Bon Voyage! HOMEMOVIE REPORT > 2000年1月

「逢いたくてヴェニス」

ビビアン・ネーフェ監督、アグライア・シスコヴィッチ、ハイノ・フェルヒ

★★★☆

ヴェネツィア(あのさあ、英語圏の映画じゃないんだから題名ではイタリア語表記にしてよ、ヴェニスじゃなく)を舞台にした恋のロード・ムービー、ではあるのだが、雰囲気は想像されるロマンティックなものとは全然違う。貧乏夫が働く妻を裏切って浮気。その相手はエグゼクティヴのワーキングウーマン。そのダブル不倫カップルがヴェネツィアへ。それを知った貧乏な方の妻は幼児を抱えたまま相手の夫の弁護士を誘拐してヴェネツィアへと追跡開始。

登場人物はコミカルなまでにステロタイプで、ドイツから陸路ヘロヘロな無銭旅行で行くあたりが見せ場。そして、類型的に見えたふたりがやがて違う姿を見せ始めて・・・。

とにかくパワフルな子連れ女が痛快。しかもドイツ女だし。でも、その一途さが可愛いのであった。ラストは言わずもがなの結末で、甘いといえば甘いが、これは一般民衆(とくに女性)の憂さ晴らし映画なのだろうから文句は言わない。

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「ナビィの恋」

中江裕司監督、 西田尚美、村上淳、平良とみ、登川誠仁、平良進、兼島麗子、アユレイ・マックアイザック、嘉手苅林昌、大城美佐子、山里勇吉

★★★

アイルランドは実は「愛してるランド」なのであった。沖縄の風土とアイルランドにどんな共通点があるのだ? と訝る向きもあろうが、偉大な音楽の地という意味では東西の双璧なのだ(まったくの私見)。

先頃亡くなった嘉手苅林昌の歌う姿が凛として感動。登川誠仁の訥々たる稚拙な台詞回しが味わい深い。畑に出るときに三線(サンシン)で「星条旗よ永遠なれ」を奏でて行くのがしみじみよい。

一応、老婆と孫の、それぞれの恋のストーリーなのではあるが、実はこれは沖縄ミュージカルであり、沖縄の風と匂いと人々を伝えるための映画なのである(たぶん)。

映画として真面目に評価すると、ちいと辛いのだが、アイルランド・フリーク兼沖縄好きとしては目が曇るのであった。

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Text by (C) Takashi Kaneyama 2000-2001