人為的温暖化によって東京は水没するか?

2019/1/13の第4回環流文明研究会で星野克美多摩大学名誉教授の「文明滅亡・ 人類絶滅プロセス」を予測するという講演を聞いた。前半は安倍性政権下で日銀が株を大量に購入したした結果。株が30%下がったら日銀は破産する。だから 黒田総裁は買い支えるしか手が無い。だから買い支えて、買い支えてオリンピックまで持たせる。そして改憲に失敗した安倍内閣が瓦解するか、オリンピックが 終ると日銀は破綻し、銀行預金は紙くずになるという話は説得力があった。

後半の「生物・人類絶滅、Anthropocene現実化」は非常に高価で扇情的な安田喜憲の「環境文明論」を引用した人為的温暖化説に立って生物・人類 が絶滅するという御宣託だった。しかし人為的温暖化説は科学的根拠が薄弱でプロパガンダ臭が強いから乗せられないようにしないとだまされる。海面が上昇す れば沈むといわれるが、ポリネシアの島々が乗っている地殻は浮力で浮き上がったため、ポリネシアの島々の陸地面積が増えているミクロな現象 もあるのだ。それは言及せず、たまた ま南東の風が数日間ア ドリア海に吹いたため、ベニスが久しぶりに水没したこととか、カルフォルニアの山林火災、関空の防波堤の設計ミスによる水没をことさら強調している。

証拠として最終氷河期(2万年 前)後の海面が120m上昇したとされるS字カーブがついている。しかしユーラシア大陸や北米大陸の氷河が融けたための急激な海面上昇の後の最近 6,000年間は上昇速度はスローダウンし4m位だ。年当たり0.6mmとなる。これは北極海や南極海の浮氷が全て溶けてもアルキメデスの原理で海 面は上昇しないため。というわけで、人為的な原因の影響が出る産業革命後の過去400年間に格段 の変化は見られまない。



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人為的な温暖化がもしあるとすれば、過去100年の増加速度を知る必要がある。データを探すとこの100年間20cm上昇しているグラフが あった。これは年当たり2mmと3倍になった程度だ。したがってこの非常に遅い海面上昇は殆ど海水温上昇による海水の膨張によるものと考えられる。海水の 温度が上がれば大気の湿度が上昇し、台風が増え風害や洪水は増えるが水蒸気が凝縮して雲も増え、太陽光の反射量もふえて地球を冷却すると言うネガティブ フィードバッ クも増えて平衡が維持されるでしょう。そして南極大陸の氷はなぜか厚さを増している。これは待機中の水分が増えてこれが南極大陸に降り積もっているとも解 釈可能なのだ。

いずれにせよ、都市が持っている適応能力が仮に1m位の海面上昇に対応できるとすれば、向う 500年間は特段の土木工事が不要ということになる。



近年の海水準の変化

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そもそも二酸化炭素による温暖化というものは地表は放散する赤外線を対流圏の上にある二酸化炭素が吸収、温度が上昇すると対流圏の気温が 平行移動して上昇するという真鍋博士が昔考えた理屈です。この理屈でモデルを作っても10年間はIPCCの予想通り気温は上昇しませんでした。これをハイエイタスといいま す。あとで分かったことですが、この間、海水温度が上昇していたとされています。海水温度と雲の量などはIPCCは難しいのモデル化していません。このよう に気温上昇のモデル作製は簡単ではありませんが、破局がくるという心理的パニックが先行した騒ぎでしょう。

産業革命後の化石燃料利用による人為的温暖化の影響といってもこの程度。この間に再生可能エネルギーに依存する文明は築けるので、文明の崩壊に至るような キャタストロフィーは生じないと思います。日本の官僚と政治家が共謀して人為的温暖化説を利用して日本の原発の権益を守るため再生可能エネルギーの普及を 妨害しているほうこそ解決しなければならないゆゆしい問題です。

さて歴史家のユヴァル・ノア・ハラリは人為的温暖化説に対しては懐疑的思考はせず、素直に認めています。しかし「ホモ・デウス」では 人類滅亡の原因となるとは言わず、資本主義の下ではビンボー人が被害者になるだけで金持ちは人為的温暖化は傷一つ負わないとクール。だからといって資本主 義を批判しても意味がないとしています。

下のグラフは縄文海進のあったとされる8,000-6,000年前には第4間氷期の最温期の気温は1-2℃ 高く、海面も高かったとするグラフです。さらに中世温暖期の1,420年ころ、鄭和の大船団がその当時解けていたという北極海を航海していたとのギャビン・メンジーズの説もあります。



D. Dahl-Jensen, et al., 1998. “Past Temperatures Directly from the Greenland Ice
Sheet.” Science, Vol. 282, No. 9 (October), pp. 268-271


この縄文海進は地球軌道要素の変化による日射量の増大が原因で約19,000年前から始まった海面上昇が8,000-6,000年前にあった。現在のJR大船駅周辺は大船入江となっていたそうです。我が家のある高台は七里浜の西端にある 小動岬と一緒になって小さな半島となっていました。現在でも鎌倉駅から我が家までこの半島の稜線をたどって歩けます。神戸川(ごうどがわ)の 流域では津入江が深く切り込み、2010年に倒れた樹齢800年の八幡 宮の大イチョウの下が渚となっていたとされます。これは最終氷期の最寒冷期後、海面上昇が沖積層の堆積より速かったので、日本では海岸から奥深くまで浸食 された河谷には海が入り込んだためだとされていました。その後、沖積層の堆積が追いつき、湾は現在の低地平野となったとする高位海面論で説明されてきまし た。しかし西ヨーロッパや北米大陸では現海水準よりも高い旧汀線は確認されず、日本列島等の「見かけの高位旧汀線」はすべて地盤変動の結果であり、現海水 準が完新世の最高水準で、高位海面期はなかったとする低位海面論が今では有力な学説だそうです。とすると縄文海進は温暖化の結果ではないことになります。 温暖化説は地質学からみれば全く頓珍漢ということになります。



過去2万年間の神奈川県の海岸線の変化 神奈川県立生命の星・地球博物館2004

というわけで人為的温暖化といって人類が滅びるなどと騒ぎ立てることは軽率と いわれても止むをえないのではないでしょうか。

大陸移動の結果、今から 4,000万年前、インド大陸がユーラシア大陸に衝突してヒマラヤ山脈やカラコム山脈ができました。このとき、隆起した岩石と二酸化が反応して氷河期が到来。 こうして諏訪出身の天才クライマー平出和也が登攀したK2の未踏の西壁などができたし、いまでもこれらの岩石は二酸化炭素を吸収しつつあるのです。

January 13, 2019
Rev. January 20, 2019


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