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Update 2014.7.20
Update 2014.7.19
2014.7.5

フリスクUSB電力計(新バージョン)

USB電力計

USB ACアダプタやパソコンからタブレットやスマフォを充電する電圧や電流、電力を確認するためにフリスクケースに収まる小型USB電力計の新バージョンです。

前作のフリスクUSB電力計の基板改版とソフトをバージョンアップしました。ソフトは旧版のハードでも動作します(回路は変わってないので)。

基板と書き込み済みPICを含む部品のセット頒布中 (基板完成品も可)です。 終了しました。

インプレスさんのやじうまWatch(2014.7.8)で紹介されました(2014.7.11追記)。

プログラムをV3.1に更新しました(2014.7.19)。

タカチのケース(CS75N)に入れてみました(2014.7.20)。

【諸元】
  (1). 電圧        x.xx V    最大5.8V(参考:USB規格は4.75V - 5.25V)
  (2). 電流       xxxxxmA    最大2.5A(参考:USB2.0は0.5A, USB3.1は1A, iPad充電器は2.5A)
  (3). 電力       xx.xxxW    5Vx2.5A  = 12.500W
  (4). 累積電力  xxx.xxWh    12.5Wx24h=300.00Wh
  (5). 累積電流  xxxxxmAh    2.5Ax24h =60000mAh (内部16ビットなので65535でoverflow)
  (6). 経過時間  hh:mm:ss

 [表示モード切替]
              電圧    |  電圧   | 経過時間 | 経過時間 |電流アニメ|コントラスト| 零点調整
              電流    |  電力   | 累積電力 | 累積電流 |     (※) | 設定       |    (※)
          ------------+---------+----------+----------+----------+------------+----------
  LCD1行目    x.xxV   |   x.xxV | hh:mm:ss | hh:mm:ss |  >>>     | Contrast   | Zero
  LCD2行目  xxxxxmA   | xx.xxxW | xxx.xxWh | xxxxxmAh |          | Setting    | Adjust

                                                                            (※) 新機能
 [零点調整]
    無負荷時に数mA程度を表示してしまうので、これを零に自動調整する機能。
    旧版でも零を表示するようにしていましたが、決め打ちで零にしていたので、
    個体の状況を確認して零に調整する機能を追加しました。


USB電力計 回路図

回路図

回路は旧版と同じだが、旧版のピンアサインバグを修正。

電流は+側を測定しており、シャント抵抗の電圧をオペアンプで増幅することで測定精度を高めている。電流測定の回路はオペアンプLMC6482のデータシートに載っているアプリケーション例(Positive Supply Current Sence)のまま。定数もほぼ同じ。

電圧、電流測定用の抵抗は、誤差1%の金属皮膜抵抗を使うことにした。その他はチップ抵抗。PIC/LCDは3.3Vで動かすため、表面実装タイプのレギュレータを利用している。

インターバル・タイマ工作と同じくPIC16F1823とI2C(アイ・スクェア・シー)インタフェースの小型LCDを使用した。時間測定を行うので発振子には9.216MHzのX'Talを使用。C2,C3は18pFが入手できなかったので12pFで代替。

回路図の拡大図です。無保証です。

USB電力計 基板

基板設計

旧版からの主な変更箇所は以下の通り。


USB電力計 基板

基板

旧版は4枚を面付けして製造委託して自分で(はんだづけカフェで)カットしたが、手間がかかったので今回は個片で製作。

また、基板の厚さを1.2mmにしたことでUSBコネクタの背中の出っ張りを削らずに収まる。

USB電力計(部品実装)

部品実装

表面実装部品を搭載したところ。写真のような細いこて先で半田付けする。

挿入部品はもう少し太いこて先で半田付け。とくにUSBコネクタのケース部分の半田付けには熱量が必要。

USB電力計(リードをカット)

挿入部品の足は短く

フリスクケースに収めるために基板の裏側はできるだけフラットにする。このため挿入部品の足は基板からでないようにカットする。

写真はPICの足をカットした様子。オペアンプ、抵抗、Tr、USBコネクタ、LCDなども同様にカットしてから半田付け。

今回、基板の厚さを1.2mmにしたので、USBコネクタ(雌)の背の出っ張りは削らなくてもなんとか収まる。ただし、蓋側を若干ざぐった。

USB電力計(LCD固定)

