わんだふる ペルーアンデス (6)

  1.プロローグ 
  2.ペルーへ向けて出発 : 08月06日(木) 
  3.ブランカ山群1 (リマからワラスへ) : 08月07日(金) 
  4.ブランカ山群2 (ウルタ谷、ウルタ峠) : 08月08日(土) 
  5.ブランカ山群3 (パロン湖、ヤンガヌコ谷) : 08月09日(日) 
  6.ブランカ山群4 (ヤンガヌコ峠、デマンダ谷 : 08月10日(月) 
  7.ワイワッシュ山群1 (ワラスからワヌコパンパへ) : 08月11日(火) 
  8.ワイワッシュ山群2 (ケロパルカからカルアコーチャ湖) : 08月12日(水) 
  
9.ワイワッシュ山群3 (カルアコーチャ湖滞在) : 08月13日(木)
  10.ワイワッシュ山群4 (カルアコーチャ湖からミトコーチャ湖) : 08月14日(金) 
  11.ワイワッシュ山群5 (ミトコーチャ湖からマタカンチャ) : 08月15日(日) 
  12.トレッキングを終えてワラスへ : 08月16日(日)
  13.帰路(成田へ向けて) : 08月17日(月)、18日(火)、19日(水)


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9.ワイワッシュ山群3 (カルアコーチャ湖滞在) : 8月13日(木)

 朝6時にモーニングコールで起こされました。今日は、カルアコーチャ湖滞在日で、近くをハイキングするだけです。夜には雨が止んで、星や月が見えたのですが、テントの外へ出てみると霧に覆われて、周りの山は何も見えませんでした。テントが霜で凍っていたので、かなりの冷え込みでしたが、空は比較的明るかったので、霧が晴れれば天気はよくなるのかなと思いました。

 消化器系障害が芳しくないのですが、気分はそう悪くはありませんでした。現地スタッフが持ってきてくれたお湯(洗面器に入っている)で顔を洗い、その後にモーニングティーが出されましたので、おいしく飲みました。7時から朝食でしたが、やはり食欲はないので、軽い食事にしました。高所障害健康チェックはまったく問題ありませんでした。

 8時に集合しました。ところが、ご夫婦がハイキングに参加されないということでした。奥さんのほうが体調が悪く、テントで停滞するということでした。皆は、折角ここまで来たのに残念だなといった思いでした。リーダーとメンバー6人で軽いストレッチング体操をやって、それから現地ガイド2名と馬方と馬といっしょに出発しました。湖の左岸を歩いて、正面の山のほうに向かっていきます。

 出発する頃もまだあたりは霧に覆われていましたが、朝方よりは大分薄くなってきました。そして、30分もしないうちに、急に霧が晴れ始め、正面に氷雪に覆われた山が姿を現し始めました。皆大歓声で、写真を撮り始めました。

 まだ姿を現したのは、イエルパハ・チコとヒリシャンカだけですが、背後には紺碧の空が見えました。ところが、それから10分たつかたたないうちに、下の写真のように、紺碧の空を背景にした3山が現れました。左から、イエルパハ(Yerupaja、6,617m、この山塊の最高峰)、イエルパハ・チコ(Yerupaja Chico、6,089m、チコとは子どもといった意味だそうです)、それにヒリシャンカ(Jirishanca、6,094m、ハチドリのくちばしといった意味だそうです)です。さらに右に、ヒリシャンカ・チコが並ぶのですが、この時点では姿を見せていませんでした。

 風もまったくないので、湖面は静かで、氷雪の山が逆さ富士のように映っていました。いやー!それにしてもすばらしい風景ではありませんか。それも、突然霧が晴れて、姿を現したのです。感動的でした。また、幸運に恵まれたという気持ちでした。
カルアコーチャ湖の朝(7:55) イエルパハ・チコとヒリシャンカ(8:22)

 
皆写真撮りに夢中になって歩みが進まず、大幅な時間超過となってしまいました。再び山を眺めながら、歩き始めましたが、ちょっとよいビューポイントがあると、すぐに立ち止まって、パチパチを始めます(最近は音はしませんね)。ヒリシャンカ・チコもようやく姿を現し始めたのですが、こちらは少し恥ずかしがり屋らしく、山頂が雲に覆われ、全貌を見ることができませんでした。

