'99年4月


「エネミー・オブ・アメリカ」 - Enemy of the State -

 トニー・スコット監督、ウィル・スミス、ジーン・ハックマン、ジョン・ボイド、リサ・ボネッド。
 国家による個人の監視というのはネタ的にも面白い。一人の弁護士が、国家レベルの議院暗殺事件に巻き込まれ、監視衛星や盗聴を駆使する敵と対決するサスペンス。テンポはいいので、それなりには楽しませるのでだけど、実際は主人公はバタバタしているだけの映画。ネタも面白いし、俳優もいいんだけど、なんか散漫で 面白みがなかった。

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「MARCO母をたずねて三千里」

 監督楠葉宏、原作エドモンド・デ・アミーチス。
 なんでこんなの観たんだろう(^^;)。
 ご存じのアニメ。19世紀、不況にあえぐイタリア、南米へ出稼ぎに行った母を追って、9歳のマルコは猿のアメディオと船に乗る。まあ、特にどうという感想もないのだけど、劇場用に上手くまとまっているし、感動物語としては上手いと思う。
 部分的にCGを少し使っているシーンがある。特にどうという事もない使い方だけど。


「ヴァージン・フライト」 - The Memory of Flight - ☆

 ポール・グリーングラス監督、ケネス・ブラナー、ヘレン・ボナム・カーター。
 MNDという不治の病に侵されているジェーンは車椅子の生活をしているが、その望みは処女喪失。裁判により社会奉仕活動を命じられたリチャードはジェーンのボランティアとなる。
 ぎこちない関係の二人が、やがて心が通じていく姿が感動的。ストーリの実際は、ジェーンを通じて、自分自身の問題を克服していくリチャードの物語。飛行機の使い方とか、なかなか上手かった。英国の郊外の風景も綺麗。

 ヘレン・ボナム・カーターが主演している「鳩の翼」を見逃したのは残念だった。

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「共犯者」

 きうちかずひろ監督脚本、竹中直人、小泉今日子、内田裕也、大沢樹生
 Vシネマの続き、らしい。前作は未見だけど結構面白そうな感じはする。
 伝説のブラジリアン・マフィア、カルロスが刑務所から脱出、復讐すべくヤクザ組織を狙うが、その殺し屋と対決する事になる。夫の暴力に苦しむ小泉今日子演ずる聡美、この肌の荒れ方がリアルでいい。
 大味なアクション、漫画のような内田裕也+大沢樹生の兄弟の殺し屋。いかにもVシネマっぽい、安っぽさもあるけど、それはそれで気合いが入って作っているようで楽しめた。

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「隣人は静かに笑う」- Arlington Road - ☆

 マーク・ベリントン監督、ジェフ・ブリッジス、ティム・ロビンス、ジョン・キューザック。

 主人公は妻を失った心の傷が癒えない大学教授のマイケル。彼の専門はテロリズム。近所に引っ越してきたラングル一家と知り合うが、やがて彼らに疑惑を抱き…。実にうまい展開。最近はしつこいどんでん返しの映画が多くて食傷気味。でも、ラストで一発"やられた"と思った映画はホントに久しぶり。面白かった。
 ティム・ロビンスの不気味さが実にいい。

「Arlington Road」Official Website


「名探偵コナン 世紀末の魔術師」

 劇場では三作目。
 まあ、観る程の映画じゃないんだけど、なんとなく入ってしまった。ロマノフ家の秘宝"インペリアル・イースター・エッグ"を巡る物語。怪盗キッドも絡んで単なる活劇になってしまっている感じがする。劇場向けにちょっと豪勢にしたという事か?


