Bon Voyage! HOME > PRIVATE DIARY > 1999年7月下旬

迷狂私酔の日々


7月21日(水)

一応、まだ休暇中なのだが午後から出社せねばならぬ。起きてコーヒーをいれる。このためにあつらえたハイテーブルである。洗濯なんかもしたりする。新聞を取りに行く。なかなか優雅な朝なのだが電話がつながらず、ゆえにメールも読めない。テレビはつないでないし。

区役所に寄って転居届を出し、住民票のうつしをもらい、久しぶりに出社したが社会復帰できないのであった。何しろ筋肉痛で右手が震える始末。

NTTに電話して23日に点検工事をしてもらう手はずを整える。MDF室とやらも見ないといけないらしく、管理人にいてもらうように手配しないといけない。けっこうオオゴトである。これで、私のドジだったら目も当てられない。しかし、配線は間違ってないんだけどなあ。

慰労会に出席し、言いたいことを言って、ワインを好きなものを選ばせてもらって飲んで食って帰る。どうも最近はこらえ性がないような気がする。それはともかく、鈍いのかイヤミなのか配慮のない仕事の割り振りも気になる。

7月22日(木)

フツーに会社に行って、フツーに帰る。しかしだな、新居からまともに出勤するのは初めてなのであった。2回(ときには3回)も乗り換えるのだが、見事にラッシュと逆方向のうえ、唯一の混雑区間も始発なのである。ああ楽だ。

昨晩に発表されたP1なのだが、やっぱり名前は「iBook」だった。貝の形、ハンドル付き、カードスロットなし、ACアダプタは真ん丸、無線ハブの「AirPort」がオプション、などなど。これはモバイルマシンではない。移動することも可能な省スペースのiMacだ。おそらく教育市場、とくに学校あたりを狙っているのであろう。値段も日本で20万円を切ることは確実だし、あるいはもっと劇的な価格で勝負してくるかもしれない。

だが、私はガックリである。なんと3kgもある。PowerBook G3 Bronzeよりも重い。それでいて解像度は800*600しかない。これは二回りは小さい2400と同じだ。そして2400は2kgなのだ(CDドライブがないにせよ)。ということで、ついに私は旅行用に2400を入手してメモリ増設・G3化・HDD換装への道が決まってしまった。軽く30万円は越える上にEther CardやらモデムカードやらCD-ROMドライブやらを考えるとマック貧乏への坂を転げ落ちて行く定めなのであった。しかも、2年前の中古なのに。でも名機だから欲しかったんだけど。

2時間残業して帰って駅のスーパーで買い物してシャワー浴びて夕食を優雅に食べて(海老チリソースの絹ごし豆腐のせ、とかさ)、某所に酒飲みに行って酔っぱらって帰ってもまだ12時前なのである。徒歩5分以内に駅も銀行も郵便局もコンビニも医者も焼き鳥もラーメンもゼーンブあるのである。なのにここは第一種住居専用区域なので回りはすべて住宅ですこぶる静かなんである。

と喜びつつ、まだ残っている段ボールやテレビの接続については考えないようにして寝る。

7月23日(金)

わざわざ半休をとってNTTの点検に備える。MDF室の確認のためにわざわざ特別に管理人に待機してもらう手配までしたのだ。で、結論はというと・・・(泣く)。

いや、つながったんです。NTTもマンションも悪くなかったんです。アタシが悪かったんです。ええい、そうですとも。ちなみに配線が間違っていたとか電源が入っていなかったとか設定が初期化されていたとか雷による過電流でいかれたとかでは「ない」。ああ、書きたくないくらい恥ずかしいのであった。あまりのことにルータのイーサネット差し込み口のステンレスカバーを引きちぎってしまった(暴れたのではなく、単に力を入れて引っ張っただけなんだが)。く〜ん。

