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Talking about WINE by T.Yone, the fake-chef

偽シェフヨネのワイン漫談


第31回「ラベル」 | 第32回「ポルト」 | 第33回「シェリー」 | 第34回「レシピ探検隊−1」 | 第35回「コルク」


偽シェフヨネのワイン漫談 第31回「ラベル」

ラベルの読み方はボルドーしかやってないのでホントはどっかでまとめてやらないといけないのですが、なかなかパワーが必要で。で、今回はラベルのデザインを少し。

シャトー物で有名ラベルはMouton-Rothschild(ムートン=ロトシルド)でしょう。毎年別のアーチストに依頼して描いてもらっています。贅沢ですね。それでネダンが高いわけではありませんが。アメリカ物では以前マリリン・モンローとか「風と共に去りぬ」のあのキマッタ場面デザインのものとかありました。ドイツ物だと聖母や鷹やネコやけっこうバラエティに富んでいます。

モチーフとして共通しているのは、葡萄畑(または葡萄だけ)やシャトーの風景です。不思議に線画ばかりで写真が使ってあるのは見かけません。何かいわくありげなメダルをデザインしているものもあります。

しかし全体的に「キレイだからとっておこう」というものは少ないですね。シャトーのほとんどは何年も同じラベルで、収穫年だけさしかえています。ブルゴーニュの酒商は扱っている銘柄が違ってもどれも共通したデザインです。

しかし私はどんなダサいラベルでも残しています。中をゆすいでフロの湯の中に一晩放置します。たいていははがれるのでそのままスクラップです。頑強に抵抗するものは写真に撮ります。ランニングコストのかかる市販の「ラベルはがし」は使っていません。

(C)T.YONE 1998


偽シェフヨネのワイン漫談 第32回「ポルト」

ポートワインです。もともとはポルトガルの大西洋に面したPortoから出荷されていたのでこの名前があります。現在では、Douro(ドーロ)川上流の地域で収穫された葡萄を使ったものしかポルトと名乗ることはできません。発酵中のワインにブランデーを添加して発酵を止め、糖分を残したまま貯蔵します。したがってかなり甘いものになります。

デザートワインとして飲みますが、これは大変おいしい。ドイツワインの甘ったるさとは別次元のものです。おすすめです。赤/白どちらの葡萄からも作られますが、今まで見てきたように(言ってなかったっけ?)赤のほうが力強く生命力もあるので「ビンテージポルト」(特定の年に収穫された葡萄だけで作られたポルト)はすべて赤です。ポルトは非常に長く保存できる(もちろん未開栓で)ので1955年物(!おいおい生まれてないぞ)が飲み頃だったりするのです。

日本ではどこかの会社が砂糖入り赤ワインを「ポートワイン」として販売していてポルトガル政府からお叱りをうけたことがありました。ドイツの白といい当時の日本人は甘いものに飢えていたのかもしれません。国辱もの(というコトバまだある?)のような気もしますが。

なお、上質のポルトはびっくりするほど高く、普通の酒屋さんには置いてありません。普及品は3,000円も出せば買えます。お試しを。

(C)T.YONE 1998


偽シェフヨネのワイン漫談 第33回「シェリー」

ポルトが出れば次はシェリー。

シェリーには辛口から甘口まで様々なタイプが出ています。辛口のものはアペリティフとして飲みます。甘口はデザートワインとして。シェリーグラスという名称のこぶりなグラスがあるくらいで、それに一杯という程度が上品です。ガブ飲みするタイプのお酒ではありません、蛇足ですが。

ポルトには「赤」のイメージがあり、一方シェリーは「白」です。キレイな麦わら色をしており、濃厚さのない比較的さっぱりした味わいです。白ワインのように冷やす必要はありません。

シェリーはスペインの南西部のJerez de la Frontera(ヘレス・デ・ラ・フロンテラ)地方の葡萄を使って作ります。これもブランデーを添加して熟成しています。詳しい作り方は専門書をお読みください。シェリーにはヴィンテージという概念はありませんが、ポルトと同様に相当の長寿のものがあります。残念ながらぼくは安物しか飲んだことがありません。これも奥の深いお酒ですが、日本ではまだまだ一般的ではありません。

(C)T.YONE 1998


偽シェフヨネのワイン漫談 第34回「レシピ探検隊−1」

以前(23回)に料理と合わせる時の失敗談を書きました。素材と調理方法をちゃんと理解しないとなかなか合わせられないものです。これが楽しいから止められないともいえますが。ちなみにイジワルな問いを。

1:アボカドにレモンをふっただけのもの
2:海苔を巻いたおかき

1は非常に辛口の白でしょう。2は多分軽くさっぱりした赤が合うかもしれません。う〜ん。さて、家庭で作る料理というものは案外種類が限られます。食材や調理時間や手間という制約があるからです(心あたりあるでしょ?)。だからこの連載も「リアリティ」のある実用料理を探します。家で作れないものはトロワグロかキノクニヤで買い出しましょう。

料理を乱暴に分類すると   

素材 × 調理方法 × 味付け(ソース)

の組み合わせとなります。たとえば「刺身」は「鯛・生・しょうゆ」だし「グラタン」は「合挽きミンチ・焼く・チーズ味」です。素材・調理方法・味付けそれぞれ、大まかに「赤」と「白」のどちらに合うか(または両方に合うか。たとえばトリ肉は両方)の分類ができます。任意のものをあてはめて「これはどっち?」とやれば必然的に決まってきます。「カジキマグロ・ソテー・キノコのホワイトソース」ならば「白」ですし、「トマトソース」に変えれば「赤」なんです。

(C)T.YONE 1998


偽シェフ・ヨネのワイン漫談 第35回「コルク」

ワインの保存にはコルクはかかせない。ワインが適度に外気と接して熟成するためのフィルターとして優れているのです。

すでに何本も飲んでみた皆さんもお気づきのように、コルクにはいろいろな長さがあります。これは地域には関係なく、長期保存を想定しているものほど長いと言えます。ボルドーのシャトーもの、ブルゴーニュの有名どころなどがそうです。これは赤/白どちらもです。長いものは50mmくらいあります。普及品は40mmくらいでしょうか。もっと短いものも、それらの中間のものもあります。だからコルクを抜いてみて長ければ「あ、これはいいかも」と美味しそうな予感が広がるのです。

しかし保存にいいと言ってもべらぼうな長さのものはありません。ソムリエナイフで抜けなくなるからです。また保存のいいワインはコルクも比較的柔らかいままなので抜く時には十分ご注意を。

コルクにはいろいろな情報が書かれています。ものものしく収穫年度とシャトー名の入ったもの、時にはシャトーの絵も。酒商の名前が誇らしく表示されているもの。葡萄と記号だけのそっけないもの。一番多いのは「うちで瓶詰めしたよ」という証明表示でしょうか。

近年、良質のコルクにする原料が不足ぎみであると聞きます。環境問題やらを考えると、こうしたリサイクルできない天然資源の使い方を論じるべきなのでしょうが。

(C)T.YONE 1998


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