PICの背中に両面テープ

超小型LCDは接続用の足だけでは不安定なので、PICの背中に1mm厚の両面テープで固定する。

黒いテープなので見にくいですが、PICの左側80%位を覆うように貼ってあります。

USB電力計(基板完成)

基板完成(表側)

超小型LCDを実装して完成。

薄いガラス製なので取り扱いに注意。無理な力がかかると割れる。

なお、LCDの表面にはキズ防止のためのフィルムが貼ってあるので、ケースに収める際に剥がす。

USB電力計(基板裏側)

基板裏側

基板の裏側(半田面)の様子。こんな感じで極力フラットにする。

USB電力計(部品高さ)

部品高さ

超小型LCD、タクトスイッチ、USBコネクタなどを横から見た様子。

タクトスイッチは基板に密着させるとボタン位置が低すぎるので、若干(0.5mm位)浮かせて実装する。

USBコネクタ(雌)の背より少しでるくらい。

USB電力計

プログラム

毎秒8回、電圧と電流(シャント抵抗の電圧)を測定して平均値をとり、1秒ごとに表示を更新する。

V3にバグがあり(ほとんど影響ありません)、修正してV3.1としました(2014.7.19 詳細はソースコメント参照)。

ソースプログラム(V3.1)です。バグがあるかもしれません、無保証です。著作権は留保しますが、改変などご自由にどうぞ。

ADコンバータの測定値から電圧や電流を求め、さらに電力計算するために16ビットの乗算、除算演算が必要になり、MicroChip社のサイトのものを利用。

内部のデータ保持は16ビットなので、大電流を長時間測定するとオーバフローする可能性があります。

USB充電などの用途を想定しているので、経過時間は100時間まで、電流は最大2.5A程度。ただし、最大電流では24時間程度まで(詳しくはソース内のコメント参照)。


USB電力計(ケース加工)

ケース加工

フリスクケースにUSBコネクタ(雄)がでる穴を開けているところ。ピンバイスで連続した穴を開け、アートナイフで少しずつ削って四角い穴にする。

USB電力計(部品実装)

ケース加工

ケース中央に出っ張りがあるので削った(矢印の位置)。削らないと基板がケースに密着しない。

USB電力計(基板取り付け穴)

基板取り付け穴

基板取り付け穴は基板をケースに収めて、基板の穴(φ2mm)からピンバイスで位置決めしてあける。これでぴったり収まる。

基板を薄い両面テープで固定する場合には穴あけ不要。

USB電力計(ケース蓋加工)

ケース蓋加工

ケースの蓋には開きすぎ防止のための出っ張りがあり、USBコネクタと干渉するのでこれを削る(上の矢印の位置にあった)。

また、USBコネクタの端に少し出っ張りがあり、これが若干干渉するので少しケース蓋の裏側を削った。削らなくても大丈夫かもしれない。

USB電力計(ケース加工完了)

ケース加工完了

基板はφ2mmの皿ネジで固定するので、皿ネジが収まるように皿もみ加工。

USB電力計(基板実装)

基板実装

基板をケースに収めてネジで留めた様子。蓋はもとのようにかぶせるだけ。

USB電力計(通電)

通電

モバイルバッテリから通電してみた様子。負荷なしのときの電流零点調整を行った後なので、0mAを表示している。

USB電力計(新旧比較)

新旧比較

新旧フリスクUSB電力計を並べてみた。上が今回の新しいもの。

LCDの位置を若干左に寄せ、タクトスイッチとの干渉を抑えている。また、上下位置が若干下側に移動し、中央近くになった。

USB電力計(内部新旧比較)

内部新旧比較

旧版はオペアンプの端が見える(ジャンパ修正してある)が、新版はLCDの下に隠れている。

見にくいが旧版はUSBコネクタ(雌)の出っ張りが削ってある。

完成

評価(旧版)

負荷に10Ω10Wのセメント抵抗を5個、並列や直列につないで電流測定の評価を実施(旧版で実施)。

今回、回路的な変更はないので、新版も同様の評価結果になるはず。

完成

評価結果(旧版)

