもりはないのです。もちろん私も楽しんでいますよ。
あなたの喜ぶ姿を眺めることは私の最高の楽しみですからね。
願いの渚
ニ:願いの渚……ですか。ふふ、なんとも皮肉な呼び名ですね。
ア:えっ?素敵な名前だと思いますけど何かおかしいですか?
ニ:これだけ多くの人々に愛されている渚におかしいことなどありませんよ。おかしいとすればむしろ私の方ですね。何せ、私は……。
ア:ニクスさん……。
ニ:ああ、そんなに怖い顔をしないでください。そんな顔をされたら私もあなたと過ごすことで忘れ掛けていた恐怖を思い出してしまいますよ。
ア:恐怖ですか?
ニ:ええ、そうです。私が恐れているのはこの海よりも大きく、我が身よりも小さなもの。それは。
ア:それって?
ニ:失礼。人々の願いを叶える聖なる渚には場違いな話題でしたね。続きはまた別の機会にしましょう。
ア:えーっ!?
ニ:もし私の話の続きが気になるのなら、とても素晴らしい方法がありますよ。「話の続きが聞きたい」とこの渚に祈るのです。叶うかもしれませんよ。
虹華の森
ア:わあ!
ニ:色とりどりの美しい花や果実が実る豊かな森……虹華の森とはよく言ったものですね。
ア:本当に!虹のように色鮮やかですね。
ニ:空の虹は本当は七色ではなくもっと多くの色の集合体だと聞いたことがあります。
虹の名を冠されたこの森にも数え切れないほどの色や美が埋もれているのでしょうね。
ああ、そうそう、この森に隠されているものと言えば「真実の鏡」を忘れるわけにはいけませんね。
ア:真実の鏡……
Aパターン
ア:「真実の鏡」ってこの森の奥にある泉のことですよね。
月夜の晩に水面に姿をさらすと偽りのない本当の自分自身の姿が映るという伝説があるとか。
ニ:伝説を抜きにしてもとても美しい泉ですよ。森の木々にひっそりと隠された小さな泉ですが、とても深く澄んだ水を湛えて。
せっかくですから、少し足を伸ばして行ってみませんか?私としてもあなたの真実の心にはとても興味がありますから。
Bパターン
ア:「真実の鏡」って何のことですか?
ニ:おや、あなたが知らないとは意外ですね。この森のどこかにそう呼ばれる泉があるんですよ。
水面に姿を映したものの真実の姿を暴くという恐ろしい泉だとか。
ア:恐ろしい……ですか?
ニ:ふふっ、あなたにはまだわからないかもしれませんね。この世界でもっとも恐ろしいのは隠された真実なのです。
真実を映す鏡があるのなら、それだけで。
天使の花束
ア:見渡す限り、色鮮やかな花で埋め尽くされていますね。まるでこの野原すべてが花でできているみたい。
ニ:北から吹き降ろす冷たい風が凛とした気高さを花々に与えるからでしょうか。
人々を幸福に導くと言われる「天使」に捧げるにふさわしい素晴らしい彩りですね。
いや、失礼、今は「あなたを招くにふさわしい」と言うべきでしたね。
ア:ニクスさん……。
ニ:ふふ、ですが、人というのは不思議なものですね。これほどの絶景を捧げなければ天使は見向きもしてくれないとでも考えたのでしょう。
どうです、アンジェリーク、あなたに振り向いてもらうにはやはり美しい花束が必要でしょうか?
