鎌倉プロバスクラブ卓話

鼠に因む言葉・話

内海恒雄

2008/1/8

鎌倉プリンスホテル

鼠算:1月に1対の鼠の夫婦が12匹の子を産みます。鼠はほぼ20日で妊娠しますので、その親子14匹がそれぞれ1対の夫婦になって それぞれ12匹の子を生むことを毎月繰り返し、全員死なずに12月末になると計算で確かめたことはありませんが27,682,574,402匹になるそうです。和算で鼠算といいます。

編注)この鼠算の級数マルサスの等比級数的人口増加論を記述した次の差分式のNi-1=2r0=12/2の場合である。

Ni=Ni-1+r0 Ni-1

これに環境が養える最大数Kを導入すると資源の取り合いで増殖率が低下するロジスティックモデルになる。ローマクラブが使った式で石油資源の枯渇予測にも利用できる。

Ni=Ni-1+r0 Ni-1(1−Ni-1/K)

鼠は沈む船を去る:鼠には予知能力があります。「火事の前には鼠がいなくなる」、「鼠がいなくなると火事や貧乏になる」、「野鼠が人家に集まる時は大洪水の兆」、「鼠が早く土中に隠れると大雪」

鼠捕る猫は爪を隠す:すぐれた才能や力のある者は、平素それをむやみに人にひけらかすようなことはしないというたとえ。「猟ある猫は爪を隠す」

鼠は大黒天の使い:大黒天は密教の神で頭巾をかぶり、大きな袋を背負い、打出の小槌を持ち、福俵に乗って、台所に祭られている。大黒天が鼠の好物の米俵を踏んでいることと鼠の予知能力が大黒天の使者にマッチしていたためだろう。

鼠の嫁入り:鼠の夫婦が娘に天下一の婿をとろうと、太陽に申しでると、太陽は雲にはかなわないといいます。雲に申し出ると、風に吹き飛ばされるのでかなわないという。風は築地(ついじ)には無力だとい います。築地は鼠に穴を掘られるとどうしようもないというので結局、鼠の婿さんをもらったそうです。

鼠は鼠を婿にとる:「鼠の嫁入り」の話しから、どんなに卑しい者でも、それなりに配偶者のあるたとえ。

鼠も小六十:つまらない人間でも歳をとって経験を積めば、それ相応の働きができるようになるというたとえ。

鼠窮して猫を噛み、人貧しゅうして盗みす:鼠が追いつめられてせっぱつまった末に猫に噛みつくように、人も貧窮するとやむなく人の物を盗むようにな ります 。「窮鼠猫を噛む」

鼠と木挽きは引かねば食われぬ:鼠が食物を引きずってゆかないと食っていけないように、木材の製材を生業にする木挽きも、毎日鋸を挽かなければ、生活できません。

鼠の尾まで錐の鞘:鼠の尾でさえ錐の鞘になるように、どんなものでも何かの役に立つことのたとえ。

以上で時間切れとなりましたが、せっかく用意された残りのお話しをここに収録します…

鼠無きを以って捕らえざるの猫を養うべからず:鼠がいないからといって、鼠をとらぬ猫を飼ってはいけません。無益の者を養うべきではないのたとえ。

鼠壁を忘る、壁鼠を忘れず:鼠はかって噛んだ壁を忘れても、壁には跡が残って永く鼠を忘れません。仇敵を永久に忘れないたとえ。

鼠を治めて里閭(りーりょ)を壊す:鼠を退治するために村里の門を破壊する こと。小さいことのために大きいものを害するたとえ。

鼠牙雀角(そがじゃっかく):鼠の牙と雀の嘴で、訴訟のこと。それらが家の壁や屋根を痛めるように、訴訟は家を破壊する。「鼠牙雀角の争い」

鼠は社(やしろ)によりて貴し:鼠が土地神の社に巣食うと、これを煙で追い出そうとしても社に火がつくと困るから追い出されることもなく、敬われ ます。小人が君主の威勢をかさにきていばり、追い出せないたとえ。

鼠に投げんとして器を忌む:鼠に物を投げつけて殺そうとしても、そばにある器物をこわすのが心配で投げられません。君主のそばにいる悪い家来を除こうとして、君主を傷つけることを恐れるたとえ。

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January 13, 2008

Rev. June 3, 2009


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