 このトレイルを歩いていると、結構白人の人たちが我々を追い越していきました。ヨーロッパやアメリカからもこの山麓をトレッキングする人たちが多いようで、それも日本と違って若い人たちが目に付きました。

氷雪の山とカルアコーチャ湖(8:35) イエルパハ&イエルパハチコ(8:35) イエルパハ・チコ&ヒリシャンカ カルアコーチャ湖に映るヒリシャンカ
カルアコーチャ湖(対岸)(8:40) イエルパハ(Yerupaja、6,617m)(8:45) ヒリシャンカ(Jirishanca、6,094m) カルアコーチャ湖(テントサイト方面)(9:00)

 1時間半くらいで湖の奥に来ました。辺りは広い草原(湿原)のようでした。ここから左に折れ、更に奥にある湖に向かうとのことでした。少し歩き始めると、昨日も垣間見ることができたシウラ(SiuraGrande、6,344m)が見えてきました。とてもどっしりとした山です。また、今までよく見えなかったヒリシャンカ・チコ(Jirishanca Chico、5,446m)が鋭いピラミッドの姿を現しました。やや低いですが、形がきれいですね。

 やや高度を上げていくと、人家?がありました。恐らく牧畜をしている人が住んでいるのでしょう。近くに、ウサギかリスのようなディスカーチャという小動物が岩の上に座っているのを見つけました。毛の色が岩の保護色のようで、現地リーダーに言われてもなかなか判別できないほどでした。歩いた標高差はたいしたことがありませんでしたが、ここで小休憩をとりました。

シウラ(Siura Grande、6,334m)(9:35) ヒリシャンカ&ヒリシャンカ・チコ(9:45) ヒリシャンカ・チコ
(jirishanca Chico、5,446m)
人家?(10:30)
 休憩後ゆるやかな道を登って、ようやく11時20分にシウラ湖(Laguna Siura、4,290m)の湖畔に到着しました。登ったのはおよそ150mくらいのようです。奥にはカルニセーロ(Carnicero、5,960m)などの山々が見えました。ここが終点とのことで、大休憩をとりました。雲がやや出てきましたが、日差しもあり暖かかったです(下の中央の写真は馬方と馬がのんびりとしているところです)。

 のんびりした後、11時40分にテントサイトに向けて出発しました。天気はなんとかもっており、快適な帰り道でしたが、下痢が収まらず、気分は爽快というわけには行きませんでした。

 13時30分にテントに到着しました。13時50分にランチとなりましたが、私は軽くとっただけでした。

シウラ湖とカルニセーロ
(Carnicero、5,960m) 
(11:20)
シウラ湖畔(11:35) スケッチ

 本当は、午後も湖の右岸(午前とは反対側)をハイキングする予定でしたが、写真タイムに大分時間をとられたためか、時間がないということで中止となりました。大して歩いてはいないのですが、体調が悪いためか疲れており、歓迎でした。テントの周りをぶらぶらしたり、スケッチをしたり、テント内で横になったりして過ごしました。

 16時にティータイムとなりましたが、この頃から雲も出て、急に冷え込んできました。4,138mの山はとても寒いですね。夕食は18時30分でした。食欲もなく、食後はすぐにテントに戻り、前夜と同様にホカロンを貼り、防寒着を着込んでシュラフの中に潜り込みました。20時には早々と寝てしまいました。もちろん?、夜中には何度も目を覚まし、トイレに行きましたが、夜からは雲もなくなり、氷雪の山がくっきりと見えました。とても幻想的で、美しかったです。


10.ワイワッシュ山群2 (カルアコーチャ湖からミトコーチャ湖) : 8月14日(金)

 昨夜も度々トイレのために起きたのですが、雲ひとつない星空で、白い山々がくっきりと見えていました。起床の6時前から人の声が聞こえるので、起きて外へ出てみると、まだ日の出前にもかかわらず、イエルパハ(Yerupaja、6,617m)、イエルパハ・チコ(Yerupaja Chico、6,089m、ヒリシャンカ(Jirishanca、6,094m)の連山がくっきりと見えていました。早速、写真を撮りました(暗いのでややピンボケになっています)。

