わんだふる ペルーアンデス (5)

  1.プロローグ 
  2.ペルーへ向けて出発 : 08月06日(木) 
  3.ブランカ山群1 (リマからワラスへ) : 08月07日(金) 
  4.ブランカ山群2 (ウルタ谷、ウルタ峠) : 08月08日(土) 
  5.ブランカ山群3 (パロン湖、ヤンガヌコ谷) : 08月09日(日) 
  6.ブランカ山群4 (ヤンガヌコ峠、デマンダ谷 : 08月10日(月) 
  7.ワイワッシュ山群1 (ワラスからワヌコパンパへ) : 08月11日(火) 
  8.ワイワッシュ山群2 (ケロパルカからカルアコーチャ湖) : 08月12日(水) 
  
9.ワイワッシュ山群3 (カルアコーチャ湖滞在) : 08月13日(木)
  10.ワイワッシュ山群4 (カルアコーチャ湖からミトコーチャ湖) : 08月14日(金) 
  11.ワイワッシュ山群5 (ミトコーチャ湖からマタカンチャ) : 08月15日(日) 
  12.トレッキングを終えてワラスへ : 08月16日(日)
  13.帰路(成田へ向けて) : 08月17日(月)、18日(火)、19日(水)


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7.ワイワッシュ山群1 (ワラスからワヌコパンパへ) : 8月11日(火)

 今日から、ブランカ山群の高度順応を兼ねた「観光」ドライブを終えて、いよいよワイワッシュ(Huaihuash)山群トレッキングに入っていきます。今日はワラスからワイワッシュ山群の入り口手前のワヌコパンパ(Huanuco Panpa、3,500m)への車移動日となります。ワヌコパンパには、インカ帝国の遺跡があるということなので、その遺跡見学ができるよう前日にツアーリーダーにお願いしました。

 いつもどおり、6時のモーニングコールで目を覚ましました。前日のテント泊とは違って、ベッドではぐっすりと眠れたので、すっきりした気分でした。また、夜中にも何度も起きることはありませんでした。天気はやや雲が多く、周囲の山はほとんど展望できませんでした。それでも、雨は降りそうな様子もないので、それでもよいかといった気分でした。

 朝食前にホテルへ預ける荷物と、ワイワッシュ山群へ持っていく荷物を仕分け、ドアの外に出しました。まだちょっと時間があったので、ホテルの周りを歩いて見ました。町は山の斜面に沿っているので、道は坂道となっています。道路は舗装もされており、ゴミなどもなく、比較的きれいな街路でした。7時に朝食でした。皆元気で張り切っているようでした。

 8時前にバスが到着しました。今日は、普通の道路を走るので、中型バスでした。バスに乗り、8時ちょうどにワラスを出発し、ワイワッシュ山群に向かいました。道は初日に通ったリマからの道を逆に戻り、コノコーチャ峠まで行き、そこで左折し、太平洋とは反対側へ行くことになります。車は比較的よく舗装された道を快適に走りました。今日は、大きなパイナップルの木がある公園に寄り道するとのことでした。バスはコノコーチャ峠の手前(ワラスから2/3くらい進んだところ)で左折し、30分くらい広い草原の中を走り、9時20分にカルパ(Carpa)の公園事務所に着きました。バスを降りると、目の前の丘の斜面に巨大な緑色の電信柱のようなものが見えました。これが”パイナップル”ということでした。この地方ではあちこちにあるようですが、ここのが一番立派で、たくさんあるということでした。それにしても面白い”パイナップル”ですね。公園内を歩きながら写真を撮りました。

カルパ付近の草原 ”パイナップル”(9:55)

 再びバスに乗って、国道へ戻り、しばらく走ると、来るときにトイレ休憩したコノコーチャ峠に到着しました。11時30分でした。
峠は時折小雨がぱらつく天気で、とても寒かったです。峠からワイワッシュ山群の方向を見ると、空は厚い雲に覆われており、とてもいやな気分になってしまいました。