やっとメールが読めると思ったらしかし、メーラーのArenaが、「試用期間は終わりました」と登録を要求する。今月のあたまにちゃんと料金を払って登録ユーザーになったじゃん。あ〜ん、どうして? 登録キーはメールボックスに入れたままだからArenaを開かないとわからない。ああ、プリントアウトしとくんだった。少なくともテキストファイルにして保存しておくんだった。だが、このメールはまだサーバに保存してあるはずなので別のメーラーでなんとかならないかな、と思ったがOutlookExpressはあいかわらず不調。他には? クラリスメールは7300/180に入っているが、まだあのマシンは稼動していない。電源も配線もまだ、というより段ボールの山を片付けないと作業ができない。どっかにクラリスメールのCD-ROMがあるはずだから探してインストールするしかないか。しかし、あれはたしかFDでパッチを当てないといけなかったんだよなあ。ネットでなんかダウンロードするか。Eudora-Jとか。ああ、大変だ。

ってわけでEudora-Jをダウンロードしてインストールして設定してメール受信したら300通以上もあって20分近くもかかってしまった。というわけなので、メールへのご返事が遅れております。ごめんなさい。

会社へ行って仕事して粗大ゴミも申し込んで校正の関係で初台に行かねばならなくなりそれが終わって東急ハンズでCDラックの同じやつをもうひとつ注文して帰ってきて某所で飲んでiBookの話をして眠くなったので帰って寝たが明日は土曜日なのに出社することになってしまったのだった。

7月24日(土)

朝からステーキなんぞを焼いて食う。ベーグルにはスモークサーモンとクラブペースト(蟹ね)を塗って、と。付け合わせにはアスパラガスの塩焼き。それからたまった日記を書き書き。そして出社してお仕事。帰りには吉祥寺でお買い物。帰宅して銀行やカード関係の転居届。

日付けが変わるころ、思い立って某所へ行き、ぼっこりちゃんに忘れ物を返す。その忘れ物はインテリアのムックだったので、せっかくなので熟読してから返したのであった。こういうのを見ると、なんでこんなに家具とかカーテンが高いんだろうなー、と疑問に思う。やっぱり広告主の関係なのであろうか。とかなんとか、いまだにテレビはつなげていないのであった。

7月25日(日)

休日の朝は紅茶をいれて、と。実は引っ越しで大量の紅茶の葉やらティーバッグを発見してしまったのである。どうも会社のお中元のおすそわけのようでもあるが、よくわからん。半年分はあるので、これから毎日、紅茶にしようっと。

で、「菊次郎の夏」をまだ渋谷でやっているのを見つけたので、でかける。ついでに久松史奈「Cherry Bomb」の初版限定盤(フォトブック付き)を発見したので購入。

東急ハンズには映画前と映画後で合計3時間も入り浸って遊ぶ。そのわりに買ったのはポプリの皿(ポプリも付いて500円)とか、素材CD-ROM(放出品で200円)とか、マルチカバーのインド綿手織り(これは5900円もしたが、籐椅子にかけるとかベッドカバーとかにも使えるし、まあ気に入ったから仕方ない)とかであった。他の大物はまず調べ、メジャーし、置き場所を確認し、選択肢を考えてからだ。しかしまあ、ここはやっぱり楽しいよな。高いけど。

帰りに吉祥寺で買い物し、帰ってからは食料品の買い出しに出かけ、さあ仕事にかかろうと思った時点で「足が疲れたからベッドで休むか」と横になったのが敗因だった。

結局、昏々と眠りつづけて起きたのは月曜日の朝なのであった。

7月26日(月)

というわけで、やるはずだったTVの接続もインテリア家具の比較検討もメールの返事もこのWEB更新も自宅に持ち帰った仕事も本の整理もまだなのである。ああ。

今日も暑い。梅雨が明けたのはいいとして、本当に暑い。幸か不幸か会社も自宅もエアコンがよく効くので、中にいれば快適だが、一歩外に出るとオーブンで焼かれるような熱風を感じてしまう。こんなことでこの夏を生き延びられるのだろうか?

