アラブ首長国連邦

1972-73年にロンドンでグリーンウッド氏が設計に携わったアラブ首長国で完成真近のLNGプラントを試運転するために1976年にアラビア湾の中心にあるダス島に約7ヶ月間滞在した。

赴任はパキスタンのカラチ経由でアブダビに入った。当時は何事もゆったりと時が流れ、カラチで1976年6月27日、旅の中継ぎの1泊をしていた。 宿の外に黄色い花をつけたコウエンボク(黄炎木、イエローフレーム)が植わっていたのを強烈に覚えている。ラクダがアスファルト道路を荷車を引いて歩いているのには驚いた。

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パキスタンで荷車を牽くラクダ

翌日タクシーで白亜のモスクを訪問し、海を見た。白亜のモスクには運転手の案内で素足で入ったことを覚えている。気温は高かったが、素足で触れる大理石の床がひんやりとし、空気はカラッとしていてモスク内部は快適であったことを覚えている。

それはグーグル地図で調べるとカラチの中央にあるカイデ・アーザム廟(Quaid-e-Azam) であることが分かった。パキスタン建国の父、ムハンマド・アリー・ジンナー棺があるところだ。

 
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カイデ・アーザム廟

カラチからアブダビまではガルフ・エアーだったと思う。ご老体がパンジャビ地方の民族衣装であるダブダブのシャワール(サルワールSalwar)というモンペみたいなものを佩いていたのが印象的であった。上着はカミーズ(Kameez)というのだそうだ。

アブダビからはベクテルー千代田ジョイントベンチャーがチャーターしている自家用機ダグラスDC-3で160km沖合いにあるダス島に入った。

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自家用機DC-3でダス島へ

DC-3はダグラス・エアクラフト社(現ボーイング社)が1936年に開発した双発のプロペラ旅客機・輸送機である。ア メリカ軍用輸送機としての制式名称「C-47スカイトレイン Skytrain」、イギリス軍用輸送機としての名称「ダコタ Dakota」でも知られる。飛行性能と輸送力・経済性を高い水準でバランスさせた希有な機体であり、1930年代〜1940年代において世界の航空輸送 変革の原動力となった不朽の傑作機である。この航空機は1970年代も建設現場で老骨に鞭打って働いていたのである。ボロボロではあったが、3年間の建設 期間中、 毎日飛んでも事故を起こすことはなかった。

ダス島はアラビア湾の真ん中にある長さ2.5km幅1.5kmの島である。エルブンドク、ザクムなどの海底油田からパイプで送られてくる原油から随伴ガス を抜いて、ストリッパーで蒸気圧を調整し、タンクに蓄え、タンカーに出荷する荷役設備がある。LNGプラントはこの随伴ガスを圧縮、精製、冷却、液化する ものである。

完成し試運転中のプラント

LNGプラントの心臓部は多成分冷媒を圧縮するコンプレッサーである。下の写真はGE製の蒸気タービンで駆動されるドレッサー製の遠心式圧縮機と手前はエリオット社製のプロパンコンプレッサーを駆動するGE製の蒸気タービンである。

LNGプラントの心臓部4万馬力の多成分冷媒コンプレッサーの前で

3ヶ月で滞在ビザがきれた時バーレンに出国し、休暇を取ってから再入国した。下の写真はバーレンでの地元の人々である。

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バーレンのスーク

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ロバ

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屠殺待ちの羊

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鍛冶屋

2011年エジプトで親米派のムバラク政権が倒れたアラブの春以降、バーレンでは多数派のシーア派住民が暴動をおこしたが鎮圧される事態となって、くすぶっている。

November 8, 2007

Rev. February 24, 2013


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