「虹の岬」

 奥村正彦監督、三國連太郎、原田美枝子。

 昭和19年、歌人の川田順と大学教授の妻の祥子が短歌を通して出会う。三年後、祥子は家族を捨て川田と暮らす事になる。こういった中年(老年?)の恋物語だけど、「時雨<しぐれ>の記」と同じ様な観客をターゲットにしていて、ストーリ展開も工夫が無くて詰まらない。


「リトル・シティ」- Little City -

 ロベルト・ベナビフ監督脚本、アナベラ・シオラ、ジョン・ボン・ジョヴィ。

 主人公は画家志望のアダム、その恋人のニーナ、その他浮気、復縁、同性愛で絡み合った五人。現代米国的なトレンディ・ドラマみたいな、くっついたり離れたりなストーリ。最後にはなんとなく収まってオメデトウという感じ。そこそこは面白いのだけど、観終わっても残る物がほとんど無い。


「コキーユ・貝殻」

 中原俊監督、小林薫、風吹ジュン。山本おさむのコミックが原作。
 個人的には邦画の生涯ベスト5には入っている「櫻の園」の中原俊が監督という事で過大に期待はしていたけど、実は不安の方が大きかった。上手くはまとまっているけど、素晴らしいという程では無い。「Lie Lie Lie」もイマイチ面白さに欠けていたし、ちょっと残念。

 同窓会で30年ぶりに再会した二人。家庭にも仕事にも恵まれているが平凡な生活を送っている浦山(小林薫)、離婚し故郷でスナック「コキーユ(貝殻)」を営む直子(風吹ジュン)。初恋の想い出から中年の恋へと変わっていく、二人の純真さの描き方はなかなか上手い

→ 「コキーユ・貝殻」Official Website


「ポーリー」- Paulie -

 ジョン・ロバーツ監督作品。ジーナ・ローランズ、トニー・シャローブ。
 会話が苦手なマリーと、人間の言葉を話すオウムのポーリーは友達同士。両親により引き離されてしまうが、ポリーは飼い主に会いたい一心でマリーを探して旅を続ける。そんなファンタージー・ストーリ。
 動物たちの演技が見事なのは素晴らしいけど、ストーリは単純でちょっと退屈。子供向けとはいえ、監督の前作「草原とボタン」がよかったから期待していた。ちょっと残念。

「Paulie 」Official Website


「マイティ・ジョー」 - Mighty Joe Young -

 ロン・アンダーウッド監督、リック・ベイカー特殊メイク,シャーリーズ・セロン、ビル・パクストン、レード・セルベッジア。

 1994年「猿人ジョー・ヤング」(未見)のリメイク。巨大ゴリラのジョーを密猟者から彼を守ろうとする動物学者の娘ジルの物語。ストーリ自体はほとんど「キング・コング」と同じ。
 ストーリ自体が単純で深みがないけど、子供向けにお勧め出来る映画ではある。
 リック・ベイカーの特殊メイクとCGの合成がうまく解け合っていて、違和感が無い。

「マイティ・ジョー」Official Website


「シン・レッド・ライン」- The Thin Red Line -

 テレンス・マリック監督・脚本、ジョン・トール撮影、ショーン・ペン、ニック・ノルティ、ジム・カヴィーゼル、ジョン・キューザック、ウディ・ハレルソン、ジョージ・クルーニー。

 1942年11月、第二次世界大戦、日米の激戦地ガダルカナル島が舞台。激烈な戦闘場面と兵士たちの心象風景の巧みな組み合わせ方は上手い。ガダルカナルの風景の描き方が美しいのが逆に怖い。草原を渡る風の映像から一転、煙と火薬と血と肉片へ切り替わっていく。
 心象風景が退屈という意見も聞くが、この映画自体、その面が無いとまるで成立しないと思う。また、「プライベート・ライアン」と比較される事も多いが、映画の作り方のベクトルはまるで違う。
 テレンス・マリックの20年ぶりの映画ではるが、彼自信、ほとんど印象が薄いのでそれほど感慨は無い(^^;)。


「大阪物語」

 市川準監督、池脇千鶴、南野公助、沢田研二、田中裕子。
 「東京夜曲」を撮って、市川はほとんど彼のスタイルを極めたと思うのだけど、今度は逆に平凡になってしまった気がする。ストーリ展開とかちゃんとしているし(^^;)。市川らしさは無いけど、映画としての完成度は高い。
 役者はみんなよかった。特に沢田研二、田中裕子の夫婦漫才師の存在感は最高の出来。いままでの市川組の常連を出さず、舞台も大阪にしている分、今までとはかなりスタイルの違いを感じるけど、この映画はこれで面白かった。ただ、脇役の方が面白くて、主演周りのストーリはどちらかというと平凡に感じる。

「大阪物語」Official Website


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