 いったんテントに戻り、現地スタッフからサービスされたお湯で顔を洗い、歯を磨いて、それからモーニング・ティーを飲んでいると、またテントの外から「山が真っ赤になっている!」といった声が聞こえました。またまた、あわててカメラを持ってテントの外へ出ると、な・な・なんと!イエルパハ、イエルパハ・チコ、ヒリシャンカの連山が朝日に照らされて、黄金色に輝き始めているのがみえました。何とすばらしい!、感動的な!光景でしょうか。黄金色に輝く山々はネパールでも何度か見ましたが、これほどすばらしい光景は初めてです。これで元気百倍、今までの疲れも吹っ飛んでしまったようです。


イエルパハ&チコ(5:45) イエルパハ&チコ、ヒリシャンカ(6:15) 黄金色のイエルパハ(6:15)

 写真を何枚も撮った後、出発のために荷造りをしなければならないので、再びテントに戻り、パッキング等をやりました。朝食前にまた外から騒がしい声が聞こえました。三度外へ出てみると、3連山が、逆さ富士のようにカルアコーチャ湖に映っているのが見えるとのことでした。湖岸の側へ急ぐと、これはこれはまた、絵にも描けない美しさ?というのでしょうか、紺碧の空を背景にしたイエルパハ、イエルパハ・チコ、ヒリシャンカの連山が、鏡のような湖に姿を映し出している光景が目に入りました。ここまで期待していなかったので、信じられないような気持ちです。私のカメラでは1枚の写真に収められなかったのですが、みなさんいかがですか?。この私の感動も、納得していただけるのではないでしょうか。

 7時に朝食のためにダイニング・テントに入ったのですが、もちろん皆興奮気味で、このようなすばらしい景色に出会えた幸運を感激した口調で話し合っていました。当たり前ですよね。この景色を見て感動しない人などありません。私自身はまだ食欲は完全に回復していなかったのですが、この興奮のせいか、少し食欲も出てきたようです。もちろん高所順応チェックはNo Problemです。

 食後はいったんテントに戻りましたが、出発の準備を早々と済まして、集合の8時前から外に出て、すばらしい景色を観たり、写真を撮ったりして、時間を費やしました。今度は、先ほどとカメラ位置を変えてみたら、イエルパハ、イエルパハ・チコそれにヒリシャンカの3連山とその”逆さ連山”とをそれぞれ同時に1枚の写真に撮ることに成功しました(上下を合わせることはできませんでした)。最高の写真ではありませんか(自画自賛)?

イエルパハ&チコ(6:55) イエルパハ・チコ&ヒリシャンカ(6:55) イエルパハ&チコ、ヒリシャンカ(7:50)

 昨日13日(木)はカルアコーチャ湖滞在でしたが、今日14日(金)はすばらしいカルアコーチャ湖を後にして、カルアック峠(Carhuac、4,650m)を越えてミトコーチャ湖(Mitococha、4,250m)までトレッキングします。峠までの標高差はおよそ500mくらいです。8時に集合し、ストレッチ体操を行い、8時10分に出発しました。昨日のシウラ湖へのハイキングをキャンセルされたご夫妻の奥さんは、まだ体調がよくないということで、馬に乗って行くことになりました。最初はなぜ馬が?と思っていたのですが、こういう時に役立つのですね。私もこれなら安心でした。写真を撮ったりしてゆっくりと歩いていると、後ろから我々の荷持などを背負った馬の隊列がやってきて、さっさと追い越していきました。本当に、「お馬さまさま」でした。

 トレッキングの道は、トレッキングの初日に歩いたケロパルカからカルアコーチャ湖までの道と同じく、広い草原の中の踏み後のような道をゆったりと登っていきます。周りは放牧地となっているようで、たくさんの羊たちが草を食んでいました。

一人馬に乗って・・ 我々の荷馬隊が追い越していく(8:20) シウラ(Siura Grande、6,334m)(8:40) 草原の羊の群れ(9:15)