Aパターン
ア:わたしが天使だったとしてもやっぱり花束を捧げられるのは嬉しいです。
花束を準備する間、わたしのことだけを考えてくれていたということですから。
ニ:おや、奇遇ですね。私も同感です。麗しい女性を迎えるのに相応の準備を整えるのは当然の礼儀というものです。
ましてや、迎えるべき相手があなただというならなおさら……。聞くまでもない話ですたか。
ア:あ、わたしはもちろんこんなにすごい花束である必要はありませんけど。
ニ:ふふっ、それは贈る側のセンスに任せていただきたいですね。
Bパターン
ア:もしわたしが天使だったとしたら花束なんていりません。
もちろん気持ちは嬉しいですけど、花束なんて無くても必要な時には振り向きますから。
ニ:あなたらしい答えですね。ですが、花束を捧げる身としてはなかなかそう割り切れないところもあるでしょうね。
自分の願いを叶えるためにあなたのために何かをしたいという想いはこらえがたいもの。
せめて花を捧げるくらいの自由は与えてほしいものですね。
夢魂の塔
ア:不思議な形の山ですね。こうして眺めているとだんだん塔のように見えてきます。
ニ:「夢魂の塔」というなは確かに言いえて妙ですね。
ア:でも「塔」はわかるとして、「夢魂」というのはどういう意味なんでしょうか。
ニ:夢魂の由来かどうかはわかりませんが、この山の頂上で夜を明かすと「世界の夢」が見られるという伝説なら聞いたことがあります。
ア:世界の夢……?
ニ:ああ、この世界が見ている夢を人の身でありながら盗み見ることができるというのです。
その夢には過去や現在だけでなく未来の世界の姿さえも投影されているのだとか。試してみますか?
Aパターン
ア:そうですね、見てみたいです。
ニ:望まぬ夢を見ることになるかもしれませんよ?
ア:それでも見てみたいです。あらかじめ知っていれば何か対応できるかもしれませんから。
ニ:そう……ですか。
ア:おかしい……ですか?
ニ:いいえ、実にあなたらしい運。命に屈することのないあなたらしい答えだと思いますよ。その強さを忘れないでくださいね。
Bパターン
ア:そんなの見たくありません。
ニ:そうですね、あなたならそんな夢に頼らずともきっと。
磐石の台地
ア:あ、あれは双塔の広場ですね。ここからだと本当にウォードンがよく見えますね。
ニ:ええ、この辺りはウォードンより少し高い位置になりますからね。
ああ、そうそう、磐石の台地と言えばその名前に観覧してふたつほど面白い話がありましてね。
せっかくですから座興としてお話しするとしましょう。変わったものの話と変わらなかったものの話、どちらが聞きたいですか?
Aパターン
ア:それじゃあ、「変わったものの話」をお願いします。
ニ:わかりました。ではお話ししましょう。実はこの台地はウォードンができる前は別の名前で呼ばれていたのです。
ア:えっ?そうなんですか?
ニ:ええ、磐石の台地というのはウォードンができた時に議会が付けた名前です。
この名前になったのは女王に祝福されたゆるぎない首都をいただく台地だから……だとか。
ア:ウォードンが磐石であってほしいと女王様に願いをかけたんですね。
ニ:願いをかけたというより赦しを求めたというのが正確なところでしょうね。
ア:赦し……?
ニ:本来女王陛下が治めるべき世界を人の手で治めている、そのゆがみを施政者は恐れるものです。
ウォードンを作り上げた人々の己の行いが否定されることを恐れ、女王に赦しを求めたのでしょう。
「女王に祝福された地」と自ら名乗ることによって……ね。
ア:そうだったんですか。
Bパターン
ア:それじゃあ、「変わらなかったものの話」をお願いします。
ニ:わかりました。それでは変わらなかったものの話をしましょう。あなたは「磐石糊」というものをご存知ですか?
ア:ばんじゃく……のり……?
ニ:小麦の粉を練って作った接着力の強い糊のことをそう呼ぶ地域があるのです。
実は昔その糊の呼び名を変えようという運動を議会が起こしたことがありましてね。
ア:議会がですか?
ニ:当時の議会の主張はこうです。「磐石とは女王に祝福された首都をいただく台地に冠された言葉」。
「磐石糊」という名も相応の糊にのみ与えられるべきである。
ア:それ……本当の話ですか?
ニ:残念ながら本当です。
ア:それでどうなったんですか?
