21's SPACE 99TheUniverse VOL.17 
        【森 羅 万 象

2001.

前号まではこちら

【地球】シリーズにあわせて  環境ホルモン 木は切らない どうする!“ゴミ”もご参照下さい

   earth 地球を考えよう・・みんなで・・・ 【地球bP0】 
新世紀の課題を考える

希望と期待を持って迎えた新世紀、21世紀が始まった。
歴史上希にみる科学技術の進歩、そして絶えることのなかった悲惨な戦争。
そんな20世紀から、私たちは何を引き継ぎ何と決別しなければならないのだろうか。
そして、私たちがいま住む地球がどんな状況に置かれているのか、この半世紀にどれほどの変化が起きたのだろうかを、知っておかなければならないと思った。
その上で、我々一人一人にいま何が出来るのだろうかとも。
地球環境財団・レスター・R・ブラウン(編)の「地球白書2000−01」をひもときながら考えていこうと思う。

いまこの地球上には、60億人の人が暮らしている。12億の人が飢えで苦しみ、12億の人々が水不足
で悩み、10億近い成人が読み書きが出来ない。例えばインド・・中国に続いて人口が10億人を突破した。子供の53%が栄養不良である。1トンの穀物を生産するのに1000トンの水を要するという。過大な人口増、それを賄うために耕地拡大=森林減少、そして水不足(過剰揚水=水資源の枯渇)
の図式になる。他方、栄養過多の太りすぎと栄養不足の痩せすぎ人口が拮抗して、それぞれ12億人という数字もある。

新世紀に持ち込んでしまった大きな問題に感染症がある。推定2300万人のアフリカ人がHIV(ヒト免疫不全ウィルス)による死の宣告を受けたまま、世紀を跨いだ。一部の国では平均寿命が20年以上短くなった。エイズが蔓延る前に65歳だった平均寿命が2010年には39歳に低下すると予測されている国(ジンバブエ)もある。

新世紀に緊急に対応を迫られている課題は数多い。

人口増加・・至近の50年間に25億人から60億人以上に増えた。2050年には89億人になると予想されている。先進工業国では人口増が押さえられているが、既に人口過剰の状態にある途上国では、21世紀中に2〜3倍になるとの予測もある。
それに対して、自然システムは拡大しない。例えば、水循環で得られる水量は50年前もいまも変わりないし、2050年にも同じと思われている。海洋資源、森林等の自然資源も人口増に比例しない。人口の急激な増加が様々な要素を伴って生存そのものも脅かしかねないのである。

気温・・大気中の二酸化炭素の濃度の上昇によって起こる気温上昇が憂慮されている。産業革命以前(200年前)推定濃度280ppmだったものが、1959年(詳細測定開始年)316ppm、この間に13%の上昇である。大気中の二酸化炭素濃度が21世紀中に産業革命以前の2倍に上昇したら(そう予測されている)地球の気温は1℃、最大で4℃上昇すると言われている。そうなると海面水位は最小で17p、最大で1m上昇するとの予測だ。それほどの気温上昇は、地球の生態系を変化させるであろうことは容易に想像される。
現在でも、北極、南極、アラスカ、グリーンランド、アンデス山脈で氷棚の溶解が進んでいる。97年までの半世紀に7000平方キロ、その後の一年間に3000平方キロ縮小したと報告されている。
さらに、最新のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告(01.1.22.発表)では、地球全体の平均気温が1860年頃から現在までに0.4〜0.8度上がったと指摘し、2100年までに1.4〜5.8度上昇するとの予測の上方修正があった。過去の予測よりは気温上昇予測値が上がった。温暖化の進行は日本を含むアジア北・中部や北米北部で顕著で、地球全体に比べて平均気温の上昇幅が
40%高くなるとしている。また、二酸化炭素濃度についても、現在の367ppmから540〜970ppmと予測されている。地球温暖化は確実に、急速に進んでいる。

地下水・・・近世になって、動力ポンプの登場により雨水や融雪による自然の循環を凌ぐ地下水の利用が始まって、地下水の枯渇問題が浮上した。地下水源減少の最も著しいのは、インドと中国。インドでは人口が1950年から3倍になって、水需要が急増し同国の地下帯水層の可能産出量の2倍になってると推定されている。
世界の急激な帯水層枯渇、都市への水の配分量の増加によって灌漑用水の減少から、穀物生産の減少がもたらされ現在世界全体で年間600万人にのぼる、飢えあるいは栄養不良での死亡者がさらに増大することにもなる。

