注)2002年5月25日の文章に加筆
中国画や中国書道を習ってみたいなという方、いらっしゃいますか?気功や太極拳に興味のある方もきっと多いですよね。
留学中に語学以外の中国文化にはまってしまう人がけっこういました。私も含めて。
今回はそんなお話しです。
中国文化を学ぶ
私が行っていた北京語言文化大学の中には、文化学院という主に留学生に芸術を教えるところがありました。私も「せっかく中国にいるのだから、中国ならではの習い事をしてみたい。」と思い立ち、放課後の時間を利用して京劇を習っていました。京劇のクラスを始めるには、生徒が6人必要だと事務局の方に言われ、友達6人で習い始めました。先生は京劇専門の中央戯曲学院から来て頂き、週1回のレッスンです。受講料は2時間で1人あたり50元(約750円)くらいだったと思います。
京劇を習うといっても、まさか私達のような大人がトンボきったり!なんて到底ムリですから、京劇の役回りの中でも歌と踊り専門、しかもその中の有名な箇所を習うという具合です。最初に習ったのは「貴姫酔酒」。楊貴妃が月夜に皇帝を待っていたのだけど、皇帝は他の妃のところに行ってしまい、やけくそで酔っぱらって舞を舞うというお話しです。(こうして日本語にしてみると、変なストーリーですね。)
カルチャーセンターで習うノリで習った京劇ではありましたが、普通の中国語の発音とは違う節回しの魅力に魅せられ、今でも京劇が始まる時の「ティーン、カンカーン」という京劇独特の音楽を聞くと、もう体がうずうずしてしまいます。
さて半年習ったところで、他の友達はもうやめるって言うし、お月謝も貧乏学生に痛いところでしたし(今から思えばなんてことない金額なんですけどね)今度続けるかどうか迷っていたら、事務局の先生に「あんたの顔は京劇向きだから続けなさい。お月謝はいらないから。」と言われ、結局もう半年タダで習ってしまいました。このあたりが中国らしいところで、事務局の先生の独断で一人だけ月謝を徴収しないなんてことが普通にできてしまうのですね。(あ、一緒に習ってた〇〇さん、ごめんなさい。今まで黙ってました・・・)
あとの半年は、私と日本人1人、韓国人2人の計4人で習いましたが、今思えばお月謝を払っているのは3人なのに、なぜクラスが開けたのでしょう??まあ、中国では理屈にあわないことも一杯ありますので。
京劇以外にも、中国画、書道、テン刻、二胡、琵琶、笙などのクラスもありました。
漢方治療、針治療、気功
私の友人で皮膚の調子が良くない人がいました。(日本では入院していたくらい。)
彼女の留学目的は、中国での漢方治療と針治療。学生としてビザを取る方が簡単なので、学生として申請して学校にも来ながら、週1回は鍼灸治療通い、漢方を処方してもらっていました。この治療は、私がはたで見ていてもすばらしい効果があり、1年の留学の間にすっかり肌もきれいになり、ステロイドともきっぱりお別れできたそうです。
彼女は鍼灸の先生に「皮膚を治すには気功も効果があるから、やってみたら。」と言われてらしく、私たちの学校の近所にある石油大学(中国にはこんな名前の大学もあるのです。)で、気功の練習をしているグループを紹介されました。
私は彼女の通訳として一緒について行きました。集まっている人達は、私たちを大歓迎してくれて、色々と気功のやり方を教えてくれました。私はあまり真剣にやっていなかったので、やりかたは全然覚えていませんが、友達はやると調子がいいらしく、ずっと続けていました。
“門暾(メンドル)”に惚れ込んで
私の友人で、定年退職後にご夫婦で留学された方がいました。ご主人はこの留学で偶然に”門暾”と運命的な出逢いをされたのでした。
門暾とは、北京の伝統的住宅(四合院)の入り口にある石材です。門暾の形や図案は、その家の格を表すものであり、文化的意味のあるものです。その頃、北京市内は住宅高層化に伴い、伝統の四合院がどんどん壊され、門暾もどんどん捨てられていましたが、現地の人達はその文化的価値をあまり認識していないようでした。私の友人は、このままでは門暾も日本の根付と同じ運命をたどってしまう!(日本の根付も、日本に残っているものは少なく、外国の収集家が持っているものが多いそうです。)そんな思いから、門暾の調査・研究・保存に一人乗り出したのです。
そうこうするうちに、学校も巻き込み本を出版、ついに中国歴史博物館で写真展をするまでに到ったのでした。
今はさらに研究を進められて、西安やベトナムまで遠征されています。人生何があるかわからないものですね。
*門暾の詳しい内容は、北京門暾をご覧下さい!
中国文化に興味のある方は、思いきって現地で勉強されるのもいいですよ。物価も安いですし、中国語を勉強しながら中国音楽の勉強も、なんてことも可能です。いえ、最初は中国語がわからなくても、日本人には必殺筆談技があります!