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Update 2014.2.22
2014.1.25

フリスクUSB電力計

USB電力計

USB ACアダプタやパソコンからタブレットやスマフォを充電する電圧や電流、電力を確認するためにフリスクケースに収まる小型USB電力計を作ってみた。

前回のUSBバスパワー・インジケータを高機能化し、電圧と電流、経過時間を測定することで電力計としています。

プログラム更新(2014.2.22)
 無負荷時に0mA表示するように、また手持ちのテスタをリファレンスにして電流計算の定数を若干修正したソースをアップ。

新バージョン公開(2014.7.5)
 基板改版を行い、ソフトもバージョンアップしたものを公開しました。基板とPIC書き込み済み部品セットを頒布します。

【諸元】
  (1). 電圧       x.xx V    最大5.8V(参考:USB規格は4.75V - 5.25V)
  (2). 電流      xxxxxmA    最大2.5A(参考:USB2.0は0.5A, USB3.1は1A, iPad充電器は2.5A)
  (3). 電力      xx.xxxW    5Vx2.5A  = 12.500W
  (4). 累積電力 xxx.xxWh    12.5Wx24h=300.00Wh
  (5). 累積電流 xxxxxmAh    2.5Ax24h =60000mAh (内部16ビットなので65535でoverflow)
  (6). 経過時間 hh:mm:ss

  表示モード切替
              電圧    |  電圧   | 経過時間 | 経過時間 |コントラスト
              電流    |  電力   | 累積電力 | 累積電流 |設定
          ------------+---------+----------+----------+------------
  LCD1行目    x.xxV   |   x.xxV | hh:mm:ss | hh:mm:ss | Contrast
  LCD2行目  xxxxxmA   | xx.xxxW | xxx.xxWh | xxxxxmAh |  Setting

基板頒布中(残り1枚)、(基板完成品も可)です。 終了しました(2014.4.14)。


USB電力計 回路図

回路図

電流は+側を測定しており、シャント抵抗の電圧をオペアンプで増幅することで測定精度を高めている。電流測定の回路はオペアンプLMC6482のデータシートに載っているアプリケーション例(Positive Supply Current Sence)のまま。定数もほぼ同じ。

電圧、電流測定用の抵抗は、誤差1%の金属皮膜抵抗を使うことにした。その他はチップ抵抗。PIC/LCDは3.3Vで動かすため、表面実装タイプのレギュレータを利用している。

インターバル・タイマ工作と同じくPIC16F1823とI2C(アイ・スクェア・シー)インタフェースの小型LCDを使用した。時間測定を行うので発振子には9.216MHzのX'Talを使って精度をだしている。

回路図の拡大図です。無保証です。ライブラリ作成時にオペアンプのピン割付を間違えていたので、赤字で修正してあります。

USB電力計 基板設計

基板設計

EAGLEで設計し、前回の工作の基板と一緒に面付けして製造を依頼した。

オペアンプのピン割付ミスに気付かないまま作ってしまった。

USB電力計 面付け基板

基板

面付け状態で届いた基板。このあと、はんだづけカフェでダイヤモンドカッタをお借りして切り離した。

USB電力計(部品実装)

部品実装

小型LCDを実装する前。上のほうに4つ一列に並んでいるのが電圧測定用の金属皮膜抵抗。

完成

USBコネクタを削る

フリスクケースに収めるために、USBのメスコネクタの背の出っ張りが邪魔になるのでヤスリで削ってある。

USB電力計(部品実装)

ジャンパ修正

ピン割付間違えたオペアンプの1,3ピンを入れ替えるためのジャンパ配線の様子。

1,3ピンは足を水平方向に曲げて(戻して?)切り取り、クロスさせて基板に配線。

完成

小型LCD実装

小型LCDはPICの背中に両面テープ(0.6mm厚位)で貼り付けて実装する。

LCDを載せると下になる部品の修正ができなくなるので、チップ部品やX'talの半田付けはしっかり確認。

USB電力計

プログラム

毎秒8回、電圧と電流(シャント抵抗の電圧)を測定して平均値をとり、1秒ごとに表示を更新する。

ソースプログラムです。バグがあるかもしれません、無保証です。著作権は留保しますが、改変などご自由にどうぞ。

ADコンバータの測定値から電圧や電流を求め、さらに電力計算するために16ビットの乗算、除算演算が必要になり、MicroChip社のサイトのものを利用。

内部のデータ保持は16ビットなので、大電流を長時間測定するとオーバフローする可能性があります。

USB充電などの用途を想定しているので、経過時間は100時間まで、電流は最大2.5A程度。ただし、最大電流では24時間程度まで(詳しくはソース内のコメント参照)。

プログラム更新(V2 2014.2.22)
 無負荷時に0mA表示するように、また手持ちのテスタをリファレンスにして、電流の計算定数を若干修正したソースです。電流値は抵抗の精度に依存するので、この定数が全ての場合に当てはまるとは限りません。

