丹沢

丹沢山と主脈縦走

2004年4月、wakwak山歩会は丹沢主脈を北から南への縦走に挑戦した。グリーンウッド氏にとっては丹沢主脈は初めての体験である。2日間で標高差1,300mの登り降りと総歩数60,000歩(30km)は結構きつかった。

焼山登山口→焼山→蛭ヶ岳→丹沢山→塔ノ岳→鍋割山→二股→大倉バス停 ルートは赤色

第1日

JR橋本駅から焼山登山口まではタクシーでゆく。6,000円チョッとであった。津久井町内の渋滞で遅れる。環境庁が勇んで予算をつけたためだろうか、尾根道につけられた東海自然歩道は箱根の石畳のようによく整備されている。

ヒガラゴジュウカラホオジロミソサザイなどの野鳥の鳴声を教わりながら歩く。

約3時間700メートル登って焼山山頂につく。標準コースタイムが2時間であるから、1.5倍の時間がかかっていることになる。山頂上には無粋な鉄製の物見台がある。こんなものを作るより江戸時代にならって山頂の木を焼き払ってほしいものだ。どうも日本では木を切るのがタブーとなっていて困ったものだ。江戸時代ここは将軍家の御猟場に指定されており、狩の妨げにならぬように毎年、山に火を入れたため、焼山と呼ばれるようになったという。いまでは杉の植林で鬱蒼と覆われているが、山頂は広く、鷹狩をするには適地と思われる。山頂は土手で3つに仕切られ、それぞれに祠がある。山頂が青根、青野原、鳥屋(とや)の三部落の村堺になっているためという。

焼山から姫次まではダラダラ坂が延々と続く、尾根は幅があり散策路としては快適でなぜここが東海自然歩道に指定されたか理解できる。しかし一般人にはちょっと無理なコースと思う。途中、丹沢山塊の最高峰、蛭ヶ岳が見えるようになるが北側から見る姿には厳しさがない。

姫次からは大室山檜洞丸、蛭ヶ岳がよく見える。東海自然歩道から別れ、少し荒れた登山道を姫次から蛭ヶ岳への途中、原小屋平付近で子鹿1頭を見かける。宮ヶ瀬湖も意外に小さく見える。予定より1時間遅れで蛭ヶ岳山荘着。

蛭ヶ岳山頂の360度パノラマ

携帯で遅れを連絡。登山客が約10名ですべて、熟年の男性。しばらくして28名の全員熟年女性からなるキンツリの団体、ご一行様が到着。食後講義となかなかまじめ。

夕食後外に出て東方をみれば八王子から厚木にかけてであろうか下界は灯の海。西側の新月をみながら暗闇のなか山頂を散策していると足元が切れ込んだ熊木沢に向かって崩落している地点に踏み込んだことに気がつき、早々に小屋に逃げ込む。8時消灯。

蛭ヶ岳山荘到着

第2日

5時起床。6時出発。鬼ヶ岩ノ頭に向かってしばらく歩くとまた鹿の一団と遭遇。熊木沢を背景にカメラその姿を捉える。熊木沢のV字渓谷の底は明るい色のジャリで平坦になって、いくつもの堰が設けられている。関東大震災で崩れた石片で谷が埋まったためできた河原なのだろう。丹沢山塊を造っている石英閃緑岩の石片なので明るく見えるのであろう。登山中にまた関東大震災なみの地震に襲われたら命はないなと話ながら歩く。

熊木沢を背景に鹿の一団

路傍にはコイワザクラ、アズマイチゲ、イチリンソウなどの花がちらほら。大室山の北面をのぞき、丹沢のブナの木は老木のみで若木は育っていない。小氷期が終わって温暖化と乾燥化が生じているためという。

コイワザクラ

アズマイチゲ

イチリンソウ

鬼ヶ岩の下の鎖場が全行程で唯一のスリルの富んだところだった。いくつかのピークをこえて丹沢山にたどりつく。ここの「みやま山荘」は週末をのぞき開いていなかったのだが、最近オーナーが代わり、週日でも営業する方針に変わった。ひいきにねがいますと管理人が挨拶した。いまの熟年は登山好きだが、次世代が登山好きになるとは保証がなく山小屋経営もむずかしい時を迎えるのかもしれない。

