奥多摩

鹿倉山(ししくらやま )

2004年2月24日、wakwak山歩会の4人は奥多摩の鹿倉山 (1,288.2m)に登った。その目論見は雪中登山であった。前日の嵐も少し暖かすぎて雪は降らず、目論見ははずれたが、嵐の過ぎ去った後の晴天にめぐ まれ、穏やかな散策を楽しんだ。

鹿倉山は奥多摩湖の奥を二股に分けている岬に連なる山塊である。北に丹波川(たばがわ)南 に小菅川に挟まれ、この二つの川が侵食して出来た山である。青梅駅から奥多摩駅に至るJR線は深くえぐられたV字渓谷の中を進むが、奥多摩湖の深山橋を渡 り、小菅村にはいると山容も穏やかになり、奥多摩渓谷の急斜面に植林した森の威圧的な姿も消え、雑木林の和やかな風景が目に入るようになる。今回のルート は下図の通り、総距離9.2km、累積登り765m、累積下り919m。


八王子駅でのミーティングに失敗し、30分遅れて奥多摩駅に到着したため、西東京バスの小菅村行きはでてしまった後であ る。遅れを取り戻すため、コースを変えて、上野原丹波山線今川登山口までタクシーでできるだけ登ってもらうことにする。タクシーは出払っていて駅前広場は 閑散としていたが、しばらく待つて帰ってきたタクシー運転手に交渉し、雪が行く手を阻むところまでという条件でまとまった。

雪も無く、今川登山口に到着。これでバス停のある小菅村より高度差で200m水平距離で1kmちょっと稼いだことにな る。30分の遅れは挽回しただろう。

大丹波峠に上る途中で伐採した杉を搬出するために索道を使っているところを目撃したが、このような不能率な方法に固執し ている林業者の頑迷さにあきれる。西欧は勿論、アジアも含め、大型森林機械の導入に走っているなか日本だけ、旧弊を正さない姿勢は理解の外である。(広葉樹発電参照

といってもいままで各地で見た植林地でここの杉林が一番手入れが行き届いているとお見受けした。大丹波峠直下の杉の巨木 は見事というほかない。上のほうの伐採地に杉苗を密殖し、林に育ちつつある。地図に広々とした伐採地と書いてあるところはもう杉の苗がかなり育っていた。 しかしこれを今後もいままで通り、間伐し、杉の巨木に育てゆくことができるのかどうかいささか心配せざるをえない。

下の写真で遠くの大菩薩嶺から鹿倉山の方に伸びている尾根は今川峠によって鹿倉山とは切れているように見えても本来同じ 尾根筋である。褐色のところが自然の広葉樹林、暗緑色の部分が植林地である。鹿倉山も同じ樹林帯を持っている。

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伐採地跡で、大菩薩嶺を背景に

一般に鹿倉山の南面は山嶺まで杉の植林地、北斜面は自然の広葉樹林である。自然の広葉樹林は胸高直径40cm位のコナラ が中心で、古木は倒木になっているため、ずっと放置されてきたことを物語っている。そのなかにブナの幼木が育ちつつある。丹沢の南側は最近の気候変動で乾 燥気味となりブナの幼木は育っていないが、北丹沢から北はブナの生育条件を満たしているようである。

この木立のなかに白樺の木がちらほら散見され、いずれもヤドリギをもっているのはなぜかわからぬが、おもしろい。仲間の マーは野鳥にくわしくヒレンジャク、キレンジャクなどの鳥が好んでヤドリギの実を食べるが、消化管を通っても粘着性が失われないので、種子を含んだ粘着性のある糞となり、木の幹や枝に貼り付く ことによって分布を広げるのだという。ヤドリギは落葉樹なら何にでも寄生すようなのでレン ジャクが白樺の木を好んで止まるのか?

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北斜面の広葉樹林 (クリさん撮影)

尾根にでてから3つほど小高い前山をアップダウンすると鹿倉山頂に正午に到着。ちょうど予定の時刻だった。東南は植林に 阻まれて視界はないが、かろうじて富士山を視認できた。西北の方向は雑木林である。木間からかろうじて大菩薩嶺雲取山、七ツ石山、 鷹ノ巣山などが見える。

陽だまりで昼食をとった後、ただひたすら大寺山に向かって歩く。この山嶺を歩いていると時々右手とか左手に一段下がった 平坦地があるのが見える。そしてその平坦地は必ず山嶺から10−20m下がったところを山稜に並行して続き山稜が降り坂になった鞍部で消滅し、反対側に移 行するような規則性がある。ここは古い断層のあとではないかと察した。このような地形はかって中央アルプスの大滝山で見た記憶 がある。

行く手に奥多摩湖とともに遠くに仏舎利塔や三頭山が 見える。次回の目的地だ。途中チラチラと見え隠れしていた仏舎利塔についに到着。そのあまりの巨大さに驚きを禁じ得ない。真っ白に塗り、四方にお釈迦様の 像が金ぴかに塗られて設置されている。仏舎利塔は五重の塔と同じく最上部にのっている九輪塔が重要で、下のドームは土饅頭を模したものと理解していたが、 この白亜のドームに乗っている九輪塔は1本ではなく4本もある。どうも4という数字にこだわった造りである。教義に関係があるのだろうか?近くに寺はな い。全くの無人の地に自動車道路をつけて作ったわけだ。どんな宗教団体がこれを建設したのか何の説明板もないのでわからぬ。「南無妙法蓮華教」と書いた真 新しい墓がそばにあったので日蓮宗の一派を作った教祖さまが信者から金を集めて作ったのかと勝手に推察する。下の多摩湖からも遠望できるが、遠く、ほとん ど目立たない。近くに来て驚愕するわけである。ミヤンマーにゴマンとある仏舎利塔(パゴダ)は民衆の信仰の中心で温かみもあるが、ここではなにか異様な感じ がし、カメラを向ける気力もここで小休止する気分もそがれてそそくさと立ち去る。

仏舎利塔から陣屋に至る尾根は次第に狭くなり、緊張を強いられた。奥多摩湖の水面に落ちそうな急坂を降るにしたがい、サ ポーターをした右ひざが痛むようになるがなんとか無事下山。

陣屋についた時は15:05分、残念ながらバスは6分前に通過してしまった。やむを得ず、深山橋を渡って深山バス停で 16:08分のバスを拾う。結局当初の丹波村発15:47分のバスと同じバスなので計画通りの帰還を果たしたことになる。

町田で反省会。

スケジュールとパーフォーマンス

場所 実時刻 歩数 毎時高度差(m/h) 毎時歩数
奥多摩駅前発

9:35着

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上野原丹波山線今川登山口(h=860m)

10.20発

0

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0
鹿倉山(h=1,288.2m)

12:00着

5,000

410 3,012
昼食

12:45発

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深山橋(h=520m)

15.05着,16:08発

15,780

330 4,627

February 25, 2004

Rev. November 12, 2017


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