ザ・ウィンザーホテル洞爺湖を楽しむ

2007年8月末、グリーンウッド夫妻はザ・ウィンザーホテル洞爺湖に連泊してホテルライフを楽しむことにした。(Hotel Serial No.402)毎年、避暑のため涼しいところに避難することが習慣となっているが、今年は来年のサミット開催地として白羽の矢がたった豪華ホテルの視察とシャレ込んだのである。無論JTBのお徳用プランの利用である。

バブルがはじけた1993年6月に665億円もの資金を投じて竣工したのは良かったのだが、オーナーの北海道拓殖銀行破綻のあおりを受けて閉鎖に追い込まれてしまったホテルだ。その後、SECOMに建物を買い取ってもらい、4年後運営を再開したといういわくつきのホテルだ。安倍政権に見出されての晴れの舞台となったわけである。

濃緑コース

第一日、8月27日

藤沢からバスで羽田空港に移動し、ANA59便で千歳に向け飛び立った。8月上旬に大雪山縦走で来たばかりのため、トヨタレンタカーショップまでは迷うことなくゆきつく。借りた車はカローラでシフトダウンがし易い車であった。

折角のチャンスと洞爺湖には2004年にバイクで訪れた支笏湖経由でドライブすることにする。バイクの時は休憩しなかった支笏湖温泉 の湖水館で遅い昼食をとり、湖畔を散策する。溶岩ドームを持った三重火山の樽前山(1,041m)が独特の雰囲気を醸している。帰宅してから知ったが、樽前山には7合目に駐車場があり、ここから30分で頂上にゆくことができるそうだ。

支笏湖温泉より溶岩ドーム見える樽前山と風不死岳とを望む

恵庭岳(1,320m)とオコタンペ湖の間を通る地図では悪路と注意書きしてある道道78号線を通過して国道276号(支笏道路)に入り洞爺湖に向かおうとNAVIに入力するが、道道78号線は途中通行止めになっている。かなり前から交通止めになっているらしかった。再度支笏湖を半周して支笏湖温泉まで戻り、湖の南岸につけられた支笏道路に入り直さねばならなかった。オコタンペ湖は恵庭岳の噴火によってせき止められてできた湖とか、あふれた水は滝をなって支笏湖にそそいでいた。

支笏道路は立派な道路だった。道の駅大滝で食したキノコ汁は美味。大滝村からは尻別へむかい、尻別岳(1,107m)と貫気別山(993m)の間の道を通って洞爺村に入る。行く手前方には昆布岳(1,045m)の尖がりピークとその左手のポロモイ山頂に堂々たるザ・ウィンザーホテル洞爺湖の建物が建っているのが遠望できる。

ポロモイ山にむかってジグザグの道を登ってゆくと背後にニセコアンヌプリ、後方羊蹄山(しりべしやま1,898m)、尻別岳、貫気別山と手前の緩やかに傾斜したアンジュレーションのある洞爺村 の農地が牧歌的な姿を見せている。北海道でも有数の景色だろう。

支笏湖で無駄な走行をしたため、18:00ぎりぎりにかろうじてチェックインできた。 エントランスはロンドン中心部にあるザ・サヴォイ・ホテルのような天蓋をもつ奥まったエントランスとなっているので廻りの自然との調和がとれていなく奇異に感じた。当然ながらビンテージカーも見当たらない。しかし冬など吹きさらしとならなくドアボーイにとっては働き易い環境だろう。ドアボーイは若すぎてロンドンのようなベテランの重厚さがないのもやむをえないか。客はエントランスで荷物を預けたあと有料サービスを望まないなら自分で地下の駐車場に車を運転してゆかねばならない。

ザ・サヴォイ・ホテルのような奥まったエントランス  8月28日撮影

与えられた部屋は洞爺湖側でラッキー。 ホテル6階の居室から夕日を浴びる洞爺湖は無論、その左手に日本書記にもでてくる後方羊蹄山(しりべしやま)も望まれた。 阿部比羅夫(ひらふ)が蝦夷を討って政所を置いた地である。

そしていましがたその間を通過してきた尻別岳、貫気別山も望むことができた。手前の緩やかに左に傾斜した台地は洞爺村の農地である。右手は洞爺湖であるが、雨水は左手に流れて尻別川にそそぎ、最終的には日本海に流れ込んでいる。

ホテル6階の居室から夕日を浴びる後方羊蹄山、尻別岳、貫気別山を望む

手前の緩やかに傾斜した台地は洞爺村

夕食はでカローダイヤモンドでベトナム料理を楽しんだ。(Restaurant Serial No.310

第二日、8月28日

昨夜はドライブの疲れとワインの相乗さようでぐっすり眠った。今日も快晴だ。晴れ女を連れてくるといつも紫外線過多となる。

ギリガンズアイランドRestaurant Serial No.311)で朝食後、ホテルの見物をする。建物は大型の客船のイメージで好き好きがあるがなにせ金はかかっている。建物の両端に豪華なスイートルームがあつらえてある。中央部の円筒はガラス張りのエレベーターシャフトだが、 差し込む太陽熱に対抗できる空調の能力が不足しているのか全く空調していないのかエレベーター内は異常に暑い。 エレベーターシャフトをガラス張りにしたのはエレベーターの籠もガラス張りにして景色が見えるようにしようとしたのだろうが、重厚な感じを出すために途中で設計変更したのだろう。籠のドアの隙間から日光が差し込むのは配慮不足である。

ホテル外観

このホテルの売りは建物もさることながら、立地である。カルデラ湖である洞爺湖の外輪山の一つのピーク標高625mのポロモイ山頂に建っているため、窓外遥か下方に洞爺湖は無論、百名山のひとつ後方羊蹄山を望むことができる。 ポロモイ山はかっては村営牧場のあったところだ。