 歩き始めて1時間ほどすると、現地のスタッフが「上にコンドルが飛んでいる」と指を指しました。ほぼ真上を見ると、コンドルが数羽、上空をトンビのようにゆっくりと大きな輪を描きながら飛んでいるのが見えました。またまたみんな大歓声、大感激です。カメラを上空に向けてコンドルの姿を撮ろうとしましたが、ゆっくり飛んでいるように見えても、実際は相当に高いところをかなりのスピードを出して飛んでいるらしく、なかなかカメラのアングルに収まりませんでした。何度もシャッターを押して、ようやく下の写真を撮ることができました。ちょっと小さいですが、感動ものの写真でした。

 休憩はほぼ1時間ごとにありました。さらに歩いていると、今日もかなりの白人の人たちが前からやってきました。その人たちの大きな荷馬隊が我々の前を駆け抜けていきました。どうも、我々と反対方向のトレッキング・コース(カルアコーチャ湖からはシウラ湖を通っていく)が使われているようでした。後ろを振り返ると、シウラとイエルパハ、ヒリシャンカなどがまだ見えました。

コンドル(9:30) 前から荷馬隊が走ってくる(10:25) シウライエルパハヒリシャンカ(10:50) カルアック峠に向かって(11:40)

 11時10分、ようやくカルアック峠(Carhuac Pass、4,560m)に到着しました。この頃から、私の消化器系高所障害も収まってきたようで、気分がたいへん楽になってきました。ここで50分ほど休憩をとり、今度は峠の反対側を下り始めました。もちろん緩やかな草原の道をのんびりと歩きました。1時間ほど歩くと、草原の真ん中に人が見えました。どうやら、コックさんが料理を作って待っているようでした。12時50分、コックさんの待っている場所に到着しました。ランチはラーメンとパン、サラダでした。体調もよくなってきたところに、ラーメンとは助かりました。久し振りにおいしく食べることができました。こんな山深い?ところでも、放牧が行われており、牛や馬がのんびりと草を食んでいました。

 食後はやや雲が広がってきましたが、まだよい天気です。13時30分、食後のトレッキング開始です。もう下りだけなので、鼻歌交じりのハイキングといったところです。馬に乗っていた奥さんも、元気になったようで、ここからは歩くことにしました。

カルアック峠の反対側(12:15) ランチ風景(13:10) 明日越える予定の峠方面(13:45) 眼下に広がる草原(14:22)

 しばらく下っていくと、正面左に白い山が見えてきましたが、山頂部が雲に覆われてよくわかりませんでした。14時40分、ようやくミトコーチャ湖(Mitococha、4,250m)のテントサイトに到着しました。湖そのものは、ここから更に30分ほど奥へ行かなければならないそうで、テントサイトは広い草原の真ん中にありました。ゆったりしたトレッキングでしたが、さすがに7時間ほど歩いたのでかなり疲れきっていました。

 比較的早めに着いたのですが、雲がまた出てきて、日が陰り、かなり寒くなってきました。ミトコーチャ湖の見学はなしということになり、テント内でしばらく休憩しました。16時に、やや遅いティー・タイムがあり、暖かいコーヒーとスナックを食べながら、今日のすばらしかった体験をみんなで語りあいました。テントを出ると、少し空が明るくなってきており、先ほどまで見えなかった山々がよく見えるようになりました。左から、ロンドイ・グランデ(Rodoy、5,870m)、ロンドイ北峰(Rondoy North、5,820m)とニナシャンカ(Ninashanca、5,607m)です。

 夕食は18時30分からで、高所順応チェックはもちろんOKでした。私は少し食事も進むようになり、やや安心感を取り戻しました。

 食後テントに戻って、いつものようにホッカロンを足の先とかかと、それに腰に貼りました。ホッカロンが少なくなってきて、家内と調整することになりましたが、あと1日なので何とかなるでしょう。ダウンジャケット等を着込んでシュラフにもぐりました。私は、消化器系障害もまったく問題がなくなり、安心して寝ることができましたが、今度は、家内の方がどうも歯が少し痛むと言いはじめました。このときはたいしたこともないだろうと思い、すぐに直るだろうと思っていました(ところが、どっこい!この後が大変なことになるのですが、それは後ほど・・・)。20時には就寝しました。

ニナシャンカ(Ninashanca、5,607m)
         (14:30
ロンドイ&ニナシャンカ(16:55) ロンドイ・グランデ(Rondoy、5,870m)
         (16:55)
ニナシャンカ(Ninashanca、5,607m)


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