メモ

シリアル番号 表題 日付

186

脂肪酸

95/10/8


料理油

毎日摂取する脂肪については時代と共に注意すべき脂肪が変わる。一時はバターが動物性脂肪酸でいけない。植物油に水素添加したマーガリンを使うべ きとされた。しかし最新の知見ではトランスファットの危険が明らかとなりバターが復活した。花王が開発したジアシルグリセロールは発がん性が疑われた。必須脂肪酸であるリノール酸が多く健康に良いとされた菜種油が一時期推奨されたが、熱で変性して有害物質ができると疑われ、オリーブ オイル、米油、ココナッツオイルが推奨されるようになった。というわけで我が家で現在使っている食用油は:

@ 飽和脂肪酸であるにもかかわらず中鎖脂肪酸はすべて体内で燃えてしまうということで最近はフィリピン製ココナッツ・オイルBAGIOを藤沢駅近くの DIKALDI Arm Coffee Farmで1,000yen/Lで購入。その後、スリランカ産の生活の木のスーパーフードCoconut Extravirgin Oilを購入。飽和脂肪酸だから熱には安定しているだろうと見込んだことと中鎖のため、脂肪として体内に残らな いことを評価した。 冬季は白色の固体であるので広口瓶に入れ、スプーンで小分けして炒めものや目玉焼き、天ぷらに使う。LDLコレステロール値があがるのは肉に含まれる長鎖 の飽和脂肪酸の パルミチン酸だとされるので中鎖のラウリン酸が多いココナッツオイルは全て燃えてしまい、体内には残らないからLDLコレステロール値は下がるだろうと見 込んでのことだ。ココナッツオイルの欠点は下水管が詰まることと気化しやすく白煙が出てレンジフードのフィルタの交換頻度があがること。ココナッツオイル はアルツハイマー防止に良いと評判になり、売り切れ何時入荷するかわからないという。ココナッツオイルもオリーブオイルに加え自家製食パンにバターととも に使っていたが、小麦の 品種改良で小麦のグルテン量が増え続けていて、このままではアルツハイマー病が増えるのではと米国で議論されていることを知り、毎日食べていたパン食を米 食に切り替えた。このココナッツオイル・ブームは昔のリノール酸信仰とおなじ一過性のものかもしれないとも思ったが、糖尿病防止のケトン食として定着し た。

A短鎖脂肪酸をふくむバターは一時敬遠したが米国での再評価で復活した。

Bω-9のオレイン酸が多いオリーブ油は高温に強いので炒め物に使っている。家ではエキストラバージン・オリーブオイルをパンに塗って食するか自家製食パンに加え て焼いていた。ただし小麦粉アレルギーの人は強力粉のグルテンがアルツハイマー病の原因になる可能性があるとのことでパン食は中止。

Cω-9のオレイン酸が多い米油(こめゆ)は天ぷらに使っている。房総油脂製である。味も良い。1,000yen/L。この米油は溶剤抽出を使っているか不明であ るが日本精米精油は使っているというので多分同じだろう。当然溶剤のノルマルヘキサンは蒸留で分離回収される。サラダ油とちがい米油は高温安定性があるの でこれでよいのだろう。

Dω-9のオレイン酸の多いごま油(3,000yen/L)は高価なので天ぷらには使っ ていない。生活クラブ生協のものは溶剤抽出を避けた伝統の圧搾玉締め法で搾っている。生活クラブ生協のマグロ油漬はこの米油をつかっている。

E加熱しない料理の素材としてω−6であるリノール酸が多いサラダ油は菜種油(キャノーラ油同等製品)をつかってよろしい。なかんずく機械で圧搾し溶剤を 使わない「湯洗い洗浄法」で精製したものがよろしい。生活クラブ生協はGM対策製品として遺伝子操作しない国産100%菜種油とか遺伝子操作が疑える綿実 油をやめ国産にしたというセールストークをしているが。これはあまり意味がない。価格1,000yen/L

F機械で圧搾法し溶剤を使わない「湯洗い洗浄法」で精製した国産プレンド菜種油(生活クラブ生協の)は安いので天ぷらや炒め物のような熱を使うものにつかって いたが、料理の高温でヒドロキシノネナールが増え、脳細胞が破壊されるので2015年から使用をやめた。そもそも遺伝子操作しない輸入菜種油という宣伝文 句は意味がない。

G魚をたべなくなったのでω−3を含むエゴマ油やアマニ油を一日スプーン一杯飲む。


炭素数による分類


●短鎖脂肪酸(short-chain fatty acid:SCFA, short-chain trigriceride:MCT):脂肪酸の炭素数が4以下のもの。