本日は会社の同期入社のメンバーによる同期会。できるだけ送別会のたぐいを避けつづけてきたのだが「キミはゲストではない」という一言を信じて行ったら、なんとプレゼントで立派な七輪をもらってしまった。これでサンマでも焼け! ということらしい。みんな優しいいい人たちなのであった。

7月27日(火)

今日も含めてあと4日しか勤務しないのに、なぜか新規の取材対応をする私である。会ってすぐに「今週でやめますから、あとはこちらに」って引き継ぎするわけにはいかないので、何事もないかのように応対する。あとはよろしく。

いろんなことが終わったり終わらなかったりする。なかなか辛いものがあるが、仕方がない。本当は少なくとも5月末でやめたかったのであるが。そうすればアメリカンフットボールのワールドカップも余裕で行けたのに。しくしく。

7月28日(水)

毎朝、遅くとも6時半には起きるのに、なぜか会社に着くのは9時半である。不思議だ。洗濯をしているせいか? 朝から料理をしているせいか? メール書きしているせいか?

というわけで、ようやくWEBを更新いたしました。なんと2週間ぶり。

年金手帳をようやく発見したが、ついているはずの雇用保険証がない。仕方がないので再発行の手続きを取る。旧居の大家さんから改修の見積もり。要するに敷金の9割を返さずに済むような金額で収めて、これで波風を立てないのがきっと妥当な道なのであろう。ま、基本的にはいい大家さんなのだし。探していた予備の鍵も見つかったので返事と一緒に返送する。

今日はマンション管理組合設立総会だ。32戸なのに役員が5人。任期は2年。しかも出席した12人から出てほしいと言いそのうち男性4人なのだが2人は不在所有者(つまり賃貸にする)だし、結局部屋割りで5ブロックにしてそこから1人ずつということになったのだが私のブロックのもう1人の方というのは80近い耳の遠いおばあさんでここで勝負あった。だがしかし役員の互選では「1年の半分は日本にいないので」という理由をぶち上げて理事長を逃れる。某所と某所で飲んで帰る。

7月29日(木)

出勤するのはあと2回。しかし、仕事が終わらない。今日は都心のオフィスへ挨拶回り。昔の仕事関係でお世話になったみなさまに。なんだか本当にやめるんだなあ、という気になってしまった。懐かしいあの時代。しかし、思い出は排泄物のようなものだ、どんなに美しくても。

本当に仕事が終わらない。どうしよう?

結局9時まで残業。めったにない最終退出者になってしまった。帰宅してシャワーを浴びて某所で少し飲んで寝る。

7月30日(金)

最後の日。しかしいつもと同じ朝。

もはや仕事が完全に終わることはないので、いかにうまく撤収するかしかない。早く言えば戦線離脱、敵前逃亡である。

昼食も抜いて、2つのビルを挨拶回りしていく。なーんか、これからぶらぶらする、プータローする、失業保険をもらう、旅行する、充電する、漏電する、まあとにかくいかにも「バカヤロー」と殴られそうなテイタラクなんである。しかも、それまで身を粉にして働いてきたかといえばそうでもないので、「おつかれさま」といたわっていただいても恐縮するばかり。

とにかく言えるのは、ここ10年ずっと感じてきた違和感とか、ズレがついに消えて行くということだ。イイコでいるために、イエスと言うために殺してきた自分の底にある何かが、ようやく姿をあらわそうとしている。

夕方、部内で花束とカードの贈呈、挨拶。私にはなんの予告もなかったがまあ決まりものでもありなにしろあらゆる送別会をかたくなに拒絶したのでさすがにあんまりかと思ってちいと長めのあたりさわりにない挨拶をしてかっこよく・・・