ホテルロビーから洞爺湖を望む

ロビーの反対側は、ゴルフ場(グレートピークオブトーヤ)に面していて、窓外の美しいフェアウェイのむこうに内浦湾(噴火湾)の景色を眺めることができた。

ロビーから噴火湾側を望む

ホテル見物も一段落したのち、車で昭和新山と有珠山トレッキングに出かける。洞爺湖温泉からは、ポロモイ山頂の当ホテルがあたりを睥睨しているのが見える。湖面の上には後方羊蹄山が姿を現している。洞爺湖温泉は2000年3月の有珠山噴火にもめげず賑わいをみせていた。2001年のバイクツーリングで通過した有珠山噴火で閉鎖された230号線を迂回する暫定道路はすでに閉鎖されていた。

有珠山ロープウェイで有珠山に登る。眼下に麦畑に出現した昭和新山が見える。郵便局長だった三松正夫氏のミマツ・ダイヤグラムで有名な山だ。有珠山カルデラに下り、外輪山をトレッキングする。 ミセス・グリーンウッドは用心してカルデラに下らない。やむを得ず、ランニングで外輪山をトレッキングしたが、飲料水の用意をしていなかったので早々に引き上げる。このとき膝のスジを少し痛めたようだ。

昭和新山を背に

有珠山カルデラのトレッキング

昭和新山で昼食をとり、ホテルライフを楽しむべく早々に引き上げる。ポロモイ山頂に向かって再度上っているとセキュティー・ガードがいて、車をとめホテル滞在客かどうか誰何する。ただの見物客は立入りを制限しているようだ。それにしてもアクセスロードの整備はよくない。サミットのお偉方はヘリで千歳空港からホテルのヘリパッドまで飛ぶのでアクセスロードはどうでもよいのだろう。

午後はホテルの温泉と昼寝、部屋の窓から居ながらにしてみえる皆既月食、そしてギリガンズアイランドRestaurant Serial No.311)でフレンチ料理を楽しみながら皆既月食が終わるのをみた。米国のベクテル社とのジョイントベンチャーの建設現場で楽しんだビリヤードがあったが、パートナーが乗り気でなかったためパス。

ホテル居室から洞爺湖を望む

 

第三日、8月29日

割烹天の川で ゆっくり朝食をとる。Restaurant Serial No.312久しぶりに和食としたが、このホテルでは和食はマイナーな位置付けで窓もない部屋であった。

折角ここまできたのだからとニセコアンヌプリと登別を周遊して帰ろうと10:00にホテル出発。洞爺村の畑の中の国道230号線から道道97号線(豊浦京極線)に移る田舎道 ですばらしいカントリードライブを楽しんだ。まさに英国の田舎道のようだ。急坂を下り、豊浦京極線にて貫気別川を渡り、再度坂路を登れば眼前に百名山の一つ、後方羊蹄山が見え始める。この山の麓にある真狩村で左折し、ニセコに向かう。

ニセコのスキー場はオーストラリア人の好みのスキー場だと新聞で読んでいたが、夏には彼らの姿はない。丘の上にある電柱を地下化して清楚なたたずまいをしている新ニセコの町から尻別川 が流れる谷に下ると函館本線のにせこ駅がある。ここはタイムスリップしたように北海道開拓時代の雰囲気を残す旧世界だ。スキー場の近くにはオーストラリアの不動産屋が開発中の高級賃貸コテージ村が建設中であったが金持ちしか利用できそうにないかなり贅沢なものであった。

倶知安ニセコ線を最高地点まで登ってみたが花のシーズンも終わり特に感銘をうける風景もなかった。 帰宅して登山地図を見てわかたのであるが、湯本温泉を過ぎてすぐ右折し五色温泉に登るべきところチセヌプリ側に登ってしまったのだ。五色温泉に登れば途中チラッとみえたイワオノプリ(硫黄山)とお花畑をみることができたのだ。それにしても花の季節でもなく雪の季節でもない夏来るところではない。

反転して昆布温泉より昆布岳の西側の昆布川沿いに豊浦ICに向かうことにしてNAVIに入力した。そのとき難路をルートに選んだのでルートを選びなおすことも出来るよというメッセージがでたが無視して出発。尻別川がつくる谷底に下り、上りなおして昆布川沿いに南進。やがてNAVIは未舗装の道に入るように指示をだしている。どうせ短いのだろうと判断して未舗装の道に入ったのが運のつき、道は次第に細くなり反転もできず、坂を登り、ほとんど登山道路にような山の中に入り込む。そして急坂をじぐざくに下ってようやく舗装道路にでる。地図をみれば冬季閉鎖の急勾配道とある。それでも距離的には豊浦ICまで最短のルートではあった。

道央自動車道をゆくとやがて丘の上にザ・ウィンザーホテル洞爺湖があたりと睥睨しているのが目に入る。有珠山SAで昼食。登別東ICで一般道に下り、登別温泉を訪問。ここの地獄谷を見物したのち、倶多楽湖(くったらこ)に向かう。途中、熱湯を蓄えた大湯沼を俯瞰できるところがある。倶多楽湖は倶多楽火山のカルデラ湖でほとんど真円にちかい。摩周湖より俗化されていない神秘的な湖だ。

登別温泉 地獄谷

倶多楽湖

登別東ICから千歳まではまっしぐら。これだけ走ってガソリンを途中給油する必要はなかった。17:30発のANA73便で帰る。千歳空港は夏休み客でごった返し、航空機は2分に1機のペースで離着陸を繰り返していた。

運動不足と美食のためかメタボ気味。

September 2, 2007

Rev. August 9, 2009


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