2005年の航海日誌

2005年2月4日、東北東の風、2.5m/sec。回顧録執筆で忙しくしていたが気にはしていたのだ。1ヶ月半ぶりに点検に訪れる。マキシクルーザー14隻分の新しい桟橋 の鋼管杭の打設中だった。4月までに完成するらしい。そして4月になれば当マリーナも開港10年だそうだ。

Rocaは異常なし。3ヶ月半ぶりにエンジンをかける。一応回転するが、 バッテリー弱く、さすがに点火しない。プラグが濡れた可能性がるため、プラグを掃除してエンジン始動。1時間15分ほど充電。 冬季のジブセール保護のため、セールをキャビンに取り込む。新品のバウフェンダーを取り付ける。ムール貝で重くなった固定フェンダーはそのうちに処分しよう。カモメの糞を掃除し終わるころ陽が落ち、マリーナの夜景を楽しむ。

バウフェンダー

桟橋

イーストピア

デコレーション

2005年5月2日、回顧録の執筆に続いて、読書録、言語録、忘備録の再構成、ならびに、シエラザードのクルーもしていた関係で少し足が遠ざかったロカを3ヶ月ぶりに訪れた。外見異常なし。エンジンも一発でかかる。45分間アイドリングで充電した。このときエンジン直下の前方から水漏れを発見。ベイサイドマリーナのメカニックの鈴木さんにチェックしてもらうと、水の放出先は4つあるという。

@パイロット水(エンジン回転中は常時ここから出る)

Aプロペラボス(前進時ここより排気とともに出る)

Bアイドルポート(アイドリング時、プロペラボスの背圧がたかくそこから出られない排気ガスがここらか少量の冷却水をパッパッと伴ってでる)

Cアッパーケース水(オイルパン回りの冷却水の一部がウォーターポンプサクション側に流れ込み、あふれた水が水位調整穴からチョロチョロとオーバーフローする)

で私が今回初めて見たのはこのCアッパーケース水であったらしい。したがって全て正常と判明した。

2005年7月11日(月)、南西の風、4m/sec。梅雨の間の晴れ。明日からまた雨だ。5月2日以降フランス旅行、登山、バイクにいそがしく、船に割く時間がなかった。2ヶ月ぶりの点検に訪れる。全く問題なし。エンジンを約1時間、アイドリングさせ、バッテリー充電。水タンクのフラッシングを行う。藻が出てくる。船底の汚れをブラシで落とす。これで夏の準備完了。

2005年8月25日(木)、北西の風、3-6m/sec。台風11号接近のためもやい点検に訪問。異常なし。今年はシエラザード号のクルーばかりしていてこちらはご無沙汰。ようやく論文作成も完了したので台風後のセーリングを計画中。

2005年8月27日(土)、北東の風、2.5m/sec。晴れのち曇り、台風一過の穏やかな海でROCAにとっては今年初めての処女航海を行う。エバーフィールド氏にクルーを勤めていただいた。9:04鎌倉高校前駅を 一緒に出発、11:15には出港できた。取り込んでおいたジブセールを上げて、ファーリングするのに多少余計時間がかかった。

をとるエバーフィールド氏

横須賀港外にキティーホークが錨泊している。台風を避けるためと報道されていたのですぐわかる。海上自衛隊の自衛艦も出ているなと思ってみているとドンドン近づいて目の前を横切る。一般人を大勢乗せているので何かのイベントだろう。 ドックイン準備のため、根岸沖に停泊してLNGタンクの窒素ガス置換をしていたメンブレン構造のLNG船を大回りして横須賀港に帰っていった。

帰宅しインターネットでそのシルエットから照合すると「はつゆき」型第一世代汎用護衛艦DD とわかる。船首に125と大書してあるので横須賀地方隊第21護衛隊の「さわゆき」であろう。2,950トン、45,000馬力のIHI-ロールスロイス・ガスタービン駆動艦で30ノット出せる。 「亡国のイージス」にでてくるミサイル搭載のイージス艦DDGではない。

ロカ号の前を横切る汎用護衛艦”さわゆき”

そうこうしているうちにトールシップが南下してくる。横帆は展帆していないが縦帆でセーリングしているらしい。非常にゆっくりとした動きだ、これも目を凝らすと一般人が大勢乗っている。 金沢八景沖で反転して帰途についた。

 帰宅後、インターネットで検索すると大阪市が建造した帆船”あこがれ”と判明した。帆船”日本丸”公開20周年を記念して「帆船日本丸」と大阪市の「帆船あこがれ」2隻の帆船を体験できる海洋教室のクルーズであったようだ。

大阪市の帆船”あこがれ”

今日は珍しい船に出会ったと満足して2:30に帰港。ジブはファーリングしたまま帰る。シーメンズ・カフェ、ピアー1で昼食。生ビールで乾杯。釣具店、船具店をひやかしたのちマ クドナルドで100円バーガーと水を堪能。隣は同じ米系のスターバックスだ。客をつらつら眺めるに、それぞれが収入に応じて幸せをかみしめているという構図だ。 我々も例外ではない。

2005年9月01日(木)、東の風、2m/sec。晴れ、前回は船底の清掃もせずセーリングして走りが悪かった。そこで船底の フジツボをブラシでこそげ落とした。シーリング材でよごれた窓回りをワックスで拭く。ワックスに含まれるアセトンできれいになる。キャビン内も購入してから一度も清掃しなかったキッチン・トイレ回りの拭き掃除、食器類の水洗をした。燃料アルコール・着火器の補充、いままで山のキャンプ用やかんで代用していたものを専用のホーローのやかんにした。

