那須・塩原

那須岳

2004年5月、wakwak山歩会は100名山の一つ那須岳に挑戦した。 那須岳は 複数の火山の総称で茶臼岳(1,898m)、朝日岳(1,896m)、熊見曽根(1,900m)、三本槍岳(1,917m)などのピークから構成されてい る。 我々は秘湯、三斗小屋温泉(さんどごやおんせん)に1 泊してこの全てを巡ろうというわけである。那須の航空写真をみると気分壮快な登山となりそうな予感がしたが、天気に恵まれてその通りとなった。第1日の登 りはロープウェイのおかげでたったの200mの登坂、第2日でも登り 350m、降りは 700mで体力的にも問題がない。森林限界を超えて吹く風を除き、前回の丹沢主脈縦走より易しいものであった。


第1日

7:30東京駅集合。那須塩原までは東北新幹線。ここでセブンイレブンで第1日と第2日の昼食を仕入れる。黒磯駅からは 東野(とうや)交通バスで那須岳ロープウエイ山麓駅に向かう。ロープウエイも同じ東野交通の経営である。那 須は1997年にタンデム石原隊の ツーリングで2回程バイクで訪れたことがある。その折おなじみの松並木をゆく。石原隊が泊まった山楽も健在のようであった。(Hotel Serial No.75)

西域の美女、「ほうじ」の怨念が固まったという伝説のある殺生石(せっしょうせき)も 昔のままであった。那須岳ロープウエイ山麓駅周辺の記憶は前回は10月で、バイクで寒く、荒涼としていたが、今回は芽吹きの季節で暖かく明るかった。 110人乗りのゴンドラは5分で山頂駅に着く。大勢の一般観光客に混じって登り始めてすぐ、牛ヶ首方向への鉢巻き道を左に分けて草1本も無い荒地を茶臼岳 に向かって直登する。一般客は、茶臼岳を巻く牛ヶ首への道を散策している。右手に茶臼岳を中央火口丘とすれば外輪山に相当する朝日岳の荒々しい姿が目に入 る。その少し左手すぐ後に熊見曽根と遠くに三本槍岳が少し顔を出している。その左手はるか遠方に残雪で真っ白に見える山が見える。家に帰って80万分の1 の広域地図で確認すると喜多方と米沢の間に横たわる100名山の一つ飯豊山(いいでやま2,105m)のあ る飯豊連峰らしい。昭文社の山と高原地図付録の案内書に磐梯吾妻連峰と書いてあるが、磐梯山は三本槍岳の右に見えなくてはならず、磐梯山には雪が無かった という登山者が居たので、飯豊連峰が正しいと思われる。

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茶臼岳より朝日岳と三本槍岳を望む

茶臼岳で昼食とする。西南西の方角、はるか遠く、真っ白い山脈が見える。少し離れて燧ヶ岳らしき姿の山がその左手に見え たので7月の予定に入っている、会津駒ヶ岳だろうということになった。昭文社の山と高原地図付録の案内書には日光連山と書いてあるが、これも会津駒ヶ岳が 正しいと思う。昼食後、火口を時計周りに一周する。火口周から南西方向に無限地獄の噴煙を見下ろす。無限地獄の下には遊歩道と人の姿が見える。低地は姥ヶ 平であろう。

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無限地獄、向こうの台地は日の出平

北西方向には鞍部にある峰の茶屋跡避難小屋と登山者を見下ろせる。鞍部と朝日岳の間にある剣が峰(1,799m)の当面 に朝日岳にゆく登山道が見える。我々はこの難ルートは採用せず、鞍部より三斗小屋温泉に下る予定である。三斗小屋温泉方向の一山越えた谷間にはかってジー プで奥只見周遊のときさまよった田島町があるはずである。

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茶臼岳より峰の茶屋跡避難小屋と剣が峰を見下ろす。遠方に隠居倉と熊見曽根、その向 こうに三本槍岳

茶臼岳から鞍部に降る過程で茶臼岳の小さな外輪山の内側を歩く。この外輪山に平行に火口底に石の列が何本も並んでいる構 造に気がついた。高気圧に覆われているため殆ど風の無い日ではあったが、さすが鞍部では風が絞られて、風速10m/sec位に感ずる。明礬沢越しに鬼面山 (1,616m)方面を見ると雄大な光景を楽しめる。ここに見えるのが今では降り専門の登山路だ。

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峰の茶屋跡避難小屋より明礬沢と鬼面山方面を見下ろす

ここで記念撮影。風が強くカメラが倒れそうである。

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峰の茶屋跡避難小屋で (マーさん撮影)

峰の茶屋跡の鞍部から下の避難小屋に向かってガレ場を降る。途中でダケカンバの林に入る。避難小屋はダケカンバの林の中 に静かにたたずんでいた。

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避難小屋より峰の茶屋跡を見上げる

避難小屋から三斗小屋温泉までは隠居倉のある峰の等高線にそって歩くように道がつけられている。三斗小屋温泉の煙草屋と 大黒屋の2軒の宿はひっそりと山の中にあった。1142年に発見されたという古い温泉だが、かって大峠を越える街道筋 にあったのだが、この街道も今は使われなくなって、いまや登山者だけが利用する秘湯となってしまったようだ。それでも那須10湯の一つである。予約を入れ たのは大黒屋である。(Hotel Serial No.279) 一応温泉旅館のため、シーツも浴衣もサービスしてくれる。シラビソも混じる落葉樹林の芽吹きをながめながら一風 呂浴びて、ロビーのコタツでビールをいただく。夕食も旅館らしく部屋にお膳を運んでくれる。外はクマも出没する那珂川の支流 の湯川の水源地帯にある。この温泉がすなわち水源となっている。電源はディーゼル発電に太陽電池とゼファーの風車もあった。9時の消灯後はバッテリー とダイオードが廊下とトイレの照明を受け持っている。

