東京長高会

秋の講演会

虎ノ門パストラル新館5階ミモザの間 

2009年9月18日

東京長高会主催の秋の講演会にでかけた。学年幹事の小粥、井上、大島、加畑、川村、木内、 岸上、北澤、橘、西沢、山岸、宮崎、小林らが出席していた。

農林漁業団体職員共済組合のホテル「虎ノ門パストラル」はホテルオークラの隣接地にあって贅沢なたたずまいで気に入った場所であった。長らく東京長高会の 会場であったが、2,380億円で森ビルに売却、取り壊し、隣接地も含めて再開発をすることになったそうだ。

今回の講師は同期の才口元最高裁判事と長野高校の後輩のジャーナリスト三神万里子である。

三神万里子氏の経歴

慶応義塾大学環境情報学部卒。日本文藝家協会会員。信州大学経営大学院客員准教授。ジャーナリストとして多数のビジネスや経済関係の論文を執筆する一方、 キャスターとしてNHKや民放に出演。著書『メガバンク決算』(角川書店)、『パラサイト・ミドルの衝撃』(NTT出版)

才口千晴氏の経歴

中央大学法学部卒。破産法の専門家。2004年から昨年まで最高裁判所判事。1997年から99年まで当東京長高会の幹事長。著書『民事再生法の理論と実 務(上・下)』(ぎょうせい)、『特別清算手続の実務』(商事法務研究会・共著)

 

「次世代産業創出と地域経済活性化を考える」:三神万里子

テーマが魅力的なのでわざわざ聞きにでかけてきた。 米国流の学生向け経営学の方法論に従っているようだが次世代産業創出に関して何を言いたいのかついに不明であった。

唯一分かったのは年功序列でエスカレーターに乗って老年になって経営トップになった人は何かをしたいものがないので次世代産業創出ができるわけがないとい う点だ。私はそれはそうだと思う。しかし単に若返れば良いかというとそうでもないだろう。 ヒューマン・リンケージだけでできる次世代産業創出ならいざしらず、世の中を進化させるインパクトあるテクノロジーをベースとする次世代産業創出ができな い理由は明治維新以後の日本の官民の伝統である文系優位・理系差別が本当の理由だと思 う。 一時期バイオ関係プロジェクトの責任者をさせられたとき、開発プロジェクト探しに農水省の研究所に出向いたことがある。本省からやってきた研究費配分担当 らしき若い女性文官を前に必死で自分の研究テーマがいかにすばらしいかを訴えているロートル技官たちを見たことがある。彼らのテーマはどうれも物にならな そうなもので私すら食欲がわかなかったが。彼女はどういう判断基準で予算配分するのか気になった。どうせ選別の能力はないのだからばら撒きでおわるのだろ うなと思ってむなしくなった。文系は理系の人間の頭に閃くもの は理解不能な連中だ。そのような人間に予算配分権をあたえるなどいくら若くでも無理なことだ。そもそも今日の講師からして文系である。 このようなジャーナリストに教育をまかす信州大学も困りものだ。彼女の弟子から次世代産業創出ができる人材がでてくるとは思えない。

地域経済活性化については具体的な提案は聞こえてこなかった。

だいたい長高会も文系がリーダーをしているからマスコミへの露出度が大きいというだけの理由で講師を選んでいるのだろう。歳をとると、大概の話しにはデ ジャビ感があって驚きを伴う話しを聞く楽しみは減る。かといって、 東京大学生産技術研究所のセミナーにでかけて研究途上の発表を聞いても、そ のテーマに資金を提供している人間が文系 中心の日本政府のためか、すべて一周遅れの希望のない二番煎じの研究ばかりで、税金の無駄使いを再確認するはめになる。気が滅入ることおびただしい。こう して日本は没落してゆくのだろう。

 

「司法の現状と将来」:才口千晴

朝日新聞に「一人一票実現国民会議」なる団体が一面広告を出したこと。発起人に東京長高会の会長の新井寿光の名前が見えたことからはいる。同じ長野県出身 の那須弘平判事は 「一票の格差」を合憲としたといって名指しで罷免するように訴えたのに、違憲とした私のほうが沢山罷免支持をいただいたのはどうしてでしょう。ことほどさ ように国民審査は形骸化している。

さて突然の判事指名で儲かっていた法律事務所を売却して1億ちょっとの年収をえた。しかし翌年所得税を判事の年収3,000万円(国会議員は2,700万 円)では支払うことができない。やむをえず銀行から5,000万円借金をし、5年の年収でようやく返済できた。無事死なずに生還したが、もとの仕事にはつ けず、金銭的には少ないものしかできない。

世俗にもどったら世の中は激変していた。小泉革命で法科大学ができ、弁護士も増員されたが法曹の世界にも拝金主義が蔓延し、蟹工船となって二極化して「田 園まさに荒れんとす」となった。

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September 24, 2009

Rev. May 13, 2012


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