ノースウエスト・アース・フォーラム

グリーンウッド書簡

沈まぬ太陽

川上さん、

ようやく「沈まぬ太陽」のアフリカ篇が手に入りました。

私も若い頃、担がれて組合の執行委員になったことがあります。しかしなぜストライキをしただけで主人公のモデルとなった東大法学部出の小倉寛太郎氏が遠島 されてしまったのか今まで理解できませんでした。JALとはとてもいやらしい組織としてしか認識していませんでした。しかし実情は時の首相が乗ったJAL 便が到着するときにストをうったことに驚愕した運輸省の役人が報復処置をせよとJAL経営陣に圧力をかけたためとナゾが明かされました。そしてJALの立 て続けの事故の国会審議の過程で主人への不当労働行為が組合から明らかにされ、世間の注目を浴び、主人公の名誉は中央労働委員会で回復されるというドラマ 用意されていました。

アカ呼ばわりして差別する手法は江戸時代からある役人の陰湿な悪癖ですね。健全なるチェック機構が欠落しているからでしょう。JALもしかし、役所の過干 渉のためか、結局破綻し、因果応報がめぐってきたようです。今後、こういうこともなくなるのではないかと多少希望を持ちたいのですが甘いでしょうか?

この小説は半分は紀行物で、川上さんが感情移入したカラチもでてきました。私はカラチはほんの一泊での乗り継ぎでしたのでラクダの荷車、黄炎木の黄色の花咲くホテル、白亜のカイデ・アーザム廟などの良い記憶しかありません。

単身ナイロビに移った主人公はサファリと狩猟に熱中して精神の平衡を維持する模様が描かれます。大地溝帯の縁にあるマサイ・マラ地区狩猟区でライオンを、 ツアボ地区では象を、アンボセリ地区ではバッファロー狩りをするのです。海抜1,700mのナイロビの南西にあるンゴング・ヒル、フラミンゴの居るナイロ ビの北西160kmのナクル湖にも立ち寄り、ナイロビからはキリマンジャロが見え、ヴィクトリア湖にも出かけ家族同伴でタンザニアのンゴロンゴロ保全地 区、セレンゲティー国立公園を廻るという豪華版です。

1985年の米映画、「愛と哀しみの果て」 (Out of Africa)の舞台と重なるなとおもいながら読みました。これも実話をベースにしていました。

今後、このような紀行文を読むときはグーグル地図を使うと書かれていなことも分かり、現地に大金かけて出かけることもないなと思ったしだいです。

ところで日本国の租税収入が36兆円、教員・軍人を含む役人の給与総額35兆円では国家は完全に破産しているというのに事業仕分けとか普天間とかのままご と遊びだけで世の中、静かですね。どうなっているのでしょうか?江戸時代末期のような状態になっているのに。昔、貧しかったころは危機感を感じて若者は革 命が必要と立ち上がったものですが、豊かさで「ゆで蛙」になってしまったということでしょうか?

グリーンウッド

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April 27, 2010

Rev. July 4, 2010


2011/2/12に2009年のアカデミー賞映画「沈まぬ太陽」を4時間通して一挙にTVで観る

小説ではよみ落とした台詞も発見。

February 12, 2011


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