キッチンのハウスキーピング

トローリングロッド

殺風景だったバルクヘッドにはオルセー美術館で購入したテオ・ファン・レイセルベルヘの「舵を取る男」を飾った。額縁は平塚美術館で買い求めたものである。

舵を取る男

ヴェガ号時代に購入したトローリングロッドはカジキ(ブルーマーリン)用のもので無用の長物だが一応手入れをした。 一段落し帰る準備をしていると桟橋の下でバンという音とともに何かが外れる音がして、水道水が激しく噴出しはじめた。携帯で連絡するとメンテナンスクルーが鋳物製のティーを持ってやってきた。海水で鋳物が腐食し、よく割れるのだそうだ。

2005年9月03日(木)、東南の風、5m/sec。晴れ、風はやや強かったがS.K.を客人として出港。ライフジャケット着用とブイを定位置に設置し忘れたところがまだ未熟。 少し風が強かったので安全のため1ポイントリーフ。土曜日にもかかわらず、海上にいるヨットは3-4隻程度。海の季節は終わったという雰囲気である。しかしアウトレットは家族でにぎわっていた。昨年ヨットのディーラーからプレゼントされ、船内に放置していたETAPのロゴ入りのお揃いのTシャツとタオルを持ち帰る。バルクヘッドに飾った額縁は船のゆれにともない振り子のように動く。何らかの対策が必要。

2005年11月11日(金)、東南の風、1.5m/sec。曇り。13日(日)に来日中のトビーが乗りたいというので点検に出かける。額縁は両面テープで振れ止めする。10月1日のボートショウ用に貸与したときドジャーのミシン糸がほつれているとうので修理してもらった。どこが修理箇所か点検する新しい糸が同色でどこを直したのかよく分からない。船外機をねじって引き上げなかったのでクラッチのリモコンケーブルが船体に当たり、傷がついた。これは貸与先の責任なので、修理するよう連絡した。エンジン始動する も冷却水が出ない。排出口につまりがないか点検するも異常なし。プライミングウォーターをアイドル時排気口より注入して始動したところうまくいった。コックピット床からなぜか雨水がもれ、工具箱に入り、工具がさびてしまった。 普段水が入るところでないので水洗水が入ったと考えられる。工具は水をぬぐい、防錆スプレーで救済。新品のスパークプラグ1個はさびがひどく使えなくなった。マストトップの風見が強風で緩んだらしい。これで2回目だ。 外のヨットも同じ被害をうけている。これは重要部品でないのでそのままにして様子を見よう。

2005年11月13日(日)、東南の風、1.5m/sec。晴れ。前日は低気圧に聞き込まれる北風が9m/secであったが。東方海上に去り、高気圧に覆われた本州は良い天気だった。9月3日にワンポイントリーフしたままだったため、リーフフィングロープがもつれてしまってメーセールのホイスティングに手間取る。そよ風程度の風で3時間以上セーリングしたが金沢八景沖を越えることはできなかった。毎年1回のセーリングを楽しみにしているトビーは満足の体。ワイト島近辺でセーリングしている幼友達とボートをシェアするか考慮中とか。久しぶりにガソリンタンクも 満タンにする。18.5リッター、リッター148円であった。弁当を買い忘れて、備蓄のアンチョビの缶詰めとチリ入りのビスケット、リンゴだけで腹の足しにしていたため、陸に上がっての生ビール、ジョッキ2盃はうまかった。その足でチャイナタウンに移動し、北京飯店で家族久しぶりの会食をする。(Restaurant Serial No.272) 目下英国は住宅バブルで価格が高騰し、自宅を買うべきか、待つべきか、安いフランスに持つべきか悩んでいるという。かって日本のバブルを目撃した人間にとってアドバイスはむずかしい。

舵をとるトビー

2005年11月20日(日)、東の風、5m/sec。晴れ。今日のお客さまはバイク仲間の徳山四郎氏だ。グリーンウッド氏とは同年輩だが、バイクは大先輩。目下富津岬でウィンドサーフィンを訓練中でいつか東京湾をウィンドサーフィンで横断するのが夢という。本日はその予定コースの下見というところ。

昨日の19日は高気圧に覆われ東京湾は一日10m/secの北風が吹いていた。マリーナに到着した10:30にはまだ7m/secの北風が吹いていた。11:30には準備万端整って出港した。メーンセールを1ポイントリーフで揚げ、ジブシートを引いてジブ展開中、大きな波にガブリ、前歯をウィンチに したたかぶつけてしまった。も少しで前歯を失うところだった。波が高く舳先が波に突っ込むたびに何度もスプレーを浴びる。徳山氏は艇が大きくヒールしたときティラーを持ったままコックピットの中に転落。

風は次第に東にシフトし、三浦半島と並行して帆走する。金沢沖をアッという間に過ぎ、住友重機の門型クレーンとその向こうに二子山が見える。1時間半で観音崎に到着。ここで反転し同じ1時間半かかって帰港した。途中昼食を交替でとる。漁船が殆どでていないので快適なセーリングだった。 ガソリンを18.5リットル補給する。単価はリッター145円である。たっぷりスプレーを浴びたためジブ、メーンとも再度掲揚し水洗する。セールが乾く間、コーヒーを沸かし、キャビンでゆっくりくつろぐ。

徳山氏はボードセーリング仲間から教わったというiModeの海上保安庁東京湾海上交通センター気象情報の風向・風速情報を使ってみせてくれた。相模湾を見下ろす丘の上に住んでいると東京湾を吹く北風が分からない。いままで出発前にPCのスイッチを入れてみていたが。これは便利と早速家に帰ってURLを探して、ブックマークした。

徳山氏はセーリングは思っていたより優しかったとつぶやく。それはそうだろう。よくも70才ちかくなってボードセーリングに挑戦しているものだと感服する。夕方4:00徳山氏は湯河原に向かってバイクで去っていった。

舵をとる徳山氏

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