会員の出版物 2,
協会とはなじみが深いオヴェ・コースゴールの大著の翻訳です。唐津ホイスコーレ・AWEセミナーにも来日します。
デンマークでは97年に出され、大評判を呼びました。オヴェによれば、この本を出して以後デンマーク、スウェーデン、ノルウェーから講演依頼が殺到したそうです。
デンマークのフォルケホイスコーレ運動についての浩瀚な研究書で、最も詳しく新しい内容が含まれています。とくに現代のホイスコーレをめぐる混迷を報告できているのは内部の者ならではです。拙著とこの本を読めばデンマークのホイスコーレ運動について必要充分な理解が得られるでしょう。
訳は北海道電力会長のデンマーク視察のためにもともと私訳版として出されたものが元になっています。原著にあるたくさんの資料写真が一枚もなく、その点で惜しまれますし、価格がかなり高いので図書館ならともかく一般読者にはなかなか手が出せない点が残念です。原著はこれほど高価ではありません。
新評論 1800円 ISBN4-7948-0490-3
これは会報「ハイムダール」に載った原稿が元になったものです。 会報から生まれた本はこれで3冊目ですね。まだ2冊ほど予定があります。この本は中味もさることながら、装丁がとてもいいです。
「教科書も教室もない学校とは・・・。
徒歩旅行の第一人者である著者が少年たちと歩いた距離は12年間で約6000キロ。
行く先々で話題になったこのグループ、その名も「千里道場」。
ザックを背負い野宿をし、自分の身体と心を頼りに歩いた、ガイドブックには
ない自分たちだけの旅の記録。
そして後半では、徒歩旅行の源流であるヨーロッパ事情を盛り込みながら、その
魅力を語る」。(帯の文から)
北斗出版 1400円 ISBN4-938427-47-8
「放課後の教育論 - 巷の理論と現場の教師たち」の著者手島純さんの記念すべき一冊目の本です。通信制高校の内容を描いたものとして、業界では評判の高いもの。初版は1989年ですが、増刷改訂を重ねて好評です。
現代は受験体制で死んだ学校になった高校をドロップアウトする人も多いですが、彼らにとってもこの本は自分の自由な生き方を決める際の大事な指針になるかもしれませんね。その意味では今日的な本です。
鳥影社 1400円 ISBN-88629-109-0
協会会員の神谷幸次さんの著書です。タイトルは『妙な話』で、言葉をめぐる疑問が導く思索の旅を書いた書き下ろしのエッセイです。普段の生活の中で疑問に思うことから、ユニークな思索が展開されています。ご本人の言葉によれば、
「『妙な話』は謎に満ちたエッセー集である。目次を見ると、その内容は支離滅裂で、そこに何か一貫した主張があるとはとても思えない。エッセー集に一貫した主張が必要かどうか私は知らないが、とにかくこの本を読んで、「これはこういうことを書いた本です」とはっきり言うのは難しいだろう」。
「ここに集まった親たちは、住んでいる場所も、こどもの年齢もさまざまなら、学校に行かないいきさつも、現在のくらしのかたちもまさに十人十色。読者は、ひとつひとつの文章の内容や考え方に、共感する部分も、違和感を感じられる部分もあることでしょう。しかし、全体を通して読んでいただければ、それぞれに試行錯誤するくらしの中で、何よりもこどもたちが健やかに伸びかやに成長しているさまを読み取っていただけると思います」。(あとがきから)
協会会員では伊藤美好さんと大川原啓子さんが加わっています。
伊藤美好
平凡社 1600円 ISBN 4-582-82437-4
東京新聞と雑誌『子どもと教育』に連載されて大きな評判を呼んだ伊藤さん一家の報告記をまとめたものです。平明な記述でデンマークの教育と社会がつづられて、デンマークの教育に関心をもつ人にはうってつけの書物となっています。デンマークの教育について知りたい方には、これからはこの本が一番のお勧めとなりそうです。
手島 純
北斗出版 1900円 ISBN 4-89474-023-0
上の3にある『通信制高校を知っているかい』の続編にあたるものです。単位制高校の隆盛などかつての全日制を規範とした学びのスタイルが流動化する時代背景を受けて、新たに書き下ろしたもの。
「自学自習を基礎にし、年輩者も中退者も、共に学ぶ通信制高校。学校の多様化が進む今日、<いつでも、どこでも、だれでも>学べるその柔軟なシステムが注目されている。Jリーガーほか卒業生や在校生へのインタビュー、全国の生徒・千百余名へのアンケート結果、アメリカの通信制高校訪問記も収録。知られざる通信性教育の歴史も掘り起こす」。(帯の文から)
佐田正信さんは福岡の直方市で不登校などの子どもや青年のオープンスペース「スペース・トトロ」を主宰し、また飯塚の飯塚女子高生体罰死亡事件で、死んだ女子高生陣内知美さんの家族の支援、体罰防止運動に力を注ぎ、2000年の10月に逝去されました。妻の厚子さんが佐田さんの遺稿や活動を集めたものです。
心の広くそして熱かった佐田さんの生き様と思想が凝縮されており、厚子さんの想い出の記と併せて胸を打つ内容になっています。ぜひ多くの人に読んでいただきたい本です。
発行 郷土教育全国協議会
143-0025 東京都大田区南馬込6-20-3 (Tel 03-3774-2072)
民間教育市民運動団体「郷土教育全国協議会」の50年誌です。郷土教育全国協議会は地域住民と教員、子どもたちによる地域での解放を志向した社会実践、学習を行う教育団体です。郷土教育全国協議会の理論と地域のサークル活動、フィールド学習、そして学校現場からの報告の4章立て。日本にはこのような足が地についた教育市民団体は多くなかったので、その意味では価値ある実践の内容だと思います。自費出版なので申し込みは上の事務局まで。(1000円[送料310円] A5版 253頁)