「フェア・トレードと国際協力」公開学習会報告

           98年7月18日福岡市早良市民センター

 
坂本 元嗣(唐津市)

fairtrade seminar真島圀弘さんの報告の様子

 この文を読まれる方は、
(イ)多分、掲題のチラシを読んだか
(ロ)7月18日、出席できなかった方々だろう。筆者は、報告者3名の内の一人である、が、その立場を少し離れて書 いてます。この報告会、すごく楽しかったので。

(A)AWEとの関係  読者ご周知の如く、わが日本グルントヴィ協会には二つの顔がある。日本国内で 自由教育を(又は、教育に自由を)促して行く国内NGOの顔と、この運動を国連の成 人教育運動(21世紀の世界教育を考える国連諮問機関)と関連させて行くAWE(世界教育協会『仮訳』)日本支部の顔である。
 AWE日本支部の事務局を預かる者の一人として、実に興味ある人物が、次々に報告 された。AWEは、教育の地球化(グローバライゼーション)を考えている。従来の「 国際化」が「国」際という枠の中で、即ち、国が大前提となる限界の中で考え実行される。それでは私達の目前の諸問題を解決するに力不足だと認識している。もっ と徹底した自由な交流が異文化間に企図さるべし、という考え、グローバライゼイ ション。百聞は一見に如かず。以下のような具体的な地球人が(地球市民が)報告された。

 (イ)ウィンド・ファームの中村隆市
 ブラジルでカルロス・フランコ氏は、無農薬栽培のコーヒーを生産する。水俣 病などの記録映画の監督だった中村市は、数多くの友人との共同作業でこのコーヒー を販売し、その収益で、チェルノブイリ原発事故の被害者救済を続けている。
 (参照 「ジャカランダコーヒー物語はいかが?
      チェルノブイリ支援運動・九州 )

  (ロ)ヨープ・ビス夫妻
 お化けのバーバ(Barbapapa)等の漫画映画でオランダを中心に世界のテレビ 界で知られるビス氏は、元教師の奥さんとモナコに住む。フィリピン人と日本人で 運営しているタバック奨学制度(ピナツボ火山爆発(1991年)と毎年の洪水の為 、貧困生活を強 いられるバターン州の中高生に、年間一万円づつの奨学金を給付 )に単身参加。この夫妻が4年間援助したダプさんが今春ハイスクール卒業。大学 入試もパスした事を知り、その大学卒業まで2万円づつの支援を約束している。

  (ハ)真島圀弘
 ワスは野口英世バなってやるーと瞳を輝かした(今も輝き続ける)少年は、早 々と父を失い、今や日本では特権階級のみに可能な「医学部」金食い教育をあきら めた。時に、一人の教師と出会い、70年代の10年間ペルー人となった。その間、イ ンカ帝国の末裔達の生活の知恵を、日欧米の世界企業に紹介したり(例えば、フ リーズ・ドライ方式)、数カ国語を話し、又、専門的に研究し、比較文化を神学の レベルまで掘り下げたりした。若き日のフジモリ大統領と知己を得、先日の大使館 占拠事件の両当事者(青木元大使/トッパック・アマル)とも面識ある為、事件の解 決後の今日まで、心痛は終わってない。この間、身に寸鉄を帯びず。射撃の練習も 高得点でパスしたが、この武器も、肩書き等の社会的武器も所有せず。名刺にはた だ"外国語教育・国際協力研究に関心を寄せています。どうぞよろしく。"とだけ書 いてある。アンデスの山水でペルーの砂漠に緑を取り戻す、インカの知恵の日を夢 見つつ、背振村(佐賀県)に生きる。
 (参照 真島圀弘「心の時代 - 南米ペルーにおける国際協力実践」

 希望とは、人が創出するのでなければ、(それも言葉だけでなく実行で)存在 しない。そんな事、当たり前じゃない?とこの地球人たちは報告しているような。

(B)「隙間」職業と教育(1998年7月19日)
 この報告会の翌日、毎日新聞に、劇作家・山崎正和氏の上のエッセイが12頁に 載った。(A)の地球人達養成は、従来の「学際的研究」というカラさえ破った修学 を要する事を、氏らしい博学・易しい語り口で述べてある。読者に是非一読を請う 。然してこの討論をその方と続けたく。(了)

参照 公開学習会「フェア・トレードと国際協力」