 トイレ休憩の後、バスは峠で左折、すなわち太平洋方面とは反対の方向に折れ、ワイワッシュ山群に向けて走り出しました。雨は降ったり止んだりの天気です。道路は鉱山会社が鉱産物を運ぶために作った道ということで、きれいに舗装されていました。この道はアマゾン地方へ抜けることができるとのことでした。途中、13時頃、今日の最高地点であるヤナシャラシュ峠(Yanashalash、4,680m)を越えましたが、ここでは雪が降っていました。当然、外は氷点下ということです。こんな天気が続くのかと思うと、ますます気が滅入ってしまいました。

 バスは峠を越えてしばらく走ると、鉱山会社が作った道とは分かれて、東に向かいました。道は舗装ではなくなりましたが、悪路というほどではありませんでした。幸いにも雪もやみ、空は明るくなり、ほっとしました。バスはどんどん谷間を縫うように走りますが、村落はあまり見かけませんでした。途中にインカトレイルが見えるところがあり、休憩を兼ねて小休止しました。まだまだ、バスは走ります。今度は、ちょっと大きな町に入り休憩となりました。ちょっとした商店や教会もあり、人の往来もありました。へー、こんなところに町があるんだという感じでした。

コノコーチャ峠(4,050m)と沼(11:30) 途中の風景1(12:00) 途中の風景2(14:00) 途中の風景3(インカトレイル)(14:25)
町の教会(14:45) 町の通りと人々

 今日は移動日ですから、バスはどんどんひたすら走るというしかありません。町を離れると、今度は高度を稼ぐように、山道を登りはじめました。しばらくすると、高原のようなところに出ました。あたりは草原で、放牧地のようなところです。15時45分、やっとのことで、今日のキャンプサイト、ワヌコパンパ(HuanucoPanpa、3,500m)に到着しました。ワラスを出て、7時間45分のバスツアーには大変疲れました。トレッキング前にくたくたといった感じです。それでも、明日からのワイワッシュ山群トレッキングのスタート地点にとうとうやって来たということで、ほっとした気持ちと緊張感が湧き上がってきました。

 冒頭にも話しましたように、このワヌコパンパには、インカ帝国時代の遺跡があるということで、スタッフが設営や食事の準備をしている間に遺跡見学をすることになりました。ご気楽なトレッキングですね。ところが、出発直前に小雨がぱらつき始めましたので、皆レインウェアを着て出発となりました。風がなかったことが幸いで、そんなに寒くはありませんでした。
インカ遺跡の説明(15:50)
 遺跡の前には小さな管理事務所があり、ガイド(オレンジのベストを着ている人)が案内してくれることになりました。ガイドがスペイン語で説明し、我々の現地ガイドが英訳し、さらにチームリーダーが日本語訳するといったわずらわしい説明となりました。遺跡は草原の真ん中にあり、かなり広い遺跡でした。高い建物はなく、土台や門、浴場などの遺跡でした。見学途中に雨が止み、草原に大きな虹が二重に出現しました。皆、このすばらしい虹の風景に大感激し、写真を撮りました。子供の頃はよく虹を見たものですが、最近はほとんど見ることはありません。地上から立ち上がった大きな半円の弧になった虹を見るのは初めてですし、それも大きな虹とその中にもうひとつの虹が見えたのには驚いてしまいました。

遺跡の空に弧を描く虹(16:15) 遺跡1(16:50) 遺跡2(16:55) 遺跡3(17:00)

 約1時間20分、遺跡見学をし、17時20分にキャンプサイトに戻りました。もちろん、テントは設営済です。戻る頃には少し雨も強くなり、夕食まではテント内で一休みでした。19時に雨の中をダイニングテントまで行き、そこで夕食をとりました。やはりテント泊での雨はいやなもので、なんとなく皆意気消沈のような雰囲気でした。標高はおよそ3,500mですが、皆高度障害チェックは問題なく、明日からのトレッキングはOKでした。食後はすぐにテントに戻り、8時には寝てしまいました。

