2000年12月


「ホワット・ライズ・ビニーズ」- What Lies Beneath -

 ロバート・ゼメキス監督,ハリソン・フォード、ミシェル・ファイファー。
 高名な数学者を父に持ちデュポン研究所で遺伝学の教授として働くノーマン(ハリソン・フォード)、妻の元チェロ奏者の妻のクレアの二人はヴァーモントの湖畔で静かに暮らしていたが、身の回りに心霊現象が起り始める…。
 「裏窓」、「サイコ」などなど、ヒッチコック作品のオマージュを入れているが、全体はホラー仕立て。全体に捕らえ所がよく判らなかった。確かに結末は意外で、楽しめる事は楽しめるのだけど、ミステリーとしては今ひとつ満足出来なかった。橋の全景から走る車の中までのカメラ視点が一気に移動する映像は美しく、斬新で関心したけど。
 
「ホワット・ライズ・ビニーズ」 Official Website


「三文役者」

 新藤兼人監督、竹中直人、荻野目慶子、吉田日出子、乙羽信子。
 1998年4月30日に亡くなったタイちゃんこと殿山泰司の半生を、常連俳優として撮っていた新藤兼人が描く。本妻アサ子(吉田日出子)がいながら、喫茶店のウェイトレスのキミエ(荻野目慶子)に惚れ込んだ殿山泰司(竹中直人)は、キミエを"側近"に迎える事になる…。
 顔はともかく、動きやしゃべりで殿山泰司に成り切っている竹中直人は見事。全体の構成など古臭い感じはするのだけど、いい映画ではある。しかし、新藤兼人米寿88歳にして現役とは立派。近代映画協会の50周年作品でもある。


「グリンチ」- Dr. Seuss' How the Grinch stole Christmas -

 ロン・ハワード監督、ジム・キャリー、テイラー・マムセン、クリスティン・パランスキー、ビル・アーウィン、ナレーションはアンソニー・ホプキンス。
 
 雪の結晶の中の街フーヴィル、そこに住むフーの人々はクリスマスを前に浮かれている。父親ルー・ルー・フー(ビル・アーウィン)がプレゼントを買いまくる中、娘のシンディ・ルー・フー(テイラー・マムセン)はクリスマスの意味に疑問を持っていた。一方、クランベット山ではクリスマス大嫌いのグリンチ(ジム・キャリー)が、相棒の犬と共に、フーヴィルのクリスマスを壊そうと画策していた…。
 
 ロン・ハワードがこんなファンタジックな映画を撮るのは初めてじゃないだろうか?ファンタジックな世界観が徹底した美術、セット、メイクで描き出される。ジム・キャリー演ずるグリンチも表情豊かで上手いし、細かいギャグは日本人には判りにくいものの、ストーリはほのぼのとして楽しめる。

「グリンチ」 Official Website


「13デイズ」 - Thirteen Days -☆

 ロジャー・ドナルドソン監督、デビット・セルフ脚本、ケビン・コスナー、ブルース・グリーンウッド、スティーブン・カルプ、ディラン・ベイカー。

 1962年10月のキューバ危機を乗り越えた三人の男の13日間の物語。16日に偵察機によりキューバの弾道ミサイルが発見された。合衆国大統領ジョン・F・ケネディ(ブルース・グリーンウッド)は心を打ち明けられる弟のロバート・ケネディ司法長官(スティーブン・カルプ)、親友のケネス・オドネル大統領補佐官(ケビン・コスナー)とともに、空爆による先制攻撃を主張するロバート・マクナマラ国防長官(ディラン・ベイカー)に対抗する…。
 実話だけに展開に盛り上がりが少ない気はするが、真実の重みはある。「マチネー」みたいなキューバ危機を背景にした映画はあるが、真っ向から描いた映画はこれが初めてだと思う。第三次世界大戦から、ほんのわずかな所にいたという1962年10月という時代の狂気を巧みに描き出している。

「13デイズ」 Official Website


「シックス・デイ」 - The Sixth Day -

 ロジャー・スポティスウッド監督、アーノルド・シュワルツェネッガー、トニー・ゴールドウィン、ロバート・デュバル。

 2010年、人間のクローン化が法制化されようという近未来の2010年、ジェット・ヘリの飛行士アダム(アーノルド・シュワルツェネッガー)が帰宅すると、もう一人の自分が…
 シュワルツェネッガーは病み上がりでまったく冴えなかった「エンド・オブ・デイズ」に比べるとずっといいが、アクション俳優の姿は無い。ストーリはそこそこ面白いものの、悪役がイマイチ弱すぎるのが残念。まあ、新年向けな能天気なエンターテイメントとしてはいい感じか。
 