酪酸(らくさん、butyric acid)、IUPAC名ブタン酸 (butanoic acid) もしくはn-ブタン酸 (n-butyric acid) は、分子式 C4H8O2、示性式 CH3(CH2)2COOH の炭素数4の直鎖カルボン酸である。構造異性体にイソ酪酸 (CH3)2CHCOOH がある。

バターから得られたのでこの名で呼ばれるようになった。銀杏の異臭の原因でもあり、足の悪臭の原因でもある。哺乳類は極微量でも臭いを探知することができ、イヌでは 10 ppb、ヒトでは 10 ppm まで嗅ぎ分けることができる。

脂肪酸の分解過程で生合成されるほか、バターやチーズ、皮脂に含まれている。哺乳類の大腸や反芻胃では細菌が食物の中のセルロースやヘミセルロースを嫌気 発酵し、酪酸などの短鎖脂肪酸を生成しており、これが草食性動物の体内では重要なエネルギー源となっている。酪酸は、β酸化により酢酸に相当するアセチル CoAに分解され、クエン酸回路によりエネルギー源として利用される。

●中鎖脂肪酸(medium-chain fatty acid:MCFA, medium-chain trigriceride:MCT):分子に含まれる炭素数が8〜10。普通の植物油の半分ほどの飽和脂肪酸。ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸が該当。

中鎖脂肪酸からケトン体が体内で合成され、ケトン体回路が回りだす。 すると、体内のエネルギー源が、ブドウ糖からケトン体へと切り替わり、体内の脂肪が燃焼される。中鎖脂肪酸を摂取する事により、インスリン抵抗性を改 善し、過剰な内臓脂肪の蓄積を抑える。他の油に比べ常温で2年は酸化しづらい性質をもっている。

ココナッツオイル(ヤシ油)ココヤシ果実の種子にあたる核果の中の胚乳を乾燥したもの(コプラと呼ばれる)から、圧搾または溶剤抽出により原油が得 られる。さらに精製工程を経て製品化される。ヤシ油はラウリン酸が50%弱、ミリスチン酸が15%~20%、パルミチン酸が10%弱と飽和脂肪酸が多い。

●長鎖脂肪酸(long-chain fatty acid:LCFA, long-chain trigriceride:LCT):炭素数が12以上。パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸

二重結合の有無による分類

■飽和脂肪酸 (saturated fatty acid, SFA) :炭素鎖に二重結合あるいは三重結合を有しない。パルミチン酸が該当。

動物性の脂肪であるラード、ヘット、ココナッツ油(やし油)、パーム油など熱帯植物の油脂に多く含まれている。

LDLコレステロールを増やし、動脈硬化の原因とされた。

パームオイルの主な成分はパルミチン酸約44%、オレイン酸約37%、リノール酸約9%で、その他ステアリン酸約4%、ミリスチン酸約1%が含まれてい る。常温で固体であるのは飽和脂肪酸であるパルミチン酸を多く含むためで、組成全体としては牛脂に近い。

■不飽和脂肪酸(unsaturated fatty acid, UFA):炭素鎖に二重結合、三重結合を有する。

▲一価不飽和脂肪酸(モノエン脂肪酸、monounsaturated fatty acid, MUFA):二重結合の数が1つ。

    <ω−9またはn−9脂肪酸>

一般に炭素-炭素二重結合がω-9位(脂肪酸のメチル末端から9番目の結合の意味)にあるものはω-9脂肪酸、ω−9 fatty acids、オメガ-ナイン、Omega-9)または、n−9脂肪酸(n−9 fatty acids)とよぶ。自ら合成できるので必須脂肪酸ではない。

オレイン酸(C18:1, n−9)、オリーブ油と一価不飽和脂肪の主な構成要素。エキストラバージンオリーブオイルとはオリーブの果実を搾ってろ過しただけの、一切化学的処理を行わないバージンオイルで、酸度(遊離脂肪酸の割合)が100g当たり0.8gを越えないものを指す。

エルカ酸(C22:1, n−9)、アブラナの種、エリシマムの種、カラシの種子で見られる。エルカ酸の含有量が多いナタネ油は、エルカ酸が心臓病の発症リスクを高め、ナタネ油に 多価不飽和脂肪酸が豊富に含まれているため乾性油として絵画やコーティング剤に使われたり、バイオ燃料として商用的に栽培されている。オリーブ油、米油、 パーム油(45%)、ゴマ油に多い。高温でも安定して劣化しにくい。動脈硬化をふせぐ。米油は溶剤不使用の圧搾法を使う。多量のガム分、ワックス分を含ん でいるので分離精製する必要があるが有機溶媒は使わない。三和油脂で はまず遠心分離で脱ガムし(泡立ちの原因となるレシチン除去)、冷却ろ過機で脱ロウ、フィルタープレスで脱色(カロテノイド)。スチーム・リファイニング 製 法で遊離脂肪酸除去を行う。米油は高温でも安定して劣化しにくい。

