奥州

安達太良山・西吾妻山・磐梯山

2005年8月と9月の2ヶ月連続台風で月例登山できなかった後の欲張り登山。南東北にある安達太良山(1,700m)・西吾妻山(2,035m)・磐梯山(1,819m)の3つの百名山をハシゴする企画である。 いずれも火山である。マイカーを活用して裏磐梯高原など紅葉と温泉も楽しめる山旅をねらった。 しかし台風の影響で関東・南東北の天候がよろしくないため、2005年は断念した。8、9、10月の3ヶ月連続すべて台風のための断念であった。

グリーンウッド氏は2005年9月末のヨーロッパ・アルプス旅行の疲れか風邪を引き、その後咳が残った。山また山の山の会を断念して体調を整えて参加しようとしたが、咽頭炎を完治せぬまま3日間毎日1万歩歩いたため、かえってこじらせ てしまっていたのでいずれにせよ、無理であったろう。

2006年10月は幸い好天に恵まれて2005年10月の計画をそのまま実行した。


第一日、10月16日くろがね小屋

7:30JR桜木町東口集合、湾岸線、川口JCT経由240km走行して二本松ICから一般道を15km走行し、安達太良SAで早い昼食。岳温泉経由、13:00奥岳 登山口発(940m)。 渓流コース沿いに勢至平(せいしだいら)を上る。登り標高差406mを2時間で登り15:05くろがね小屋着。(1,346m) (Hotel serial No.325)

金名水付近からみた鉄山 くろがね小屋はもうすぐ

掛け流しのくろがね温泉が素晴らしい。那須の三斗小屋温泉白馬鑓温泉とともにwakwak推奨の三大山岳温泉としてよい。夕食前に夕日を見ながら2回、食後に星空を見ながら1回入って前日の20kmを越す戸隠高原ハイキングの疲れを癒す。岳温泉へ湯を送る送湯管が見える。くろがね小屋の宿泊客の2/3は 熟年女性であった。高村光太郎の詩の影響もあるのだろうか?ドコモの携帯は圏外。

掛け流しのくろがね温泉


第二日、10月17日安達太良山

本日のコースはくろがね小屋を出発、安達太良山山頂までの登り標高差354mと奥岳駐車場までの下り標高差760m。

6:35小屋出発。熟年女性の団体を抜いて峰の辻にでる。ここから安達太良の山頂とされる乳首山と呼ばれる溶岩ドームが見える。その右は沼ノ平を囲む牛ノ背であろう。 あだたらの名前はたらら製鉄から来ているとか話しながら登る。鉄山という名も鉄を連想させる。

峰の辻からみた牛ノ背と乳首山

北岳の経験からゴアテックス内張りのフリースを羽織って体温の維持をしてから 牛ノ背に出る。体が浮く程の強い西風が吹き付けてくる。すざまじい色の沼ノ平の向こうの火口壁が崩れた開口部の向こうに秋元湖が見える。そして左手火口壁を形成する障子ガ岩の上に磐梯山が遠望できる。明治33年に噴火してここにあった硫黄精錬所が全滅したという。

牛の背からみた沼ノ平

牛ノ背を歩いて8:00乳首山に至る。少しビビッたがザックとストックを溶岩ドームの基部に置き、岩場をよじ登って山頂に立つ 。北を見ると鉄山の向こうに吾妻連峰が見える。

乳首山頂から薄牛ノ背、矢筈森、鉄山、そして遠方に吾妻山連峰を望む

東側を見れば、篭山が優美な曲線を描いている。篭山の向こう側の谷底には昨夜泊まったくろがね小屋があるはず。

乳首山頂から篭山方面を望む

8:30下山開始。薬師岳経由で奥岳登山口に下る。10:50着。岳温泉のかつら食堂で昼食。土湯トンネル経由、裏磐梯に抜け、10年前の1996年に通過した磐梯吾妻レークラインで秋元湖に向かう。峠のみのわ茶屋で安達太良山の爆裂口越に沼ノ平を覗く。磐梯吾妻レークラインから見下ろす秋元湖、中津川渓谷、小野川湖は紅葉であった。

磐梯吾妻レークラインみのわ茶屋よりみる安達太良山沼ノ平

五色沼の一つ柳沼とるり沼を散策後、磐梯山ゴールドラインにある、磐梯山への登山口八方台を下調べする。紅葉はいまいち。桧原湖の北端にある早稲沢温泉の民宿を下調べしたのち白布峠(しらぶとうげ)経由白布温泉まで移動 。白布峠からは西大巓(にしだいてん)は見えるが、西吾妻山山頂は前山に隠れて見えない。梵天岩が一寸頭を出している。中大巓( なかだいてん)の中腹に天元台が見える。

白布温泉唯一の民宿「白布屋」泊 (Hotel serial No.326)、白布屋のオーナー経営者は趣味人で建物と家具調度に彼の哲学を感じた。快適な一夜を過ごす。


第三日、10月18日西吾妻山

本日はあいにくの霧であった。ルートはリフト終点の北望台(1,820m)より西吾妻山山頂までの登り下り往復標高差215mである。

8:20湯本駅よりロープウェイで天元台高原に登る。ロープウェイ・リフト往復券は2,700円。 スキーリフトにリュックサックを抱いて乗るのはかなり緊張を強いられる。更にリフトを3本乗り継いで中大巓中腹の北望台から歩き始める。