「シックス・デイ」Official Website
「The Six Day」 Official Website


「ダイナソー」- Dinosaur -

 ラルフ・ゾンダッグ/エリック・レイトン監督。
 6500万年前の恐竜が支配する地球、しかし突然の隕石の落下により地上は荒廃、新天地を求めて恐竜アラダーたちは移動する…。
 「トイ・ストーリ」、「トイ・ストーリ2」ではオモチャの世界のフルCGに挑戦したディズニーが今度は恐竜の世界に挑む。実写との合成を巧みに使っているが、その実写の部分の世界中の大自然の撮影に凄く力が入っているのに関心した。恐竜のCGは、「ジュラシック・パーク」、「ロスト・ワールド」でもやられているので、それほどの新鮮さは無かったが、アニメらしい仕上げという意味では上手い。
 ストーリはやや単純で、ちょっと物足りなかった。
 
「ダイナソー」 Official Website
「Dinosaur」 Official Website


「バーティカル・リミット」- Vertical Limit -

 マーティン・キャンベル監督制作、クリス・オドネル、ロビン・タニー、ビル・パクストン、スコット・グレン。
 登山中に父親を亡くした兄妹、兄のピーター(クリス・オドネル)は山を拒み、妹のアニー(ロビン・タニー)は父の夢を継ぎ登山家となる。航空会社の宣伝のため世界第2位の山K2に登るアニーが遭難、ピーターはチームを組み救出に向かう…。

 まあ、面白かった。無理な設定も沢山あるけど、それは映画的に面白くするという事で許してあげられれば楽しめる。さすがに3000m級の山でホントの場所で撮っているだけあって映像はリアルで迫力満点。「クリフハンガー」などとは迫力のレベルがまるで違う。
 しかし、顔が似ている上に登山のカッコで、なかなか人が見分けにくいのが難点。

「バーティカル・リミット」 Official Website


「オーロラの彼方へ」- Frequency -

 グレゴリー・ホブリッド監督、トビー・エメリッヒ脚本、デニス・クエイド、ジム・カヴィーゼル、エリザベス・ミッチェル、アンドレ・ブラウワー、ノア・エメリッヒ。

 現代のニューヨークでオーロラが見えた夜、主人公の刑事は30年前に死しだ父親と時空を超えて無線で交信する…。
 予告編からはハートウォームなファンタジーを予感していたが、それがタイム・パラドックスなんか無視しまくりで自分の幸福のためなら次々と歴史を変えまくり、やがてサスペンスへと変っていくのがなんか、見ているとあたふたとしてしまう。ハリウッド的なゴリ押し。こんなんでいいのだろうか?これで主人公は幸福だったのか。結局、煙草を吸わずに長生きしようねってテーマだな(嘘)。
 しかし、実際にニューヨークでもオーロラが見えるとは知らなかった。
 
「オーロラ」- Kan Ogawa氏のサイト内
「オーロラの彼方へ」 Official Website


「タイタス」- Titus -

 ジュリー・テイモア監督脚本、アンソニー・ホプキンス、ジェシカ・ラング、ジョナサン・リース・マイヤーズ、マシュー・リース、ハリー・レニックス、アンガス・マクファーデン、アラン・カミング。

 シェイクスピアの戯曲「タイタス・アンドロニカス」の映画化。ミュージカル「ライオン・キング」の演出家ジュリー・テイモアが映画化したという部分の方が話題になっている。
 ローマの武将タイタス(アンソニー・ホプキンス)が主人公。囚われの身になりながらゴート族の女王タモラは、彼への復讐のための息子達を殺し、タイタスの手首をも奪う。タイタスはタモラへの復讐を企む…。
 
 コスチューム、セット、映像美がいいが、それはみんな予告編で見たもので、それ以上のものは無かった。シェイクスピアの台詞の感触はいいが。

「タイタス」 Official Website
「タイタス」 Excite内オフィシャルサイト


「エクソシスト/ディレクターズ・カット版」- The Exorcist -

 ウィリアム・フリードキン監督、リンダ・ブレア、エレン・バースティン。

 1973年に全米公開、74年上陸、そして27年後の今、ディレクターズ・カット版が公開。
15分間の未収録シーンが追加されているらしいが、前のをよく覚えてないので違いが
判りにくかった。クモ歩きみたいな所は判ったけど。
 27年前の映画としては、面白いし、映像的にもいい。スピード的なノリが悪いところはやはりあるかもしれないけど。

「エクソシスト/ディレクターズ・カット版」 Official Website
「The Exorcist」Official Website - WARNER BROS.内


「リプレイスメント」- The Replacements -

 ハワード・ドイッチ監督、キアヌ・リーブス、ジーン・ハックマン。

 ワシントン・セデスの選手がストを決行したため、一時雇いの選手たちがチームを作る。キアヌ・リーブス演じるクォーター・バックのファルコらの活躍で、プレーオフ出場を目指す。
 最近では「エニイ・ギブン・サンデー」なんてのもあったが、何故、今アメリカン・フットボールなのか不思議。さらに、なぜキアヌ・リーブスなのか、と謎が残るが結果的には結構面白かった。題名が示す通りの一時的なチームという設定がなかなか面白い。