 夜中は時々目を覚ましてトイレに行きましたが、雨は止み、半月が出ていました。何とか明日は晴れるでしょう。


8.ワイワッシュ山群2 (ケロパルカからカルアコーチャ湖) : 8月12日(水)

 8月12日、ワヌコパンパ(HuanucoPanpa、3,500m)の朝は6時起床でした。今日はバスでケロパルカというところまで行き、そこから本格的なトレッキングが始まります。昨日の夕方は雨に降られたりで、天気が心配でしたが、今朝も少し青空が覗いているものの、どんよりとした曇り空で、なんとなくいやな気分でした。気温もかなり冷え込んだようで、朝のうちは毛糸の帽子や羽毛のヤッケを着用しました。

 6時に朝食です。高度障害による消化器系障害も収まっており、食欲も少し回復してきていました。今のところ体力的には問題ありませんでした。食事の間に、スタッフがテントを片付け、我々のダッフルバッグ(馬に運んでもらう荷物)などといっしょにバスに積み込んでいました。とても恐縮します。食後は、さらに食器を洗ったり、調理具を片付けたり、ダイニングテントを片付けたりと、たいへん忙しく働きまわっていました。こちらは、ほとんど手伝うこともなく、写真を撮ったり、ストレッチをしたりと、ぶらぶら過ごすだけでした。

 7時20分、すべて荷物がバスに載せられて(もちろん我々トレッカーもです)、ケロパルカに向かって出発しました。近くの牧場?から馬が朝の散歩?のために放たれたようで、馬がグループになってバスの前を走っていきました。こういう風景は日本では見られないので、とても感動的でした。ケロパルカまでは、バスで3時間ほどとのことでした。早くバスから解放されたいという感じでした。途中、町に寄って小休憩を取り、10時40分にようやくケロパルカ(Queropalca、3,500m)に到着しました。


朝食の風景(6:10) 朝のワヌコパンパ(6:30) 出発準備のバス 途中の町の教会(9:25)

 バスを降りると、広場に多くの人がいました。広場を整備している人と、我々の荷物を馬に載せやすいように荷造りして、馬に荷物を取り付ける人のようでした。我々も、服装や靴ヒモなどをチェックし、ストレッチ体操もやりました。ところが、私はここで下痢の症状が少し出て、とても不安な気持ちになりました。イヤダナー!!

 ちょうど11時にケロパルカを出発しました。いよいよトレッキングのスタートです。今日の目的地は、カルアコーチャ湖(Lag Carhucocha、4,138m)畔のテントサイトです。標高差はおよそ600mです。天気は暑いくらいのよい天気でした。村の道を通り抜けると、村の中心?と思われるところに出ました。そこには大きなコンクリート製のカウボーイハットのモニュメントがありました。ここを過ぎると、狭い川に沿った緩やかな山道を登りはじめました。振り返ると、ケロパルカの村が見渡せました。どんな仕事をしているのか知りませんが、こんな山奥?に結構多くの人が住んでいるのだなと思いました(まあ、車が入るのだから、たいした山奥ではないともいえますが)。

荷造り作業(10:50) 出発前のメンバー ケロパルカ村の中心?&ハット(11:10) 上から見たケロパルカ村全景(11:20)
 しばらく歩いていると、川の反対側のやや高いところを馬が10頭ほどが我々と同じ方向を走っていきました。どうも我々の荷物を運んでいる馬のようでした。後で地図で確認すると、川の両岸に道がありました。しばらくすると、谷は広くなり、開けた草原を歩くようになりました。とても気分のよいトレッキングです。ただし、出発時の好天は姿を消し、雲が多くなってきたのが気になり始めました。それでも、雨が降るような心配はありませんでした。