ここで拍手に送られて去っていけばかっこいいものを当然仕事が終わるわけもなくしこしこやりつづけているところにわざわざ寄ってくれる方々のありがたさ。もう多くの仲間が去っていったのではあるし別に一生この会社でという思い込みはもともとなかったのではあるがやっぱり十数年の歳月はそうそう簡単に真っ白にできるものではない。

本来は9時までしかいちゃいけないオフィスに11時までの延長申請を出し帰る人を「よい週末を」と送り出し「お元気で」と返されて最後の日なのにひとりで残っているとああこんなことを新人のころからやっていて全然進歩していないなあオレも会社もと少し感慨にひたる。

とにもかくにもようやくケリをつけてとはいってもつまり残る人にいろいろ押し付けて机の上から下から引き出しからゼーンブ片付けてこのために持ってきた旅行用バッグに詰め込んで片手に花束を持ってフロアの電灯を消しコンピュータの端末を確認して暗い中をエレベータを待っていたら「さよーなぁーらぁーさよなぁーらぁー」と都はるみなんかを調子よくこぶしを利かせて歌っていたりしてひとりでよかったこんなことは人が聞いていたらできないぞと思う午後11時20分過ぎ。

さりげなく会社を出てからようやく警備員さんが気を使ってくれたことに気がつくあたりは相変わらずアホだなあだって約束の11時を過ぎてもなお咎めることもなく「おつかれさま」と送り出してくれたわけなのだからそして実は終電の時間を知らずに駅に行ったらなんとか終電を乗り継いでもちろん急行も快速もないので各駅停車で「終電です」のアナウンスに追い立てられつつそうかここのオフィスに越してから終電で帰るなんて初めてだったんだなあぁと1時間半ほどで眠りながら帰る。すでに7月31日になって1時間がたっていた。

7月31日(土)その1

午前1時にたどりついた某所でお祝いにビールをおごってもらい、飲んだり寝たりしゃべったり絡んだりする。自由人の先輩諸氏にかくかくしかじか。そして自分の気持ちがいまはよくわからない。幸せでほほが緩むのを必死でこらえているのも本当だし、後ろ髪を引かれることも会社の風景を懐かしく思うこともないのも本当だ。そしてきっと8月から風景がまったく変わって見えることもないだろうし、毎日会社へ行くだけで給料が振り込まれることもない。税金も健康保険も年金も家賃も誰も面倒を見てくれない。

果たして「覚悟」とか「勇気」とか「誇り」というものは私にあるのだろうか?

帰り際、仙人が右手を差し出してくれた。握手した手をしっかりと握って、握りしめて、離さずにずっと力強く握ってくれた。離そうとしても離してくれない。どんな言葉よりも雄弁なそのメッセージを受け止めて、新しい道は始まる。

でも、単に「酔っぱらっていただけだ」という可能性も否定できない。「なぁーに、だいじょーぶ、ばかいってんじゃないよ! ほら、ぴしーっと、もういっぱい」と言うに違いない仙人である。

7月31日(土)その2

起きてみれば10時で、新聞を取りに行き、洗濯機を2回も回して、PowerBook2400(買うぞ!)を調べていたら、お昼になったので回転寿司を食いに出て、銀行でお金をおろしたら退職金の一部が入金されていてびっくりし、雑誌を買ってミスドで日記をつけている。これからスーパーで買い物して神保町に出かけていく予定になっていて、いやしかしその前に管理人に入居届を出さないと次の木曜までチャンスがないぞ。いやはや忙しい。こんな書き書きしている場合ではないのであった。

神保町でありがたいことにトレッキングシューズ(取材で使ったコールマン)をいただき、ついでに本を探すがついつい入ってしまうのはギターショップで、そういえばOvationの弦って買い置きがあったのかな? と思いつつ、Fenderのキズものが破格値で売られていて心が動く。

某所と某所で新しい名刺を配る。酔っぱらいつつ8月を迎える。


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