続日本の農業改革

最近の社会現象につき、グリーンウッド氏かっての職場仲間をメンバーとする非公開のラウンドテーブル21(一種の掲示板)に投稿した雑感と対話録です。

日本の農業改革」という議論をしてから3年経過した2006/11/27の朝日に2007年4月から施行される農政改革関係3法案が骨抜きになったかもしれないという記事がでた。これを契機として再びにしのさんと意見の交換をした。


ウエストフィールドさん、

ちょうど3年前、日本の農業の再生法についてにしのさんとマッカーサーの残した農地改革の弊害を克服するために大規模経営を模索しなければならないのではと議論し、農水省も同じ認識だと ウエストフィールドさんが調べてくださいました。しかし同時にそのような改革はむずかしいだろうと指摘されましたね。

この議論をしてから3年経過した今日の朝日新聞に2007年4月から施行される農政改革関係3法案により「戦後最大の農政改革」することになっていた。その目玉は農地を集約して国際競争力を高めるためにこれまで全ての農家に一律に交付してきた補助金の対象を広い耕作地を持つ農家だけにしぼるということにあった。ところがJAや現安倍政権の松岡利勝現農水相らの横車で経営計画を自治体に認められた「認定農業者」に加え、小規模な兼業農家が共同で営む集落営農も補助金対象とされたため、従来自然発生的に生まれてきた小規模兼業農家から土地を借りて本気で農業に取り組んでいる大規模農業従事者から貸しはがしが発生し、本気で農業に取り組んでいる大規模農業従事者が経営難になるかもしれないということが報じられていました。

自民党の体質である補助金バラ播き農政が政治家とJAの横車で生き残ったわけで、農政改革関係3法案は骨抜きとされたようですね。やはりウエストフィールドさんの予言通りでした。

先日バイク仲間と茨城県の水木浜を望む絶好の丘の斜面に建つはぎ屋旅館に一泊旅行をしました。宿の主人の話によると、70年に一回の金砂(かなさ)神社の大祭礼が行われる水木浜はかって幅100メートルあったということです。しかし河口と水木浜の間に日立港を築いた結果、久慈川の漂砂が途絶え、100mあった浜は急速に痩せ、ついに無粋な防波堤を築き、テトラポットを投入せざるを得ない事態になってしまったということです。折角巨額の税金を投入した肝心の日立港は久慈川の砂で埋まり、毎年ドレッジングせざるをえなく、使い物にならないとのこと。自然の節理を無視した行政による税金の無駄使いが自然から強烈なしっぺ返しを受けているという構図ですね。

宿の主人は自然石を使った沈堤を沖に建設し、浜を再生する案を県に提案しましたが漁民の反対で頓挫してしまったそうです。漁民は沈堤は漁礁になり長期的には漁業のためには良いことを知ってのですが、目の前に差し出される保証金ほしさのために反対しているの だそうです。漁業をまじめにせず、保証金もらって遊び暮したほうがよいといわけです。保証金は麻薬のようなもの。このようにして望ましい政策をゆがめているようです。

最近は浚渫費を節約するために漂砂が浜に沿っ流れるように橋で陸と連結する島式漁港が農水省によって考案されていますが産業用の巨大な港に適用されたとは聞こえてきませんね。

 

 

 

グリーンウッドさんへ/ウエストフィールドより

ご無沙汰しております。

朝日新聞は上海の反日デモの報道姿勢が嫌われて1,000万部から600万部へと発行部数が落ちたとある人から聞きました。

その後、朝日の社長も替わってかなり中立的な姿勢になり、紙面も充実してきたように思います。

今回の報道に深みは感じられませんが、いいところを突いていると思います。

3年前には官僚がよく勉強してよい農政改革シナリオを描いて法案をまとめているように思っていました。

しかし、小生は補助金なしで日本の農業を維持するのは、グローバリゼイションの進む中では本質的に無理と思っていました。

朝日の報道はそこに目をつけた自民党が補助金を使って、農民票をコントロールしようとする意図を読みとったからだと思います。

直感的には集落営農はそれ自体は必要な形態かもしれないと思います。しかし、認定農業者と共存共栄できるような仕組みのないままに進めるのは、官僚/政治家の怠慢ではないかと思います。

このままでは本間正義教授が「骨抜きどころか認定農業者らを阻害」するので「第三者による仲裁機関が早急に必要」と話されておられるのはもっともなことと思います。

おわり
 

 



ウエストフィールドさん、

朝日がそんなに危機的な落ち込みをしていたのですか。NHK以上ですね。自分のことは報道しないので、朝日しか読んでいない者はメクラ同然でした。どうりで最近の報道は多少良くなったと思います。

食料安全保障として世界中の政府は自国の農業に補助金を出して支援してます。いわばWTOの聖域になっているので、そういう意味で補助金は必要悪なのでしょうが、あくまで健全な農業の育成が目的であるべきで、怠け者を育成してはならないわけですよね。民主党も役に立たないし、どうすればよいのでしょうか。

近々発生すると政府が心配している東海地震が発生すれば浜岡原発の風下320km以内に住む我々は自宅を捨てざるをえないかもしれず、無責任な日本政府を見限ってどこか外国にでも移住するしかないのではと多少心配になっています。

グリーンウッド

November 29, 2006

Rev. October 30, 2007


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