電圧、電流測定の計算は回路の抵抗から求めた理論値のままで、調整は行っていない状態での測定(グラフの拡大図)。

その後、計算式の定数を手持ちのデジタルマルチメータで若干調整した定数をソースに埋め込んである。

完成

評価(旧版)

評価のためにUSB出力側に100均のUSB延長コードを半分に切ったものにワニ口クリップをつけ、負荷のセメント抵抗をつないだ。

500mA弱流したときにセメント抵抗の両端の電圧が4.84Vまで下がっている。20cm程度なのにUSB延長ケーブルの電圧降下が激しい。スマフォなどを充電する際にはUSBケーブルも選ばないとロスが大きい。

確認のためにシャント抵抗の直後をマルチメータで測定すると5.2V弱で、USB電力計の値とほぼ同じだった。


USB電力計 起動メッセージ

起動メッセージ

通電開始時にメッセージを出力。

V3はソフトのバージョン。

USB電力計 電圧・電流表示

電圧・電流表示

タクトスイッチを押すたびに、電圧・電流表示 → 電圧・電力表示 → 時間・積算電力表示 → 時間・積算電流表示 → 電流アニメ表示 がサイクリックに変わる。

設定した表示形式は、PIC内のEEPROMに記録するので次回も同じ表示となる。

USB電力計 電力表示

電力表示

電力は毎秒の平均電圧と平均電流を乗算した値をW表示している。

USB電力計 積算電力表示

積算電力表示

毎秒の電力値を積算し1時間換算してWh表示する。このため、電流量が多くても測定開始して間もないころは小さい値となる。

USB電力計 積算電流表示

積算電流表示

スマフォやタブレットの電池容量にmAhが使われているので、表示できるようにしてみた。

ただし、スマフォなどの電池はリチウムイオン電池の3.7Vを基準にしていると思われるので、USB給電5Vの積算電流とは積算電力は異なる。

たとえばスマフォのバッテリ容量2,600mAhは、3.7V x 2,600mAh = 9.63Wh だが、これと同じ電力をUSB給電の5Vの積算電流に換算すると、9.63Wh / 5V = 1,924mAh となる。

比率は74%(3.7V / 5V)なので、充電ロスを考慮すると同じような積算電流になるかもしれない。

USB電力計 電流アニメ表示

電流アニメ表示(新機能)

USBバスパワーインジケータと同様に電流が流れる様子をアニメーション表示する。

電流量に応じて流れる速度が変わり、電流が零の時は流れない。あまり高速になると液晶の表示が間に合わなくなるので、そこそこで抑えている。

アニメ表示中も電力の積算は継続しており、表示モードを切り替えると積算電力がわかる。

表示パターンの">"フォント(5x7dotを2つ)はソース内に定義してあるので容易に変更可能。

USB電力計 コントラスト設定

コントラスト設定

スイッチを長押しして離すと、LCDのコントラスト設定モードに入る。

設定モードに入った後、スイッチを押すと段階的に濃くなり、ある程度まで濃くなると一番薄くなり、サイクリックに変化する。

再び長押しして離すと、設定モードから抜ける。このときにコントラスト値をPIC内のEEPROMに記録するので、USB給電から抜いても次回まで保持される。

USB電力計 零点調整

零点調整(新機能)