 1時間ほど歩いたでしょうか。正面に山頂を隠した山が見え始めました。イエルパハ(Yerupaja、6,617m)とシウラ(Siura、6,334m)ということでした。一度だけ顔を見せてくれたので、写真を撮ることができました。でも、雲が多くて、何となく今ひとつといった感じでした。12時に1回目の小休憩があり、12時30分にランチとなりました(標高およそ3,700m)。私は歩くことは問題ないのですが、どうも体調がすっきりせず、食欲もなく、少ししか食べることができませんでした。

トレイル(12:15) 雲に隠れた山(12:30) シウラ(Siura、6,334m)(12:30) イエルパハ(Yerupaja、6,617m)
ランチ風景(12:40) トレッキング中の花1(リンドウ) トレッキング中の花2

 ランチ終了後、13時10分に再出発しました。途中、かわいいウッドペッカー(キツツキ)を見ることができました。ガイドからコンドルが上空を飛んでいると教えられて空を見たのですが、とても高いところを飛んでおり、それに灰色の空なので、黒い物が動いているといったふうにしか見えませんでした。14時、小休憩をとりました(標高およそ3800m)。その後、再び歩き始めたのですが、1時間ほどすると空がにわかに黒くなり、雨が降り始めました。全員あわててレインウェアを取り出して、着ました。雨は強くはないのですが、気温が急に下がり始めたようで、寒くなり、また雷の音まで聞こえるようになってきました。テントサイトまではまだまだあるようです。これはやばいなと思いながら、ひたすら我慢をして歩きました。北海道トムラウシの情景が眼前に浮かんできました。やばい!

 幸いにも、40分くらいで雨は止み、晴れ間も見えるようになりました(16時頃、標高およそ3,900m)。そこで、小休憩を取り、レインウェアを脱いで、ザックにしまいこみました。この雨と寒さで体力をかなり消耗したようで、ちょっと疲れが出てきました。まだ100m近く登らなければなりません。元気を取り直して、最後の力を絞って歩きはじめました。雲間から、山が見えるようになりました。サラポ(Sarapo、6,127m)のピラミッドがきれいでした。イエルパハ(Yerupaja,6,617m)とイエルパハ・チコ(Yerupaja Chico、6,094m:チコとは子供といった意味だそうです)も少し顔を出してくれました。青空が出てくると元気が出てきます。頑張れ!頑張れ!

まだまだ続くトレッキング(14:00) サラポ(Sarapo、6,127m) イエルパハ&イエルパハチコ(15:50) 谷間がカルアコーチャ湖(16:10)

 途中で、放牧された馬と家族数人が湖の方から歩いてくるのに出合いました。こんな光景は初めてで、「あー!こんな生活もあるんだ」と映画を観ているようでした。17時25分、やっとの思いでカルアコーチャ湖(Lag Carhuacocha、4,138m)畔に到着しました。本当に疲れきってしまいました。予定よりは時間がかかったようで、6時間半の行程でした(予定は5時間)。リーダーの説明を聞いた後、すぐにテントに入り(もちろん、設営はとっくに終わっています)、横になって休みました。外で写真を撮ったりする元気もありませんでした(今考えると、低血糖の症状が出たのかなとも思ったりしています)。

 19時に夕食がありましたが、私はほとんど食欲がないので、少し食べただけでした。高所障害チェック自体は問題はありませんでした。食事の途中雨が降りましたが、食事を終わる頃は雨は止んでおり、ほっとしましたが、明日の天気が心配でした。まさか、雪などということは??ただ明日は周辺のハイキングということだったので、もし雨や雪だったら休息日にしようかなとも思いました。

家路を戻る家族と家畜(16:35)

 食後は直ちにテントに戻り、ホカロンを足の先とかかと、それに腰に貼り、タイツとオーバーズボンをはき、羽毛のジャケットを着込んで、完全防寒体制でシュラフの中に潜り込み、さっさと寝てしまいました。夜はトイレのために時々起きました。真夜中は月や星が見えていましたが、朝方近くは霧が出ておりおぼろ月でした。何度も起きましたが、シュラフに入ればすぐに寝付くことができたので、寝不足にならなかったのがよかったと思っています。



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