読書録

シリアル番号 768

書名

星と祭

著者

井上靖

出版社

角川書店

ジャンル

小説

発行日

1975/3/10初版
1994/6/15第23版

購入日

2006/4/21

評価

角川文庫

鎌倉図書館蔵

井上靖の小説は若い頃、朝日に連載された「氷壁」を奥穂高登山の後の2002年に読み返したり、「額田女王」を昨年読んだくらいである。

S.K.が西国巡礼から帰って、昔、読んだこの本を読み返したくなったという。湖東の十一面観音、山、ヒマラヤがテーマという。井上靖の登山の話ならいいだろうし、今年は近畿めぐりをするつもりなので参考になるだろうと、図書館から借りて読み始める。

これは小説というより紀行文だ。井上靖は自分で歩いた経験を紀行文としてではなく、小説の中に織り込んでしまったのだろう。

琵琶湖の主として東岸に平安時代に造られた十一面観音像が沢山あるという。その殆どは信長によって寺の伽藍は焼かれたが村人が像だけ助け出して40体以上残っているらしい。湖北にある渡岸寺(どうがんじ)の十一面観音像は国宝に指定されていて拝観は可能だというが、かなりのものは秘仏扱いであるという。 渡岸寺は来る能登半島・若狭湾めぐりのコース上にあるのでチョッと立ち寄るのもよいだろう。

作者が次に訪れるのはヒマラヤだ主人公がニューデリーからカトマンズに飛ぶときダラウギリ、アンアプルナ、マチャプチャリ、マナスルを見る場面がある。マチャプチャリは東慶寺書院で故井上禅定前住職がポカラの菩提樹の下で座禅をしている写真で知った山である。なつかしく読んだ。

主人公達はカトマンズから徒歩で14日かかるルクラまで小型機で飛ぶ。ルクラからは徒歩でナムチェバザール経由タンボチェを往復するのである。このルートは今では観光化されて30万円程度で気軽に出かけられるようだ。ポカラは雨のため断念したようだ。


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