NORTHERN SOUL    〜聴くようになった訳〜


 ノーザン・ソウルの原体験を思い出せる範囲で遡ってみると、中学生のころラジオでオールナイトニッポンを聴いていて、番組の後半になると「つなぎ」で、オールディーズが使われていて、そのなかにダイアナ・ロス&シュープリームスの「恋はあせらず」やアイズレー・ブラザーズの「ジス・オールド・ハート・オブ・マイン」、フォー・トップスの「アイ・キャント・ヘルプ・マイセルフ」などのモータウン・ナンバーが入っていた、そしてそれを聴いていた、というところとなります。もちろん、その頃は誰の曲かも、曲名も、ましてやそれがノーザン・ソウルというジャンルのものであることなんて、全然知らなかったんですが。これが取り敢えずの聴き始め、ということになります。

 格好イイなあとは思いながらも、中学、高校、大学を通じて、ノーザンのレコードを買うことは結局、一枚すらありませんでした。学生時代は黒人アーティスト自体に対して不感症で、白人音楽ばかり聴いていたような。

 そして、就職した頃からレココレとかミュージック・マガジン、いろんなガイド本とか買いはじめるようになって、そこに紹介されていたサザン・ソウルのスタックス(の10枚組)なんかからソウルは聴くようになって。「じゃあ、ノーザン・ソウルはどういうのなんだ?」ということで、ガイド本読むとモータウンもそれに入っているということなので、取り敢えず買ったのがその頃出ていたCD4枚組のボックスセット。これがレコードでの聴き始めです。

 丁度この頃(93〜95年)から、ソニーがオケー、フィラデルフィア・インターナショナルレーベルのリイシューを始めたり、海外では英デーモンがインヴィクタス・レーベルのアーティストのベスト盤CDを出したり、フリー・ソウルの関係でリロイ・ハトソン関連のリイシューもあるなど、聴き始めるには良い時期だったと思います。その分常に懐も寂しくなってた訳ですが。

 また、渋谷のHMV&WAVEクアトロという、(ジャンルは関係なく聴きたくなるようなコメントを付けて売る)店が全盛の頃で、特にインヴィクタスのCDのリイシューものはWAVEクアトロをチェックしてると新しいのが(英デーモン、米ファンタジーのベスト盤が主ですが)ジャケットが見えるように置かれていて、その度に買って聴いていたような気がします。結局、その後Pヴァインからごそっと再発されることにはなるのですが(そう言えば、ヴァリノ・ブラザーズのとか一部はPヴァインの前に再発権を持っていたヴィヴィドのだったりします)。CDショップってどんどん巨大化していってますが、この頃のWAVEとかHMVの雰囲気というのはもう味わえないのかと思うと、寂しい気持ちになりますね。

 で、私にとってはインヴィクタスのアーティストや、ABCパラマウント時代のインプレッションズ、リロイ・ハトソン関連(の70年代前半の作品)が好み、ということになります。フィリーも入れてもらえるなら、これも好き。どちらかと言えば、ノーザン・ソウル本来の60年代の7インチの世界でなく、その発展形のものと言えます。そして、結局、CD止まりで、アナログ(7インチ)のディープな世界には足を突っ込んでいないのが現状です。(99年1月)


<わたしがノーザン・ソウルを聴くにあたって、参考にした文献>

ミュージック・マガジン増刊「R&B、ソウルの世界」(鈴木啓志著/ミュージック・マガジン刊)

「ミュージック・マガジン93年12月号(特集70年代ソウルへの視点)」(ミュージック・マガジン刊)

ブラック・ミュージック・レヴュー増刊「USブラック・ディスク・ガイド」(ブラック・ミュージック・レヴュー刊)

レコード・コレクターズ増刊「SOUL&FUNK」(ミュージック・マガジン刊)

ブラック・ミュージック・レヴュー増刊「ブルース&ソウル・レコーズNO.9(特集HDHとデトロイト・ソウル)」(ブラック・ミュージック・レヴュー刊)

「STUDIO VOICE 98年2月号(特集オール・ナイターたちのノーザン・ソウル)」(インファス刊)

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