完成

評価

負荷に10Ω10Wのセメント抵抗を5個、並列や直列につないで電流測定の評価を実施。

手持ちのデジタルマルチメータと比較したところ若干低い値がでたが、マルチメータが正しいかどうかも不明なので、とりあえずそのままにしている。

完成

評価結果

電圧、電流測定の計算は回路の抵抗から求めた理論値のままで、調整は行っていない(グラフの拡大図)。

計算式の定数を若干調整すれば、合わせ込みできると思う。精度のよい測定器が使えれば試してみてもよい。

なお、電流が小さいときの精度は低い。負荷をつながなくても6mA程度を表示する。

完成

評価(補足)

評価のためにUSB出力側に100均のUSB延長コードを半分に切ったものにワニ口クリップをつけ、負荷のセメント抵抗をつないだ。

500mA弱流したときにセメント抵抗の両端の電圧が4.84Vまで下がっている。20cm程度なのにUSB延長ケーブルの電圧降下が激しい。スマフォなどを充電する際にはUSBケーブルも選ばないとロスが大きい。

確認のためにシャント抵抗の直後をマルチメータで測定すると5.2V弱で、USB電力計の値とほぼ同じだった。

USB電力計 完成

完成

フリスクのケースに収めた様子。蓋にLCDの窓とタクトスイッチの穴を開ける。

基板はケースにφ2mmの皿ビス4本で固定。蓋は被せるだけ。

USB電力計 電力表示

電力表示

スイッチを押すたびに、電圧・電流表示 → 電圧・電力表示 → 時間・積算電力表示 → 時間・積算電流表示 がサイクリックに変わる。

設定した表示形式は、PIC内のEEPROMに記録するので次回も同じ表示となる。

電力は毎秒の平均電圧と平均電流を乗算した値をW表示している。

USB電力計 積算電力表示

積算電力表示

毎秒の電力値を積算し1時間換算してWh表示する。このため、電流量が多くても測定開始して間もないころは小さい値となる。

左の写真は、約15分で0.50Whなのでそのまま1時間経過すると約2Whになる見込みであることがわかる。

USB電力計 積算電流表示

積算電流表示

スマフォやタブレットの電池容量にmAhが使われているので、表示できるようにしてみた。

ただし、スマフォなどの電池はリチウムイオン電池の3.7Vを基準にしていると思われるので、USB給電5Vの積算電流とは積算電力は異なる。

たとえばスマフォのバッテリ容量2,600mAhは、3.7V x 2,600mAh = 9.63Wh だが、これと同じ電力をUSB給電の積算電流に換算すると、9.63Wh / 5V = 1,924mAh となる。

比率は74%(3.7V / 5V)なので、充電ロスを考慮すると同じような積算電流になるかもしれない。

USB電力計 コントラスト設定

コントラスト設定

スイッチを長押しして離すと、LCDのコントラスト設定モードに入る。

設定モードに入った後、スイッチを押すと段階的に濃くなり、ある程度まで濃くなると一番薄くなり、サイクリックに変化する。

再び長押しして離すと、設定モードから抜ける。このときにコントラスト値をPIC内のEEPROMに記録するので、USB給電から抜いても次回まで保持される。

完成

インジケータと比較

前回のインジケータ工作と並べてみるとこんな感じ。

動画



基板頒布のお知らせ(無くなり次第終了)2014.1.25 終了しました(2014.4.14)

新バージョン公開(2014.7.5)
 基板改版を行い、ソフトもバージョンアップしたものを公開しました。基板とPIC書き込み済み部品セットを頒布します。

発注した基板が余っています。本USB電力計を作ってみようと思われる方で、プリント基板(生板)をご希望の方がいれば、ほぼ実費でお分けします。基板のシルクに対応した部品表です。

(注)上記記事のようにオペアンプのピンにジャンパ配線が必要です。実装後では修正困難ですので実装前に手当てください。

1枚 \380(送料込み:普通郵便でお送りします)
  おかげさまで残り1枚になりました。そこでおまけとして、少量購入できないチップコンデンサ(C1〜C8)、金属皮膜抵抗(R3〜R6)、チップ抵抗(R7〜R9)お付けします。('14.4.11)
2枚 \600(〃)※

※本基板と前回のUSBバスパワー・インジケータ基板、それぞれ1枚づつの計2枚でも可です。その旨ご連絡ください。

◆お問い合わせがあったので基板完成品も頒布します(受注製作します)。

基板完成品 \2,850(送料別 \360:郵便局のレターパックライトでお送りします)計\3,210
            (注)フリスクケースは付属しません。

ご質問やご希望の方は以下までメールください。折り返し、振り込み先などご連絡します。なお、振り込み手数料はご負担ください(ネット銀行からですと、月に何回か迄は無料で振り込めることが多いです)。

迷惑メールフィルタを使っているので、件名を「USB電力計基板希望」などとしてください(HTMLメールは迷惑メールと認識される確率が高いです)。

会社勤めをしていますので、メールの返事は夜か朝になります。出張等で返信が遅れることも予想されますがご理解ください。余り長いこと返信がない場合には、迷惑メールと判断されたかも知れませんので、書き方を変えて出し直してみてください。

お送り頂く個人情報は適切に管理し、一連のやり取りが終了したら削除します。

以上


from Metal Woods(c) 2014