負荷を繋がない状態で、タクトスイッチを押したままUSB給電を開始すると "Zero Adjust" が表示され零点調整が行われる。

その後、スイッチを離すと0mAが表示される。調整値はEEPROM内に記録するので、次回以降は無負荷時に0mAとなる。

動画


USB電力計 タカチCS75N

タカチのCS75N

基板・部品セットを購入頂いた方から、タカチのケースCS75Nを教えて頂いた。 フリスクケースとほぼ同じサイズ(若干大きい)で、今回の基板がほぼピッタリ収まる。

フリスクより安く(中身はないが)、蓋がビスで固定でき、ストラップを通す穴まで装備されている。

USB電力計 タカチCS75N

タカチのCS75N

中身はこんな感じ。四隅にあるのが、本体と蓋を固定するボス。蓋側にある6個のビス穴は基板取付ボス(もしかして、こっちが本体かも)。

USB電力計 タカチCS75Nに入れるための基板加工

基板加工

基板の四隅にあったφ2mmのビス穴をヤスリで削り、ケース本体に密着できるようにする。

 タカチCS75Nに入れるための基板加工

基板加工

ストラップを通す穴がケース内に出っ張っているので、これを避けるためにTM1位置の横を少し削る。

他に本体底には製造ロットを表すためのマークなどが若干出っ張っているが、今回はそのままとした。

USB電力計 ケース加工

ケース加工

ケースにUSBコネクタが通る穴、タクトスイッチ穴、LCD表示穴を開ける。ABS樹脂製で柔らかいため、加工は比較的容易。タクトスイッチ、LCD窓の位置合わせに少し苦労。

蓋側にある基板取付ボスがLCDと干渉するので削った(赤い矢印)。本当は写真右側のボスだけ削ればよかったが、間違えて左側も削ってしまった。

USB電力計 基板取り付け

基板取り付け

基板は両面テープでケース本体に貼り付ける。

四隅がピッタリはまるように基板隅を削ったのでテープ無しでも大丈夫かもしれないが、念のため貼り付けた。

USB電力計 タカチCS75Nへ納めた

ケースへ収納

こんな感じで収まる。

USB電力計 タカチCS75N

完成(表側)

ケースがフリスクケースに比べて若干長いので、USBコネクタの出っ張りが短い。同様にメス側も若干ケース内に引っ込んでいる。

手元にあるUSB ACアダプタに挿してみたが、いずれも問題なかった。

USB電力計 タカチCS75N

完成(裏側)

ケース裏側。四隅を付属のビスで固定してある。

USB電力計 フリスクケースとタカチCS75S比較

フリスクケースとの比較

写真上がフリスクケース。タカチケースのほうが一回りくらい大きいが、ケースとしてはしっかりしている。

USB電力計 タカチCS75N

動作の様子

USBコネクタが短くなったため、モバイルバッテリとは隙間がない。上のほうにあるフリスクケースを挿した写真では2mm程度の隙間が空いているが、左写真では密着している。


基板・部品頒布のお知らせ(無くなり次第終了)2014.7.5 終了しました(2016.8.15)

USB電力計 部品一覧

旧版が好評だったのと、部品セットのご希望がありましたので、今回は基板と電気部品一式セットで頒布します。セットに含む部品の拡大写真部品表です。部品番号は基板のシルクに対応しています。

PICマイコンはプログラム書き込み済みですので、PIC開発環境・プログラマがなくても組み立てられます。

組み立て手順書など紙資料は付きません。上記記事をご参考にお願いします。

◆基板・部品一式セット
  \1,800(送料別 \200:定形外郵便・クッション封筒でお送りします) 計\2,000
  (注)半田、両面テープ、ネジ、フリスクケースは付属しません。
     送料\200で3セット迄お送り可能です。

◆基板完成品(受注製作します)
  \2,850(送料別 \250:定形外郵便・クッション封筒でお送りします) 計\3,100
  (注)受注製作なので少しお時間ください。ネジ、フリスクケースは付属しません。


  上記タカチのケースに収めた完成品をお分けします(限定1品)。\3,500(送料込み)
   動作確認・写真撮影のために何度かACアダプタに挿しましたが新品です。
   手作りのためケース加工はそれほど高精度ではありません(写真の通り)

ご質問やご希望の方は以下までメールください。折り返し、在庫状況や振り込み先などご連絡します。なお、振り込み手数料はご負担ください(ネット銀行からですと、月に何回か迄は無料で振り込めることが多いです)。

迷惑メールフィルタを使っているので、件名を「USB電力計セット希望」などとしてください(HTMLメールは迷惑メールと認識される確率が高いです)。

会社勤めをしていますので、メールの返事は夜か朝になります。出張等で返信が遅れることも予想されますがご理解ください。余り長いこと返信がない場合には、迷惑メールと判断されたかも知れませんので、書き方を変えて出し直してみてください。

お送り頂く個人情報は適切に管理し、一連のやり取りが終了したら削除します。

以上


from Metal Woods(c) 2014