ゴマ油はC18の不飽和脂肪酸であるオレイン酸(n−9 C18:1,)とαリノレン酸(n-3 C18:3))が主成分。搾油の方法で、伝統的な加圧による圧搾油と、溶媒抽出油に分けられる。酸化されにくい成分を含むため、発煙する温度が大豆油などよりも高く、高級料理店では天ぷら油に使う。

▲多価不飽和脂肪酸(ポリエン脂肪酸、polyunsaturated fatty acid, PUFA):体内で生成できないので必須脂肪酸と呼ばれるものが多い。植物性脂肪に多く含まれる。

<ω−6 またはn-6系脂肪酸>

△リノール酸(C18:2):炭素数18で、9位と12位に炭素炭素間のシス型二重結合を二つ持つ。n6 系多価不飽和脂肪酸とも呼ばれる。菜種油、ベニバ ナ油(サフラワー油)やコーン油に多い。リ ノール酸は酸化されやすく、生成物が有害と認識されるようになった。体内でγリノレン酸経由プロスタグランジンなどの生理活性物質の原料となるほか、細胞膜の膜脂質として多く見られ る。一時期、コレステ ロールを下げる降下があるとされ、リノール酸神話が生じた。血中コレステロール値や中性脂肪値を一時的に低下させる働きがあるが、酸化されやすく過酸化脂 質を生じやすい。過度の摂取はアレルギー を悪化させたり、大腸癌などのリスクを高め、動脈硬化、アトピー、アレルギー、心筋梗塞などの原因物質とされる。最近の研究結果では、日常で摂取する飽和 脂肪酸の一部(15%程度)をリノール酸に置き換えた場合、全死因 死亡、心血管死亡、冠疾患死亡リスクが上昇する可能性が指摘されている。今で も、リノール酸の多いベニバナ油やコーン油が高価なのは過去の間違いを引きずっている。しかし最近はリノール酸は悪玉コレステロールとともに 善玉コレステロールも下げてしまうので、αリノレン酸のほうがいいとされている。米国産の菜種油、キャノーラ油(エルカ酸が少ない菜種油)、大豆油、コー ン油などのサラダ 油と して市販されている安価な油は圧搾後、コストダウンのためにヘキサン溶剤抽出を使っている。ヘキサンを1ppmまで下げるため、250℃という高温 に維持すると き、リノール酸が酸化されヒドロキシノネナールが少量生成する。細胞内には、細胞を保護している「熱ショックタンパク質70」というガード物質がある。こ の「熱ショックタンパク質70」というものは、タンパク分のリサイクル工場である「リソソーム膜」を守ったり、古くなったタンパクをリサイクルのために引 き込んだりする仕事をする。しかし、ヒドロキシノネナールという毒により、「熱ショックタンパク質70」が痛み、タンパク分解酵素である「カルパイン」に より切り裂かれてリソソームも破裂してしまい、リソソーム膜内にある強烈なタンパク質分解酵素が細胞内にばらまかれ、細胞は死んでいく。神経細胞の死は、 最悪なことに、皮膚のように新しい細胞との入れ替わりによる再生機能はない。リ ノール酸を水添して作る飽和脂肪酸はバター代替、ショートニングとして使われるが、幾何異性体のトランス脂肪酸となり、もっと有害と認識されるようになった。

γリノレン酸(C18:3):6,9,12位に二重結合を持つ異性 体。生理学者はメチル末端から6番目に二重結合があるためω-6脂肪酸とも呼ぶ。大豆油に多く含まれる。KFCは過去にトランス脂肪酸を使用してフライにしていたが、 トランス脂肪酸の害をが明らかになってからは2007年4月以降大豆油を使用しはじめたとのこと。最近は リノール酸からγ-リノレン酸を経てアラキドン酸(ARA)C18:4に変換されるω-6脂肪酸の摂取が過剰であるとされている。アトピー性皮膚炎や湿疹、炎症、乳癌など、多 様な疾患に効果があるといわれたが、その有効性に関しては議論があり、疑問が呈せられている。体内でアラキドン酸カスケードにより生理活性作用の強いプロ スタグランジン、ロイコトリエンなど、各種エイコサノイドの原料となる。