案内書には紹介されていないが標高500mの塩水橋から丹沢直登コースが最短距離のようである。自家用車を塩水橋に駐車して利用することもあるらしい。

丹沢山から竜ヶ馬場に向かう途中、鹿の一団と3回目の遭遇をする。春日山の鹿のように怖がらない。ゆうゆうと登山道を横切る。丹沢は鹿が増えすぎたため食害防止に保護柵がいたるところに張り巡らしてある。

日高の近くで昨日耳にした鹿の死骸をみる。病死のようだ。塔ノ岳の尊仏山荘でコーヒーをご馳走になる。昨年2月世話になった管理人氏の懐かしい顔を再びみることができた。

昨年、雪の中を登った大倉尾根を金冷シまで下る。ここで鍋割山に向かって分岐する。グリーンウッド氏にとっては初めてのルートだ。このルートからみる丹沢山から蛭ヶ岳、檜洞丸に到る山並はアルペン風で迫力がある。何度か登り降りして鍋割山に到着。ここは山頂は芝になっていえ富士山の眺めがよい。ここで昼食。

あとは後沢乗越にむかって急斜面を降る。ここでシカの一団と出会い頭に遭遇。雨水で深くえぐれた登山道をポンと飛び越えて急斜面の尾根筋を等高線沿いに身を隠す。4度目か、死体を加えれば5度目だ。後沢乗越から二俣までは緩やかな傾斜の尾根を下る。この尾根のヒノキ林は間伐をしっかりやり、大きなみごとなヒノキ林となっている。どうも国有林のようだ。

二俣までは自家用車が未舗装の林道に入っている。この林道を大倉バス停にむかってひたすら歩いて、今回の縦走は終わった。バス停に近くから表尾根の雄大なスカイラインが望める。30km歩き通した疲れた目でこの姿を見るとよくも冬季、この尾根のアップダウンの多いところを塔ノ岳から下ったものと思う。

過去1ヶ月、殆ど家を出ることもなくパソコンの前に陣取り、仕事をし、出発の1日前にはついに軽いギックリ腰を再発していたにも関わらず、カイロで温めて養生をしてがんばっただけの充実感は残った。

スケジュールとパーフォーマンス

日付

場所 予定時刻 実時刻 歩数 毎時高度差(m/h) 毎時歩数

第1日目

JR橋本駅 改札口

7:20集合

7:20着 - - -

4月 21 日

タクシー1時間

-

- - - -
- 焼山登山口 (海抜300m)

8:20発

8:40発

-

- -
-

第一休憩点(海抜500m)

-

9:15着 0 - -
- 焼山 (海抜1,060m)

10:50着

11:30着、昼食12:00発 3,740

249m/h

1,662stes/h
-

平丸分岐点 (海抜1,060m)

11:20着

12:30着 6,248

-

2,508stes/h

- 八丁坂ノ頭(海抜1,340m)

13:00着

13:50着 10,300

210m/h

3,046stes/h
- 蛭ヶ岳(海抜1,673m蛭ヶ岳山荘泊) 16:00着 17:00着 18,300

-

2,531stes/h

第2日目

蛭ヶ岳山荘

7:00発

6:00発 18,300

-

-

4月22日 丹沢山 (海抜1,567m)

8:30着

8:35着 27,570

-

6,180steps/h

-

塔ノ岳(海抜1,491m)

9:30発

10:20着、コーヒー10:40発 32,945

-

5,375steps/h

- 鍋割山 (海抜1,273m)

10:50着

12:25着、昼食13:00発 39,650

-

5,780steps/h

- 二俣(海抜540m)

13:10着

15:15着 49,000

326m/h

4,156steps/h

- 大倉バス停(海抜300m)

14:20着

16:30着 57,000 - 6,400steps/h

装備・食糧

山行装備:ゴアテックス上下、ブルゾン、着替え肌着、サングラス、ストック、スパッツ、ザックカバー、ヘッドライト、コンパス、地図、万歩計、カメラ、携帯電話機、洗面セット。

食糧:

April 24, 2004

Rev. June 22, 2008


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