4月16日

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サッカー
日本代表対スペイン戦メンバー発表
(東京)

■スペイン戦 日本代表メンバー
Pos.
 選手(所属)
GK
川口能活(横浜)
楢崎正剛(名古屋)
DF
服部年宏(磐田)
上村健一(広島)*
森岡隆三(清水)
波戸康広(横浜)*
松田直樹(横浜)
中澤佑二(東京V)
中田浩二(鹿島)
MF
藤田俊哉(磐田)
名波 浩(磐田)
伊東輝悦(清水)
奥 大介(磐田)
中田英寿(ASローマ)
戸田和幸(清水)*
明神智和(柏)
稲本潤一(G大阪)
FW
中山雅史(磐田)
鈴木隆行(鹿島)*
西澤明訓(エスパニョール)
久保竜彦(広島)
高原直泰(磐田)
*はトルシエ・ジャパン初選出の選手
 4月24日にスペインのコルドバで行われる対スペイン親善試合に向けて、この日、日本代表22人が発表された。代表に選出された選手は表の通り。

 発表に先駆けて、トルシエ監督は「今回はアジアから出てヨーロッパの舞台で力を披露するということを選考の第一義務に挙げた」と説明し、現時点でJリーグでの連敗が続きフィジカルコンディションのあまり高くないMF中村俊輔とFW城 彰二(ともに横浜F・マリノス)をメンバーから外した。

 今回、トルシエ・ジャパンに初選出となったのは、DFの上村健一(広島)、波戸康広(横浜)、MF戸田和幸(清水)、FW鈴木隆行(鹿島)の4人。また、前回のフランス戦ではメンバーに入らなかったFWの中山雅史(磐田)、久保竜彦(広島)、奥 大介(磐田)らが代表復帰を果たした。
 代表は21日にスペインの南にあるマルディージャに向かい、前回のフランス戦と同じく中3日の練習で試合に挑む。


    代表発表に先立ってのトルシエ監督の会見より

 以下、トルシエ監督のコメント:

 スペイン戦はアジアの外に出て行く道のりであり、W杯に向けての準備の範疇の1つである。その目標は、いろいろな情報――それはフィジカル、メンタル、テクニック、戦術、そしてある出来事に対して人々がどのように反応するかという社会的な面、心理的な面を含めたすべてである――を獲得することだ。

 フランス戦はアジアの外へ踏み出す第一歩の戦いだったが、そこから得た教訓を生かして、世界と戦うという認識を深めていくものだった。世界のトップ20と戦うにあたって、アジアチャンピオンという肩書きは意味がない。ハイレベルというのはどこまでのレベルなのか。フィジカル、テクニック、戦術、メンタルの面で、世界のトップ20と戦うために求められているものが、(考えていたよりも)もっと大きいものだということがわかった。我々は、バランスのとれたチームを作り、その要求にこたえていかなければならない。そのためには2つのやり方がある。

 1つは、個人的なもので、自分自身のレベルをもっと上げると同時に、自分のベストを尽くせるようにしていくことだ。フランス戦での教訓を生かして、ハイレベルが求めるものにこたえていく必要がある。
 もう1つは、集団としての取り組みで、それは監督である私の肩にかかっている。ハイレベルにこたえるためのチームとしてのバランスを考えていくことが私の役割だ。
これらを考慮して、スペイン戦のメンバーを選んだ。

 チームのベースはアジアの外に出るまでに戦った選手、つまりアジアカップの優勝メンバーと五輪メンバーが中心となる。その選手たちに世界のトップ20から学ぶ機会、ハイレベルとは何かを理解する機会、フランス戦で足りなかったものを修正し、取り組む機会を与えたい。一方、日本はJリーグが始まったばかりですべての選手が同じレベルにいるわけではない。フィジカル、体調の悪い選手、逆に調子のよい選手がいる。そういった状況も考慮して、今回のリストは作られている。

 さらに、今回のリストはリフレッシュの意味もある。新しい血を吹き込むことでチャレンジングなチーム構成となっている。というのも、W杯への準備となる今の段階では違うものも見ておきたいからだ。今回は、4人の選手(上村健一、波戸康広、戸田和幸、鈴木隆行)を新しくリストに加えた。ただ、今回はここを大切に考えるという重要項目は、今日の段階では重要かもしれないが、今後もずっと重要であるとは限らない。
 スペイン戦で選手に期待するものは、フィジカル面でしっかりしたものを見せてほしいということだ。日本にはディフェンス面におけるカルチャーがあまりない。しかし、W杯で戦っていくためにはディフェンスでしっかりしたものを持っていなければならない。チームが自信を持って戦うためには守備と攻撃のバランスをよい形で保っていくことが大事だ。