「チャーリーズ・エンジェル」- Charlie's Angels -

 マックジー監督、キャメロン・ディアス、ドリュー・バリモア、ルーシー・リュー、ビル・マーレー、サム・ロックウ
ェル、ティム・カリー。

 70年代の人気TVシリーズ「チャーリーズ・エンジェル」の映画化。ハイテク業界の大物でノックス・テクノロジー社創立者のノックス(サム・ロックウェル)が、革命的ソフト「音声追跡ソフト」もろとも誘拐される。ライバル会社のロジャー・コーンウィン(ティム・カリー)に的を絞り、ノックスの行方を追うナタリー(キャメロン・ディアス)、ディラン(ドリュー・バリモア)、アレックス(ルーシー・リュー)…。
 どっかキレちゃってるキャメロン・ディアス、そんなに太ってカンフー出来るのかと思うドリュー・バリモアに対して、最近気に入っているルーシー・リューはイマイチ活躍が少ないのが残念。
 三人のコスプレや、香港テイストのカンフー・アクション、まあ、そんなこんなを70年代的に楽しんでいればいい能天気映画。

「チャーリーズ・エンジェル」 Official Website


「悪いことしましョ!」- Bedazzled -

ハロルド・ライミス監督脚本制作、ブレンダン・フレイザー、エリザベス・ハーレー。
 内気な青年(ブレンダン・フレイザー)が、同じ会社の憧れの彼女のために美人悪魔(エリザベス・ハーレー)と契約、七つの願いをかなえて貰うことになる…コカイン王、プロバスケ選手と様々なブレンダン・フレイザーの七変化、そしてエリザベス・ハーレーのセクシー衣装替えが楽しめる映画
ではあるけど、
ストーリも一応しっかりしている。まあ、気軽に楽しめる映画としてはいいと思う。しかし、何よりも邦題のつけ方が、ヒドイ。

「悪いことしましョ!」Official Website


「漂流街-The Hazard City」

 三池崇史監督、TEAH(テア)、シェル・リー、及川光博、吉川晃司。

 日系ブラジル人青年と中国人女性のコンビが国外逃亡費用を稼ぐため、日本人ヤクザとチャイニーズ・マフィアの取り引き現場を襲撃。
 三池崇史監督、好き勝手やってくれている。最初のハチャメチャな所から、中盤は結構普通に決めていておやっと思わせたが最後の卓球対決はなかなか見せてくれた。結果的にはオーライという感じ。及川光博のヘンさが一番光ってた。

「漂流街-The Hazard City」 Official Website


「世にも奇妙な物語 映画の特別編」

 フジテレビのオムニバス・シリーズ映画版。TVの枠では出来ない、劇場用映画でしか出来ない部分が欲しかったけど、やはりTV的。

 「雪山」 -- 落合正幸監督、鈴木勝秀脚本、矢田亜希子、鈴木一真実、大杉漣、宝田明。旅客機の墜落事故に生き残った五人が山小屋を目指す…。「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」や、「リング」など色々な映像のいいとこ取りしていているのが気になる。展開としては、これが一番意外性があって面白かったけど、でも、こんなもんか。

 「携帯忠臣蔵」-- 鈴木雅之監督、君塚良一脚本、清水義範原作、中井貴一、奥菜恵、戸田恵子、八嶋智人。忠臣蔵の大石内蔵助の元に届いた携帯電話から生まれるコメディ…でも笑えない。奥菜恵が愛人役というのがちょっと意外。

 「チェス」-- 星譲監督、中村樹基脚本、武田真治、石橋蓮司。謎の老人が、コンピュータに敗れた元チェス・チャンピオンに挑む…裏は簡単に読めるしひねりが無い、「殺戮のチェス・ゲーム」を連想させるが、そんな深みは無かった。

 「結婚シミュレーター」-- 小椋久雄監督、相沢友子脚本、稲森いずみ、柏原崇。仮想現実によって結婚生活を体験出来るシミュレータ…しかしこの設定から誰しも思いつく展開で、何の驚きも無い。

 オムニバスというのは、監督、脚本家にチャンスを増やしているのはいいし、一応客も入っているので邦画が活気づくのはいい事だが、肝心の内容はこんなんでいいのだろうか?

「世にも奇妙な物語 映画の特別編」 Official Website


「シャフト」- Shaft -

 ジョン・シングルトン監督、サミュエル・L・ジャクソン。スタッフ、キャストと黒人ばかりで作られヒットした1971年の「黒いジャガー」のリメイク。

 舞台はニューヨークの下町、不動産王の御曹司による黒人青年の殺害事件、金と権力で罪を逃れる犯人を、主人公シャフト(サミュエル・L・ジャクソン)は警察を辞職してまで証人を探し、追い詰めていく。黒人はみんなアルマーニで決めてクールでスタイリッシュで正義感、白人はダサく悪趣味で悪人という構図が鼻につく。基本的には面白いのだけど、なんかイマイチ乗れなかった。「黒いジャガー」では、何故かそんな事感じなかったのに。

「シャフト」 Official Website


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