ニ:ふふっ、最初に言ったでしょう?これは「変わらなかった話」です。
ア:あっ……!そういえばそうでしたね。
ニ:さあ、私の話はこれで終わりです。次はあなたの話を聞かせてください。
薄霧の森
ニ:これはまた随分と霧深い。かくされているがゆえの美しさを。あなたの姿まで隠れてしまうのは困りものですね。
Aパターン
ア:そうですか?私はその……幻想的で素敵な場所だと思いますけど。
ニ:幻想的?なるほど……この森を包む霧はあなたの心さえも包み別世界へと誘うのですね。
ア:ええ。
ニ:私もあなたの幻想の中で戯れるとしましょう。今の私は霧に映った幻の私。
今のあなたは霧に映った幻のあなた……そういう遊びも悪くありません。
Bパターン
ア:そうですね。わたしも困ります。
ニ:その言葉を聞いて安心しましたよ。この霧にまぎれてあなたが消えてしまうのではと少々恐れていたところなのです。
ア:この霧の中ではぐれたら大変そうですよね。
ニ:ええ、ですから私の手を取って……。
この薄霧や森の木々の戯れでふたりの道が別たれないよう、ふたりが別れを望む時までともに歩んでいられるように。
豊穣の平原
ニ:いかがです?平地と高地との違いはありますが、リースやモンタントの近辺によく似ていると思いませんか?
ア:そうですね。ゆったりとした時間が流れていてなんだか……
Aパターン
ア:なんだかイライラしますね。ゆったりとしすぎていて「もっとがんばれー!」って感じで。
ニ:おや、それは意外なお答えですね。あなたになら喜んでもらえると考えてここまで歩いて来たのですが無駄足でしたか。
ア:あ、いえ、そういうつもりでは。
ニ:ふふ、私に気を遣う必要はありませんよ。あなたの疲れた心を癒してあげることができなかったのは私のせいなのですから。
Bパターン
ア:なんだか、落ち着きますね。
ニ:そう言ってもらえればあなたを連れて来た甲斐もあったというものです。
タナトスを浄化して世界を平穏にするのも大切ですが、そのせいであなたの心が乱れてしまっては意味がありませんからね。
時にはこうして心癒される時を過ごすのも良いでしょう。願わくは、私とふたりで……ね。
風哭の峡谷
ア:……。
ニ:どうかしましたか?
ア:あ、いえ、何だかさびしいところですね。
ニ:この峡谷も昔はオーブを発掘しようとする人々で足の踏み場もない状態だったと聞きます。
時の流れというのは残酷なものですね。この眩しい陽射しは当時と何も変わらないでしょうに。
Aパターン
ア:陽射しだけでなくこの峡谷も何も変わっていないと思います。
ニ:まあ、確かにそうかもしれません。料理だって素材と調理方法が同じでも盛り付けが変わっただけで味も変わったと感じますしね。
ア:えっと……。
Bパターン
ア:でも、変化していくのは悪いことではないと思います。
ニ:ええ、あなたの言う通りです。
ニ:誤解しないでくださいね。私は時と共に変わっていくことを否定しているわけではないのです。
むしろその変化を喜び憧れていると言ってもよいでしょう。ただ願わくばこの世界の人々が喜びに満たされるような変化であってほしいと。
翠羽の泉
ア:静か……ですね。
ニ:ええ……。ですが、それでいて決して止まっているわけではありません。優しい風にそよぐ木々、涼を求めて集う鳥や虫達。
そしてそれらの中心にある泉……。この場所にいる全てのものが小さな幸福に包まれて懸命に生命のダンスを踊っている。
だからこそこの地は人の目を惹きつけてやまないのでしょう。
ア:生命のダンス……ですか?
ニ:ええ、この世界に生まれた瞬間から生きとし生けるものは全て踊り続けている。生きるため舞いを約束の時へ近づくための舞いを。
だからこそ生命は尊く美しい輝きに溢れている。アンジェリーク、あなたもそう思いませんか?
輝晶の源泉
ア:うわぁ、本当に水がきれいですね。これが輝晶の源泉。
ニ:ええ、リースの山から湧く水もとても清らかですが、やはりここにはかないません。
ア:きゃっ、冷たい。
ニ:ほらほら、あまり身を乗り出してはいけませんよ。ここの水は特別冷たいですから、足を滑らせでもしたら大変ですよ。
ア:はい……。
ニ:ふふっ、何か水を運べる器を持ってくればよかったですね。ここの水で淹れた紅茶はさぞやおいしいでしょうに。
ア:そうですね。
ニ:まあ今日のところはこの澄んだ水をそのまま楽しむだけで満足することにしましょう。
次に来る楽しみが増えたと思えばむしろ喜ぶべきことですからね。