Bon Voyage! HOMEMOVIE REPORT > 1999年1月

「スモール・ソルジャーズ」
ジョー・ダンテ監督、グレゴリー・スミス、キルスティン・ダンスト( 声の出演:トミー・リー・ジョーンズ、フランク・ランジェラ、アーネスト・ボーグナイン)
★★★

ドリームワークスがめざしているのは、有名な俳優や巨額な製作費に頼らず、気の利いたアイデアと、才能の芽を出しつつあるスタッフによるエンタテインメントなんだなあ。と、思った。つまり、無理をしていないので、気楽に楽しめる。

要するに「おもちゃの兵隊」が反乱する話であるわけだが、これがあまたの戦争映画のパロディというか皮肉となっているところがなかなか笑える。人形ゆえに、弱いのか強いのかよくわからんが、だんだんエスカレートしていくところはけっこう怖い。しかし、母は火炎弾をテニスラケットで打ち返し、父は9寸釘を足に撃たれ、ガレージは爆破され、隣の少女は芝刈り機で反撃し、とクライマックスは華々しくも笑うしかない、なんか変な気分。

ところで、「シネマガイド」は「最新のCGIを使って」と書いてるが、これは「CG」の誤記でしょう。CGIは"Common Gateway Interface"(サーバでクライアントのアクションによって動作させるプログラム)、CGは"Computer Graphics"だから(後日の注:Computer Graphic ImageというCGIもあるのだそうだ。だったら、きちんと注釈つけてほしいぞ、プレスシートの丸写しはやめろーっ。1999/03/05)。しかも、この映画はCGというよりはパペットと、CG以外の特殊効果(ミニチュアとか、画面合成とか)がほとんどだと思うけどなあ。お金をかけなくても、これぐらいはきれいにできるぜ、って見本みたいな。

欲を出せば、隣の家のオーディオビジュアルおたくのおやじや、金儲け至上主義の社長をもっとくどくキャラクタライズしちゃって、より近代批判にもっていくこともできそうだが。自然とハイテク、戦争と平和、といった対照的な要素をもっと戯画化してもいいのに、なんか中途半端なところが不満。

ただ、平和なモンスターたち「ゴーゴナイト」のリーダー格のアーチャーのキャラクターは好きだなあ。ネイティブ・アメリカンの知恵を体現してるんだろうが、「それが見えなくても、ないとは限らない」と言い残して故郷(おもちゃ工場ではなくって、そうプログラムされているいかにも、という風景)を探して船出するラストシーン、実はジーンとしてしまった。あああ、恥ずかしい。


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Text by (C) Takashi Kaneyama 1999