耕地面積の減少・・・都市化、工業化、土壌劣化による世界の耕地の喪失が進んでいる。この50年間に1人あたりの耕地面積が0.24ヘクタールから0.12ヘクタールに半減している。この先人口の増加によって1人あたり耕地面積は、さらに減少するのは確実だろう。パキスタンを例にとれば、現在の人口1億4600万人、2050年には3億4500万人と予測されている。この人口過密国は2050年に
1人あたりの耕地面積はいまの半分以下の0.04ヘクタール(テニスコートくらい)に減少する。現在子供の半数以上が栄養不足のエチオピア、半世紀後には人口が3倍になると予測されている。これらを含めて数十カ国で耕地面積が激減するのではないか。穀作耕地の生産性は過去半世紀で170%向上したとされるが、これから先の生産性向上は限界にきている。これ以上の生産性向上は望めないのである。

海洋資源・・・人類の食糧、動物性蛋白質の供給源は海洋に強く依存している。1950年から97年の間に漁獲量は1900万トンから9000万トン(約5倍)に増加した。
この急速な漁獲量の増加は海洋の再生産力の限界にきていると思われている。とすると、これからの人口増によって1人あたりの海洋からの食糧供給は確実に減って行く。

これらから、このままの状態が続けば遠くない将来に地球が人類を賄えない事態がきても不思議ではない。

いま人類の最大の課題は、気候の安定、人口の安定化ではないか。これらの対策に成功すれば、食糧問題、森林の減少、地下水の枯渇、生物の多様性保持などが保たれるだろう。
2つの課題(気候と人口)、を成功させる技術を我々は既に持っている。それをどう生かすかの問題なのだ。
それは新しいエネルギー源の開発(保持してる技術で)の促進、途上国での(人口問題)教育促進。
化石燃料から代替エネルギー源への転換。
かってコストの低さの象徴だった原子力発電、いまは廃止のプロセスが始まっているといえる。コスト的にも環境問題上も存在価値を失いつつある。いま急がれる代替策は、太陽−水素型といわれるエネルギー源、水力、風力、太陽光である。
1990年から98年までのエネルギー使用動向は石炭使用量の増加はなく、風力発電と太陽電池発電使用量はそれぞれ年率22%、16%の増加である。
が、まだ気候変動を止めるほどの増加スピードではない。ただ、デンマークでは電力の8%が風力発電、ドイツの北端の州では11%スペイン北部のナバーラ州では20%が風力発電である。途上国でも90万キロワットの風力発電能力をインドは持っている。
風力発電コストは1981年当時の三分の一以下になってきた。1998年に太陽電池の販売量は15万200キロワットに達した。日本でも太陽電池を組み込んだ屋根材で、その普及が注目されている。風力・太陽電池発電の伸びに対して、石油使用量は年率2%以下になってきた。2005年をピークに下降に転じるとも言われている。現在天然ガス(化石燃料のなかで二酸化炭素排出量が比較的すくない)は年率2%で伸びている。現在は化石燃料から太陽・水素型エネルギーへの橋渡し的存在の役割を果たしている。
気候安定化の緊急性から、風力発電・太陽電池の伸びを劇的に上昇させる必要性がある。その方策は各国で模索されているが、特にヨーロッパで賃金・所得への課税を引き下げて、化石燃料(炭素排出税)等への課税を引き上げる等の税制改革が実施されつつある。

世界人口の年間増加数は1950年に3800万人、98年に8700万人になったが、98年には7800万人に落ちた。32カ国(欧州先進国・日本・カナダ)は人口の安定化に成功しているが、(この国々は世界人口の15%を占めている)先にも書いたが途上国では増加率が上昇続けている。また、中国とアメリカの人口大国は年1%弱の増加率だ。
地球の人口扶養能力の的確な情報提供と、人口問題に対する個人の意識を高める教育が全世界的に求められているのではないだろうか。各国の指導者の指導力、政策力が極めて重要となるのだろう。
そしてまたこれは、全ての人が参加できることであるし、傍観できるものでもないと思う。

美し星地球、それを守る人類の大事業に成功すること、参加すること、それは誰にとっても緊急の課題であるし、
そして、なにかしかのことをやり遂げたとき、その達成感はこれに勝るものはない思うのだが。
                                                                   
h.       
  
  地球(環境)問題
 今、私達一人一人になにが
 出来るか〜考えてみましょう。
 
環 境 省

                          参考文献:「地球白書2000~01」
                             地球環境財団/環境文化創造研究所 
                              レスター・R・ブラウン編著;浜中祐徳;監訳

 
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