|
|||||||||
振り返ってみて |
|||||||||
そうした中では、ジェリー・ロス関連の盤だけはヘヴィー・ローテーションで、特にキースのベスト盤の収録曲「タイム・ゴーン・バイ」(ケニー・ギャンブル&ジェリー・ロス作)は、あらゆるジャンルを通じて、今年最も多く聴いた曲になりました。寒々としたコーラスのイントロに、パシャパシャしたドラムが入ってくる瞬間から、別世界。歌とピアノの掛け合いが格好イイAメロ、たたみかけるメロディにもたりながらも何とか着いていく歌がスリルを感じさせるBメロ、それを乗り越えたという達成感が聴き手にも伝わってくるようなサビ、何処をとっても完璧なソフト・ロック。シミル系ソフト・ロックの最高峰とすら今は思っています。 汚染地帯からの発掘ものでは、TINA MASON や、バート・バカラックの日本でのライヴ盤、やはりジェリー・ロス関連のモブとジェイ&ザ・テクニークスが収穫でした。しかし、TINA MASONは未だに何者なのか不明です。 <歌謡曲> 年明けは御多分に洩れず、宇多田ヒカルの「オートマチック」、「ムービング・オン・ウィズアウト・ユー」を聴き捲っていました。歌謡曲っぽいところと、その歌唱力が魅力で、すごい人がでてきたなあ、という印象で、再生YMOのミキサーであるゴー・ホトダがミックスしている、ということに対しても、誰がミックスしても一緒(な位、元がイイ)と思ったりもしてました。しかし、最初のシングルを聴き過ぎてアルバムが出る頃には飽きてしまい、結局日本一売れたアルバムは購入せず終い。その後、ミュージック・ステーションに出演し、「ファースト・ラブ」を生で歌っているのを聴いた時、声がかすれてたり、音程が不安定だったりして、レコードのサウンド・プロダクションの凄さを認識させらたりして。結局、彼女自身の魅力は当然として、取り巻きの人達の凄さが、ここまでのヒットを生み出したんだなあと思ったりもしました。何がともあれ、それまでのソウル系シンガーには、いい悪いは別にして何処か敢えてメインストリームを避けてるような、分かる人に聴いてもらえればそれでいい、というようなスノッブな印象がありしたが、宇多田ヒカルの場合、そのようなところがないストレートに自分をさらけ出している素直なところが私にとっての魅力です。やっぱり育ちの違いなのかなあ。 同じ頃から聴きはじめたのが双児ガールデュオ=フリップ・フラップの「ハプニング」で、この陽性のテクノポップな曲、アレンジ、歌声と何処をとってもわたし好みで、随分聴きました。リアルタイムで聴いていた80年代中ごろに活躍したスコットランドの女性デュオ、ストロベリー・スウィッチブレイドを思い出させてくれたりして。その後のミニ・アルバムや、シングル「夏休み」も買って聴いてみましたが、段々、曲調が暗くなっていく感じで今一つの印象。ザ・ピーナッツの現代版ということを無理してイメージ作りして売っていこう、という感じがして残念。これは好みの問題で曲のクオリティーは落ちていないと思いますが。ザ・ピーナッツの暗さが苦手な私としてはちょっと、、。 そう言えば、土曜夜のテレビ番組「夜もヒッパレ」に元レベッカののっこが、4ー9月にレギュラー出演していて、彼女の歌が聴けるのが楽しみな時期もありました。中では少年隊とのデュエット(というかのっこが歌で、少年隊はダンス専門といったかんじでしたが)でテンプテーションズの「ゲット・レディー」を歌っていた時などは、カンペ見ながら歌っているのがバレバレという、準備不足が素人が観ていても分かるパフォーマンスでしたが、それを緊張感に繋げて、そのドスを効かせたり、ファルセットになりかけたりスリル満点で、鳥肌ものでした。余談ですが、3年くらい前同じくモータウン勢のシュープリームスの「恋はあせらず」をカヴァーしてましたが、これなどは本家より好きだったりします。 汚染地帯からの発掘モノでは布施明の「バラは君より美しい」がそのドラマチックな曲展開と布施明の歌唱力、A.O.R.的アレンジ全てに渡って好印象で、50円という購入価格も含めて拾い物でした。 そして「LOVE マシーン」。何処をとってもこんなにかっこいいと思える歌謡曲は久々で、「真夏の光線」、「ふるさと」で半分見限っていた私は猛省したものでした。それまでは「サマーナイト・タウン」が最高でその後の曲はそれ並みであっても決してそれ以上の印象はもてなかったのですが(特に福田明日香の引退後はヴォーカル・パートのバランスを失った感じがした)、この曲はイントロのこれ以上のものは聴いたことがないという位、えげつないシンセのリフで先ず唸らされ、彼女達の歌のコンビネイション、個々の歌唱力というかキャラクターの凄さにも改めて凄いと感じ、そんな彼女達の魅力を引き出したつんくの凄さを再認識させられました。
6月頃、何の音楽も聴きたくない時期がありましたが、そんな時敢えて聴くとしたら、とレコード棚を覗いて聴いてみたのが、カジ・ヒデキ、大橋伸行、清水弘貴が在籍していたことで知られるグループ=ブリッジの『プレッピー・キックス』。このネオアコ&ソフトな心地よいサウンドとおおともまみ(漢字表記不明)の泣きのヴォーカルに癒される感じで、リアルタイムで聴いた時より全然よく聴こえてきました。その後、年末まで絶えることなく取り出しては聴いていました。メンバー全員がソングライティングし、作者がその曲に関してはイニシアティヴをとって録音しているみたいですが、それぞれの作った曲が恐ろしい程クオリティが高く、カジ・ヒデキの曲も光り輝くといった感じはなく、あくまでその中の一つに過ぎない、と言えばこのアルバムの凄さがお分かりいただけるでしょうか? また、曲によって作者が違う事から想像される散漫な印象も少ないのは、やはりおおともまみの歌の力に因るところが大きいと思ったりもします。 そんな訳で新譜の方もカジ・ヒデキ関連が多くなり彼の『15人の怒れる男たち』、カジ・ヒデキと堀江博久(=ドッツ&ボーダーズ)のプロデュースによるヒロミックスの『ヒロミックス’99』、ドッツ&ボーダーズのミニ・アルバムなどを買っては聴いていました。中ではヒロミックスのアルバムは、本当何十回も通して聴き捲りました。ネオアコ、ギター・ポップ、ニュー・ウェイヴを通過してきた身としてはたまらないサウンドで、しかもヒロミックス自身による歌詞が、そのエコーの少ない聞き取りやすいヴォーカル処理と相俟って突き刺さって来る感じで、本当聴いていてジーンとくることもしばしば。これほど買ってよかったと感じたアルバムも久々でした。『15人の怒れる男たち』は彼のポップスの素養を吐き出した様な、大滝詠一の『ロング・バケーション』を彷佛とさせる、90年代を締めくくる素晴らしいポップ・アルバムだと思っています。 そのほか、キリンジの2枚目のアルバム、スーパーカーの1枚目、コイル、ブリグリの『愛の愛の星』なども聴いてみましたが、キリンジ、スーパーカーは趣向は違いますがち密なサウンドで個人的には好みのものでした。 <80年代ロック> 新鮮に聞こえると同時に懐かしさもあり、カーズなんかを聴いてると昔と同じように格好いいと思ったり、案外、好みはリアルタイムで聴いていた昔と変わっていない事を確認した年でした。 <SSW> <ソウル全般> <ブラジル音楽> |
|
|||||||||
|
|||||||||
|
|||||||||
|
|||||||||
|
|||||||||
|