<ω−3 またはn-3脂肪酸>

αリノレン酸(C18:3):9,12,15位に二重結合を持つ異性体。n-3系多価不飽和脂肪酸ともいう。単に「リノレン酸」といった場合、普通αを指す。

生理学者はω(n)炭素からカウントする。ω末端から、最初の二重結合が3番目の炭素-炭素結合のためω-3と命名される。ω-3脂肪 酸

ドコサヘキサエン酸(DHA)C22:6エイコサペンタ エン酸(EPA)C22:5ま たの名イコサペンタエン酸(IPA)がある。魚油・えごま油・亜麻仁油などに含まれる。魚油に多い:イヌイットは血栓がおこらない。高脂血症 が少ない。脳神経維持に必要。ガン細胞の抑制。中性脂肪を分解し燃してくれる。コレステロール値を下げる。ただこれも酸化されやすいため、加熱してはいけない。一般に魚をたべなくなった ので食品の中では不足気味である。大匙一杯をそのまま口にするのが簡便な摂取法。ただ多量に摂取するとこの過酸化物がガンを起こしや すい。もしリ ソソーム膜にαリノレン酸の多い魚油(EPA・DHA)などがしっかりと含まれていれば、リノール酸が酸化され、ヒドロキシノネナールを摂取しても脳細胞 はそう簡単に破裂することはない。


サプリメント

サントリーのDHA & EPAというサプリメントは不足気味のドコサヘキサエン酸(DHA)C22:6エイコサペンタ エン酸(EPA)C22:5 というオメガ3補給に意味があるが、サントリーのオメガエイドという補助食品は精製魚油にオメガ6であるアラキドン酸(ARA)C18:4を含む油脂を混合したものである。これでは魚油にサラダ油かオリブオイルを混ぜて飲むようなものだ。そこでこれはやめにして亜麻仁油をスプーン1杯とることにした。


二重結合の位置による多価不飽和脂肪酸(必須脂肪酸)の健康への作用

△n6系多価不飽和脂肪酸:リノール酸が多い 植物油特に紅花油に多い:善玉のHDLコレステロール値まで下げてしまう。

△n3系多価不飽和脂肪酸:αリノレン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イコサペンタエン酸(IPA)

△従来の日本人のn6/n3摂取比率は4/1であった。むかしの日本人は3/1だったとのこと。普通の人は4/1でもよいが、アレルギー体質の人は3/1から2/1位が良いよう。理想は1/1とか

△魚にn3が多いが。植物油ではしそ油は1.7/1、菜種油が2/1で合格。大豆油は6.5/1で危険ゾーンにはいる。ただ何事も過ぎたるはーーーとのたとえ。ほどほどがよい。

溶剤抽出法

1 まず 原料から ごみを除く
2 前処理 油を抽出しやすくする為に加熱。
3 粉砕したり 潰して表面積を拡大。
4 溶剤「ノルマルヘキサン」に漬け込み 油分を溶出させる。
5 ノルマルヘキサンだけ蒸発させる為に一旦加熱。(蒸発させたヘキサンは冷却後 再利用)
6 精製工程 不純物や有害物質が取り除く。(脱ガム・脱酸・脱色・脱ロウ・脱臭等)
7 完成
という工程を経る。

6番の精製工程は米油とほぼ同じで

〔脱ガム〕
温水を加えてリン脂質などを取り除く工程。油の種類や場合によっては省略される。

〔脱酸〕
リン酸で分離しやすくしておいて苛性ソーダを使って石鹸にし、取り除く行程。同時に微量金属や色素などの不純物も除去される。

〔脱色〕
油の色を取り除く行程。主にカロチノイド色素やクロロフィルなどを取り除く。熱による加熱・酸化分解する方法と白土や活性炭などを用いた吸着剤による脱色法がある。

〔脱ロウ〕
サラダ油は低温時に固まって濁りを生じてはまずいので、精製油を低温にさらし、そこで生じる固まった脂を除去する。

〔脱臭〕
真空水蒸気蒸留法によって臭いを取り除く行程。
油を240℃以上で加熱 減圧し水蒸気を吹き込みながら臭み成分を取り除く。高温なのでトランス脂肪酸が発生。俗に言う〔カネミ油症事件〕は この脱臭工程でPCBが混入した事が原因。

このサラダ油は水素添加してマーガリンやショートニングの原料にもなるが幾何異性体のトランス脂肪酸となり、有害とされる。また米国産は遺伝子操作したものが多いため、感情的に忌避する人も居る。

一般の業務用油には、消泡目的で食用添加物シリコ−ン樹脂を添加物基準値以内で少量添加する場合があるが不使用の メーカーもある。

Rev. November 21, 2018

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