スキー場のホテルやペンション村のあるところは広大なアスファルト舗装で覆われている。戦争中、火薬製造のために硫黄を露天掘りで採掘していた跡で あるという。雨水がここに滲みこむと硫酸が最上川に流れ込み魚が死ぬ。国の金でプラスチックシートを敷きつめ、アスファルト舗装したのだという。天元台と いう名前はここを再開発するとき碁好の米沢市長が碁の用語から命名したという。旧宿舎跡はペンション村となり、旧小学校はホテルとなっている。年々スキー 客が減少する中で、山形交通が運営するリフトは赤字経営となり、リフト設備を無償で米沢市に寄付して撤退した。現在も市がその運営を継続しているが、赤字 の垂れ流しだという。いつまで生きながらえるのかなと思う。

かもしか展望台を過ぎ、中大巓に至れば大凹(おおくぼ)の向こうに梵天岩(ぼんてんいわ)と 西吾妻山が重なって見える。 立派過ぎる木道が整備されている。厚生年金融資事業と書いてある。気になる融資だ。地方自治体が破産したら返済はどうなるのだろう?東大巓への道を分け、 一旦大凹に下り、登り返せば梵天岩である。ここから一旦鞍部に下り、上り返せば吾妻山最高峰の西吾妻山山頂である。しかし 背丈の低いオオシラビソの林のなかで視野はない。無人の西吾妻小屋に下り。ここで昼食。 グランデコスキー場から登ってきた夫婦に会う。クマがでるのではと恐れた程、誰にも会わなかったという。12:00出発、梵天岩に戻る。梵天岩から籐十郎 と東大巓がかすかに見通せる。其の先は東大巓(ひがしだいてん)、東吾妻山と続いているはずである。

梵天岩より籐十郎と東大巓を望む

一旦大凹に下り、登り返せば中大巓である。

中大巓より大凹、梵天岩、西吾妻山を望む

13:20中大巓の人形石にゆくと立派な黒御影の石碑が人形石の上に建っている。何事かとみれば「吾妻山高度指導標」と 大書してある。そして現在地人形石、1,963.6米、米沢市長吉池慶太郎とある。吾妻山高度表示標なら意味がわかるが 「指導」とはどういうことか?国語辞典では「教えみちびくこと。特に現代では、勉強、研究の方法などに関する助言を与えてみちびくこと。ガイダンス。団体 などの組織、目的、方向などを決定し、成員を導くこと。具体的にさし示して案内すること」とあるがどうも愚民扱いされたようで気分が悪い。吉池慶太郎とは いかなる人物か調べると1970年代の高度成長期の市長で黒金建設全盛時代を作ったとか伴淳三郎のいとこだとかあまりよい印象はない。市長におもねる小役 人が提案したものかどうか。米沢新聞社長の名前が横にあるが米沢新聞 が費用を負担させられたのかはたまた御用新聞なのか?前小泉首相が絶賛した上杉鷹山(うえすぎようざん)を生んだ土地なのにこれはどうしたことかと首をかしげながら下山した。14:00北望台着。

吾妻山高度指導標

山の上は紅葉はなかったがロープウェーで谷底に下ると、紅葉真っ盛り。 渓谷には霧がただよい、放射冷却で気温が極端に下がらず、7oC 近傍に長く維持されるため紅葉するという。新高湯温泉までの渓谷が特に美しかった。ただ1週間前の台風並みの低気圧通過で急に気温が下がったためか紅葉せ ずに枯葉となったものも多く、紅葉は少しさみしい。特にほうの葉などはちりちりに枯れていた。この山はお花のシーズンがお奨めかもしれない。

再度白布峠を裏磐梯に戻る。白布峠からは飯豊山塊が見えた。早稲沢温泉に移動民宿「えんどう」泊 (Hotel serial No.327)桧原湖のワカサギの釣り宿。主人が採取する茸とともにワカサギをフライにして食べる料理が売り。露天風呂を楽しむ。


第四日、10月19日磐梯山

本日のコースは駐車場のある八方台登山口(1,194m)より磐梯山山頂までの登り下り往復標高差625m。

8:00ブナ林の中を登坂開始。丸山を過ぎると後継者難で廃業した磐梯温泉中ノ湯の建物が廃屋となっているのが見える。温泉は廃業と関係なく湧き出 ている。火口の断崖沿いに登る。断崖を離れてトラバースすると肩の広場にでる。4合目弘法清水からみた磐梯山の爆裂口は迫力がある。正面遠方に昨日登った 西吾妻山が良く見える。右手には安達太良山も見える。 明治21年にここにあった小磐梯山が爆発して発生した土石流が桧原村のあった谷を埋めて湖を作ったことが手に取るように理解できる。

4合目弘法清水からみた磐梯山の爆裂口 正面遠方に西吾妻山

4合目弘法清水から急坂を登りきれば5合目山頂である。山頂付近は酸化鉄を含んだいわゆるベンガラ層が露出している。火山特有の岩石だ。 山頂からの眺望は360度。

磐梯山山頂にて maさん撮影

猪苗代湖は大きすぎてファインダーからはみ出す。西隣には猫魔ヶ岳(上の写真の左手に見える)がある。高くはないが、火口原には明らかに巨大な火口を持っており、雄国沼という大きな池があるらしいが見えない。スキー場の傷跡がいたいたしい。

山頂(5合目)より猪苗代湖を望む

山頂で昼食。同じコースを下る。13:30八方台着。

表磐梯山 アルツゴンドラ上駅

磐梯山ゴールドラインで磐梯河東ICから磐越自動車道に入り、磐梯熱海温泉のユラックス熱海で汗を流す。(Hot spring Serial No.236)郡山市営の巨大なコンベンションホール付きのプールと温泉施設だ。プールと温泉施設の利用率は高そうで込んでいた。 郡山には金属粉混入バッテリーを製造したソニーの工場もあり、活気のある街だ。

車で当日中に帰宅。

October 19, 2005

Rev. November 28, 2017


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