[Tomorrow] [Yesterday] [Up]

7日目

キリマンジャロ登頂断念

体調は少しよくなった気もするが「山に登りたい」という気分では全くない。 しかし、トライもせずに日本に帰るわけにもいかないので、 ポーターのミキが作ってくれた朝食を食べて出発の準備をする。 食事は今日の分までしかないので、今日登れなかったら明日おりるしかないそうだ。 リーダーとの予定もそうなっていたので、今日できるだけのことをやってみるしかない。

歩き始めて1時間程度でキボ峰が見え始める。 写真を撮ってもあまりにも遠くに見えるので、 「キリマンジャロを登ってる途中の写真」ではなく 「キリマンジャロを見ただけの写真」にしか見えない。 ミキが周囲の花畑を指さして「クリスマスフラワーだよ」 と説明してくれる。どうやらこの時期に咲く花らしい。

2時間くらいそれなりに歩いたが、このあたりから汗が吹き出し始めた。 高山病対策の薬による手先のしびれなども、 体力とは関係ないのに力を奪われている気がしてしまう。 道は非常にだらだらした登りで、いくら体力に自信の私でもこんな登りで苦しむ自分が正直信じられない。 一昨日のつらさに比べればまだたいしたことないが、 自分の時計の標高を見て、今日の行程の3分の1しか来てないことを考えると途方に暮れてしまった。 それでもゆっくりと登り続けるが、ペースはどんどん遅くなってしまう。 標高3000m地点で疲れて地面に寝そべって、目の前を通り過ぎるネズミをぼーっと眺めながら考えること10分ほどで、 諦めて下山することに決めた。

キボ峰を望む(私たちではない)
ギボ峰

頭で荷物を運ぶポーター達

クリスマス・フラワー

ゆるやかな登山道なので下りは非常に楽だ。 下り始めて30分ほどで登りの人とすれ違うことはなくなった。 今日はマンダラハットに戻って、1泊してから下るつもりなので、時間はたっぷりある。 「もう体力の限界を試されなくていいのだ」と思うと非常に気が楽になったので、今回で1番楽しい山歩きの時間だった。

マンダラハットに着いて、受付のグッドラックに事情を話して、今日の部屋を用意してもらう。 結局今朝まで2泊したのと同じベッドになった。 小屋に入ってしばらくすると東洋人が同じ部屋に割り当てられてやってきた。 「日本人か」と英語で質問するので「そうだ」と答えると、 彼も日本人だった。 彼が私たちに「日本円を両替する時間がなかったので、日本円を米ドルに両替してもらえないか」と聞くので、私たちの事情を話して「私たちはT/Cばっかりなのでだめだが、他のツアーの日本人メンバーがたくさん上にいるから、彼らに頼めば大丈夫でしょう」と教えると、彼の答えは「日本人に会うのはいやだなぁ」だそうだ。 「日本人の私たちと同じ部屋になってよく言うなぁ。。。 そんなに日本人に会うのがいやなのに両替をあてにしてる、っていうのはどういうこと?」と思ったが言うのはやめておいた。

今日はだいぶ体調が良くなってきたので、食堂のテラスでのんびりとしながら他の外国人と話をする。 「君たちは登ってるの?下ってるの?」と必ず聞かれるので、 これまでの顛末を説明した。 この旅行で始めての外国人達との長い会話だったが、 ツアー旅行で忘れかけていた海外旅行の楽しさが思い出されたような気がした。 やっぱりこれがないと海外旅行は楽しくないのかもしれない。 今度来るときには絶対に個人で来よう! (でも高山病対策の薬は持ってこよう)

スイス旅行での展開にも懲りずに、ドイツ人にカタコトのドイツ語で話しかけたところ、山のような理解不能なドイツ語で返答されるという全く同じ展開になった。 やぶ蛇なんだからもう少し学習しないと。

疲れもとれたので明日行こうと思っていたクレーターまで歩いてみることにした。 クレーターからはキボ峰とマウエンジ峰がよく見える。 「あそこまで登るはずだったのになぁ」と自分でも苦しさを忘れかけてしまっている。 アルーシャ公園のクレーターと同様に、クレーター内は沼地になっているために下手に近づくと底なしになっているそうだ。 ミキとミキの家族のことなどについて話す。 生活は貧しいが他のアフリカ人よりもすごくいいやつだ。 こういう人間にチップを必要以上に渡しちゃいけない、 なんて本当なの?
S23,674歩、Y20,840歩。


[Tomorrow] [Yesterday] [Up]