![]() |
●9月16日
にもかかわらず、なぜそこで方向転換をしたのかといえば、僕は五輪の競泳に、五輪の柔道を凌ぐ魅力を感じているからに他ならない。僕にとっての五輪は、陸上、水泳、体操まずありきなのだ。基本は陸水体。で、それに「ニッポン!」と叫べるボールゲーム。昔で言えばバレーボールがそれに値した。柔道も嫌いでは全くないし、日本の金も見たいし、特に野村のキレには、柔道にはシロウトの身の上ながら、かねがね魅力を感じてもいた。でも少なくとも僕にとっては、五輪の王道を行く競泳にはかなわなかったのだ。 ご承知の通り、田島は銀メダルで、田村、野村は金メダルだった。 とは言いながら、僕は明日、競泳の観戦を午前中(予選)だけにとどめ、午後はシドニーから300キロ以上も離れたキャンベラに行く。サッカーの日本VSスロバキア戦を観戦取材するためである。五輪サッカーの持つ意味に対し、納得できない面が多いにもかかわらずだ。 バレーボールの場合は金メダルはすなわち世界一。だから、素直に感情を移入出来るのだが、サッカーの場合は何がなんだかよく分からない。意味合いは不明確この上ない。俗に「23歳以下のW杯」という表現が用いられるが、これさえも大きな間違いなのだ。それについて書いているとどんどん行数が進んでしまうので省略させていただくが、ともかく、五輪サッカーはステイタスもレベルも「W杯」にはほど遠い。 では何故行くのか。2002 年が近いから。日本の五輪チームがA代表に限りなく近いから。サッカーが好きだから。競泳の原稿を書くより儲かりそうだから。行きがかり上そうなってしまったから。言い訳はそんなところでご勘弁願いたい。後ろ髪を引かれる思いは強い。世界一を争っている競技者を、しっかり見届けなさいという、本来、僕に与えられた使命? を全うできないことについて、神様お許し下さい。 でも、サッカーは結構イケルんじゃないかと思っている。もし、スロバキア戦で良いサッカーをして完勝したならば、銀メダル以上も夢ではない。ここにそう宣言しておきたい。しかし、そこで僕の予想が仮に大当たりし、銀メダルを獲得しても、バカ喜びは謹んで欲しい。その銀メダルは、例えば田島の銀メダルより、僕は軽いと思うのだ。 五輪のメダルの重さは全て同じではない。これが僕の言いたいことなのです。
|