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三斗小屋温泉大黒屋の湯殿

本日歩いたルートは全長4.67km、累積登り256m、累積下り464m。

第2日

5時起床。天気は下り坂で曇りである。6:45には宿を出発。隠居倉に向かって登坂開始。温泉神社で旅の安全を祈願して から緩やかなスロープを登ってゆくと登山路脇に源泉から温泉をひいているらしい、集水桝が点々とある。500m位登ると噴気している源泉地帯に達する。笹 原の中にダケカンバが散在する風景は平標山を思い出させる。尾根筋に達 すると眼前に茶臼岳が目に入る。隠居倉からの展望はすこぶるよろしい。隠居倉山頂はハイマツ帯である。

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隠居倉ー熊見曽根間のガレ場より茶臼岳と遠くに日の出平を望む

隠居倉から熊見曽根への縦走途中にはガレ場がいくつかある。ここから望む茶臼山は迫力がある。眼下の沢に流れ込んだ水は 遠くに見える日の出平と南月山を大きく迂回してやがて那珂川に流れ込むのだ。熊見曽根に達するころは雲が増え、見えていた朝日岳のピークも雲に中に隠れて しまう。視界の遮られた朝日岳に往復してもつまらないと。予定を変更し、三本槍岳に向かう。清水平もほぼ霧の中であった。まだ残雪がある。花には少しはや いが矮小化したミネザクラがしっかりと咲き誇っていた。シャクナゲも咲きはじめていた。清水平から小高い丘に登り、北温泉分岐を通過して一段高い高原の道 を緩やかに左に曲がり西進すれば三本槍岳の山頂に至る。ここで昼食。雲のなかで視界は全く無い。 かわりに塩崎慎治氏が国 土地理院の地図から作成した3Dグラフィック を三本槍岳山頂から俯瞰する360度パノラマで仮想眺望をたのしんでください。茶臼山山頂からは飯豊山や会津駒ケ岳は残雪で白く見えた。

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清水平

北温泉分岐に戻り、ここから那須10湯の一つ、北温泉に向かって下山開始。途中、赤面山(あ かつらやま)への分岐点さえ間違えなければ、1本道だ。中の大倉尾根の緩やかな斜面を下ってゆくとダケカンバの林に次第にブナとミズナラが 混じるようになる。丁度 、指標植物のダケカ ンバの下限地点 である標高1,500mである。那須岳周辺は国有林で、落葉広葉樹が自然のままに保護されているため、老木が多く、気分が良い。ブナの幼木も育っている。

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ミズナラ、ブナの落葉広葉樹林とシオヤシオ (マーさん撮影)

中の大倉山に達するころ、スキー場のロープウェイを利用して登ってきた一般客の一団が新緑を楽しみながら散策している。 どうもシロヤシオがお目当てであるらしい。一般客ともわかれてただひたすら北温泉に向かって下山。北温泉は余笹川の谷間を占拠して1軒だけある温泉だっ た。ここから谷の反対側の斜面を登り、北温泉駐車場を抜け、バス道路にでるまで小1時間かかった。バスは1時間に1回だけである。途中、那須10湯の一つ 旭温泉が倒産して廃墟になっていた。那須10湯の一つ、大丸温泉は川そのものが露天風呂になっているとのことだが、ルートからはずれて立ち寄れなかった。

スケジュールとパーフォーマンス

日付

場所 予定時刻 実時刻 歩数 毎時高度差(m/h) 毎時歩数

第1日目

東京駅集合

7:30集合

7:30集合 - - -

5月 26 日(水曜日)

黒磯より東野(とうや)交通バス

9:36着、9:55発

9:55発

- - -
  那須岳ロープウエイ山麓駅

10:55着

10:55発

-

- -
  ロープウェー山頂駅(1,680m)

11:15着

11:15発

0

- -
  茶臼岳(1,898m)

12:00着

12:00着、昼食

- - -
  峰の茶屋(1,620m)

12:30着、昼食

- - - -
  三斗小屋温泉の大黒屋泊(1,470m)

15:00着

15:30着

12,000

-

3,200

第二日、27日(木曜日) 三斗小屋温泉

7:00発

6:45発

12,000 - -
  隠居倉ノ頭(1,819m)

8:30着

8:15着

15,000

232

2,000

  能見曽根分岐(1,870m) 9:00着 9:00着 16,900

-

2,530
  ザックを置いて朝日岳往復(1,896m)

9:45着

不実行

-

- -
  清水平(1,820m)

10:00着

9:30着 18,480 - 3,180
  北温泉分岐(1,856m)

10:30着

9:45着 19,300 - 3,280
  三本槍岳(1,917m) 11:15着 10:30着、昼食11:00発 20,900 - 2,130
  北温泉分岐(1,856m) 11:40着、昼食 11:40着 22,960 - 3,121
  北温泉(1,100m) 15:00着、

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  北温泉入口バス停(1,100m) 16:03発 14:40着 36,768 252 4,600
  黒磯駅 16:55着、17:11発

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片道バス代金:1,300円、ロープウェイ:650円、大黒屋宿泊代金:8,800円

装備

山行装備:山小屋1泊登山ていどのもの。ストック・雨具必帯、サポーター、風対策。

食糧

食糧:ミカン、チョコレート、ビタミンドリンク、イナリズシ、水1.5リッター、非常食

May 28, 2004

Rev. November 28, 2017


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