鎌倉プロバスクラブ卓話

メタボの新概念 その診断と治療

正山堯

2008/4/8

鎌倉プリンスホテル

2005年9月28日に行った過食・運動不足で蓄積した内臓脂肪に存在する大球性脂肪細胞が分泌するアディポサイトカインが原因となるメタボリック・シンドロームについてお話しいたしました。 当時の診断基準が少しかわりました。今日はその後の展開についてお話しします。

メタボリック・シンドロームには高血圧、糖尿病、高脂質症、肥満があります。これが進行すると血管が劣化して腎臓病になったり、心筋梗塞、脳梗塞で死に至る病です。

診断基準は@腹囲は男85cm、女90cm以上、A空腹時血糖110mg/dl以上、B高いほうの血圧130mmHg以上、低いほうの血圧85mgHg以上、C脂質異常のうち2つあればメタボリック・シンドロームということになります

C血管を劣化させる物質である脂質異常の指標として従来は総コレステロール(TC)を判断基準にして高脂質症かどうか決めていました。しかし最近はコレステロールが血液中に溶け込むために脂質・蛋白複合体となった低比重リポタンパク(LDL)と余分なコレステロールを肝臓に送り返す脂質・蛋白複合体である高比重リポタンパク(HDL)のバランスがとれているかを診断指標としております。

すなわち中性脂肪(トリグリセライドTG)>150mg/dl、HDL<40mg/dl、LDL>140mg/dlを脂質異常症または高LDLコレステロール血症と 診断して監視しながら治療するわけです。

HDL =TC-HDL-0.2TGという関係があります。

LDL以外の危険因子が0個ならLDL<160mg/dl以下に維持すればよく、危険因子が1-2個ならLDL<140mg/dlに維持し、危険因子が3個以上ならLDL<120mg/dlに維持しなくてはなりません。

治療法としては善玉のアディポネクチンを分泌する食品のジャガイモ、ピーマン、キウィなどあります。サケの赤い色素でカロチノイドの一種のアスタキサンチン、甘草(リコリス)もメタボ解消に効果あり。ただこれだけ食べているわけにはまいりません。基本的には過食を避け、午後3時以降に有酸素運動をすることです。

これでも管理数値を達成できない場合は薬物治療をします。最近はよい薬がでておりますので医者をきめてしっかりと管理して長生きしてください。

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April 10, 2008

Rev. June 3, 2009


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