 統計によると、先制点をとったチームはそのゲームにおいても7割方、勝利をおさめているという。逆にいえば、先制点をとられれば7割方、負ける可能性があるということだ。日本国内、あるいはアジアであれば、それでも大丈夫かもしれない。しかし、トップ20と戦う場合は、そのことを十分考えていかなければならない。もちろん、ユーロ2000決勝の時のフランスのように、イタリアに先制されてから、逆転して優勝したという例外もあるが。


    ◆代表発表後の質疑応答より

 以下、質疑応答(抜粋):

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──スペインの印象はどんなものですか
監督 世界のトップ10に入る。フランスにも勝ったチームで、W杯予選も必ず突破するはずだ。フランスよりはダイレクトなサッカーをする。彼らを支えているのはフィジカル、個々の力が重視される。戦い方はリスキーで、戦術的に私たちに問題提起をしてくれるはずだ。でも弱みもあるだろう。ここ5試合中4試合も負けている(※トルシエ監督の勘違いで、正確には5試合中2勝2敗1分け)。オランダに4−1と負けている(※これも勘違いで、3−1)し、しかもホームでの敗戦だった。その前にはイングランドに3−0で徹底的に破れている。点を取られようが、取る運びをする。でもフランスに勝って自信満々になっている。我々には、情報をしっかり取ってくるという意味を持った試合になる。

──中村選手の落選は体調が良くないからか
監督 その通り。彼を外したのは、代表チームのジャージに要求されるだけのフィジカルを満たしていないからだ。かと言って、彼の評価が下がるわけではないし、中村を私は全面的に信頼している。彼の体調は、まさにクラブの置かれている状態と同じということだ。けれども、彼ならあっという間に代表に戻ってくるだろう。

──GKの川口選手が入りましたが、以前監督は、彼はベンチでは満足できない選手と言っていました。ならば川口が先発でしょうか
監督 4月25日(コルトバでの試合当日)にテレビをつけてもらえればわかるはずだ。

──新しい選手(上村、波戸、戸田、鈴木)の評価を。また中山が入ったことについて
監督 ニーズに合った選手を選んだということで、戸田、上村はインターナショナルでの経験も豊富で、鈴木以外は驚くことはない。私たちの要求にはきっちりと応えることができるはずだ。中山は、今回、メンタル、フィジカルにおいての調子が非常によく、柳沢、平瀬らと比べてもハイレベルにある。

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──スペインにどういう戦いを挑むか
監督 彼らはダイレクトなサッカーをする。スペインの力というものに対応できるサッカーにしなければならない。右のメンディエタ、パブロ、左のムンティエス、セルジらは世界レベルの選手。相手がカザフスタンや中国ならば、本山や藤本を置いて6−0で勝てるだろう。

──今回もDFが中心か
監督 私たちが戦い方を決めるのではなく、相手の出方というのを考えなくてはならない。スペイン戦で大きな結果を出そうと思えば、やはりディフェンスが大きな意味を持つことになる。ディフェンスでの解決策を見つけ、答えを見つけたいと思う。6−3で負けたら、日本人は3点取ったと言うかもしれない。しかし、監督としては満足することができないし、どうすればいいか、その解決策をスペインで探し、自信を取り戻したい。アジアでは当然、攻撃に時間を割けるし、スペイン戦は、インドと戦うのとはわけが違う。

──中田、西澤のコンディションの把握は
監督 トレーニング、トレーニング、トレーニング、と聞いている。しかし西澤はスペインでプレーしているのだから、ほかの選手とは違うモチベーションを持っているはずだ。まだ始まったばかりのJリーグに対して、彼らはシーズンを通じて戦っているのだから、(日本の選手と)そう変わりはないだろう。まあ一般的に、この時期に快挙が成し遂げられるケースはないだろう。とにかくコンディション、フィジカルといったものに、答えを見せてほしい。1対1の場面(スコアではなく、対面する意味)でタックル、闘争心、心理面でも勝負をしてほしい。


「私がうれしいのは……」

 異例なのは、選んでいない選手の話が出たことだろう。

 福岡のFW山下芳輝について「大きなケガから復帰し、先日も2点を奪ったことは非常にうれしかった(※山下は14日のJ1第5節、広島戦で後半に2得点を挙げる活躍を見せた)。ここでこうしてきっちりと(代表のステージに)戻ってくれたことを本当に評価したい」と手放しで、ストライカーを評価した。
 山下は一昨年の五輪アジア予選香港ラウンドには出場。右ひざを骨折して手術し、今季から復帰を遂げた。

 代表のストライカーは、今回も鈴木、ベテランの中山が入るなど、高原と西澤以外は毎回固定されない状態が続いている。今後さらに選抜が激化することは、山下の名前が出たことでも十分にわかる。



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